TECHNOLOGY

健康や安全に寄与する必須アイテムに
──進化する最新スマートウォッチ4選

2021.03.05 FRI
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健康や安全に寄与する必須アイテムに
──進化する最新スマートウォッチ4選

2021.03.05 FRI
健康や安全に寄与する必須アイテムに──進化する最新スマートウォッチ4選
健康や安全に寄与する必須アイテムに──進化する最新スマートウォッチ4選

2015年の本格的なブームから6年あまり。スマートウォッチは年々進化を続け、誰にとっても便利で役に立つアイテムに進化した。時計ジャーナリストの渋谷ヤスヒトが最新の注目モデルを厳選し、その魅力を紹介する。

Text & edit by Yasuhito Shibuya
Phtographs by Yasuhito Shibuya, Apple, Hublot, TAG-Heuer, Garmin

“使ったら手放せない”ライフパートナーに

“スマートウォッチ時代”の到来を告げた、初代アップルウォッチの販売が日本で始まったのは2015年3月10日。

あれから6年あまり。ニュースで取り上げられる機会は減ったが、スマートウォッチは進化を続け、ユーザーも着実に増えている。「一度使ったら手放せない」と語る人も多い。愛用者の中には、腕時計とスマートウォッチを使い分ける、もしくは併用する人も珍しくない。
機能面での進化は着実に進んでいる。当初はスマートフォンへの電話やメール、SNSなどメッセージの着信を教えてくれる、通知・閲覧機能が魅力のウエアラブルなオプションとして、ギーグ(デジタルおたく)御用達のマニアックなアイテムだった。

だが今では、スマートフォン本体を使わなくても、マイクと音声認識機能を使ってネット検索やナビゲーションの利用、メールやメッセージの返信ができるのは当たり前となっている。また、最新モデルの多くがGPSセンサー、さらに心拍センサーを標準で搭載しており、ウォーキングやランニングなどのエクササイズについての時間や強度、移動距離を記録。心拍センサー搭載モデルでは心拍の変動など、着用者のさまざまな情報を自動的に測定、分析する機能を備えている。

注目される“健康と安全”に関わる機能

さらにここ1年あまり、特に進化し注目されているのが“健康と安全”に関わる機能だ。例えばアップルウォッチは、周囲の騒音を計測して聴覚にダメージを与える音圧レベルや、着用者の心拍の異常を検知すると「警告」したり、着用者の転倒を検知すると、自動的に登録先にSOSの緊急連絡を行ってくれたりするなど、着用者の健康や安全を守る機能を備えている。
最新アップルウォッチの健康と安全に関する機能画面。設定しておけば、問題が生じた際に告知してくれる
最新アップルウォッチの健康と安全に関する機能画面。設定しておけば、問題が生じた際に告知してくれる
さらに2020年秋に発売されたアップルウォッチの最新モデル「アップルウォッチ シリーズ6」は、従来の心拍センサーに代えて新型センサーを搭載。心拍に加えて、血中酸素ウェルネス(血液中に取り込まれた酸素のレベル)も計測できる。この機能は今後、健康、運動系のさまざまなアプリと連携しての新たな展開も予定されている。このタイプのセンサーを搭載するモデルは今後、他のブランドからもリリースされるだろう。

ブレスレットやストラップのバリエーションも充実
──アップルウォッチ シリーズ6

外観における従来モデルとの最大の違いが、明るい常時表示ディスプレイとケース裏の新センサー(右)
外観における従来モデルとの最大の違いが、明るい常時表示ディスプレイとケース裏の新センサー(右)
6代目となるアップルウォッチ待望の最新モデル。内蔵チップが一新されて全ての動作が高速化されたほか、ディスプレイの常時表示機能が進化し、新たに常時表示の高度センサー、心拍に加えて血中酸素ウェルネスも計測できる新型センサーを本体裏側に搭載している。

また、安全という点では、新機能「ファミリー共有」も見逃せない。これは「アップルウォッチ シリーズ4」以降で、最新のwatchOS 7にアップデートしたセルラーモデル(eSIMを内蔵してウォッチ独自の電話番号を設定し、iPhoneと接続状態になくてもウォッチ単独で通話、データ通信ができるタイプ)で利用できる画期的な機能。自分のiPhoneで家族が持つ複数のアップルウォッチを管理し、その所在地の確認や着用者の健康状態をチェックすることができる。対応キャリアが今のところKDDIに限定されるが、小さな子どもや介護が必要な家族がいる人には、特にうれしい機能となっている。
ファミリー共有機能では装着者の現在地が分かる。またスクールモード(右)では機能を時計だけに制限できる
ファミリー共有機能では装着者の現在地が分かる。またスクールモード(右)では機能を時計だけに制限できる

バッテリー切れの心配もほぼ解決

スマートウォッチにとって、特に高機能な液晶ディスプレイタイプで最大の課題だったバッテリーの持続時間、つまり“使用中にバッテリー切れで使えなくなる”問題も、省電力モードや急速充電機能を新たに採用することで、ほとんどの人が満足できるレベルに改善された。

例えばこの点で不満の声が多かったアップルウォッチも、最新のシリーズ6で、残量ゼロの状態から約1時間で80%程度、約1.5時間でフル充電できるという急速充電機能を搭載。就寝前の、例えば入浴中などのわずかな時間でも十分なバッテリーチャージができるようになった。そのため睡眠中の着用による睡眠分析機能が新たに搭載されている。
最新のwatch OS7のバッテリー表示。これまでなかった「睡眠」機能(右)も追加された
最新のwatch OS7のバッテリー表示。これまでなかった「睡眠」機能(右)も追加された
ケースサイズは従来通り、直径40mmと44mmの2種となる。ケース素材はアルミニウム、ステンレススチール、チタンの3種類。ウォッチ単独でも通話やデータ通信機能を備えるGPS+Cellular(セルラー)モデルと、通話やデータ通信にはiPhoneとのBluetooth接続が必要なGPSモデルがある(同モデルはアルミニウムケースのみ)。ブレスレットやストラップのバリエーションもさらに充実した。50m耐水。価格はオススメのGPS+Cellularモデル、40mmサイズで5万3800円(税別)から。

なお、血中酸素ウェルネス機能や急速充電機能は備えていないが、同時発売でほぼ同機能をより手頃な価格で実現した「アップルウォッチ SE」も魅力的な選択肢の一つ。こちらはGPS+Cellularモデル、40mmサイズで3万4800円(税別)から。対応スマートフォンはiOS 14以降を搭載したiPhone 6s以降のiPhoneとなる。
https://www.apple.com/jp/watch/

人気のハイブランドも参入
──ウブロ ビッグ・バン e

また、男女を問わずセレブリティの間で圧倒的な人気を誇るラグジュアリーウォッチブランド「ウブロ」が、スマートウォッチ市場に本格的に参入したことも大きな話題だ。
世界地図スタイルのワールドタイム表示。機械式でこの機能のモデルは超高額だ
世界地図スタイルのワールドタイム表示。機械式でこの機能のモデルは超高額だ
同社はスマートウォッチに関しては、2018年のFIFAワールドカップロシア大会の際、レフェリー用の特別なモデルを限定発売しただけだった。あれから2年。満を持してのリリースともいえる。
ウブロといえばブラックダイヤル。だがこのモデルではカラフルな文字盤に自動的に変えられる
ウブロといえばブラックダイヤル。だがこのモデルではカラフルな文字盤に自動的に変えられる
「アート・オブ・フュージョン(異なる素材やアイデアの融合)」をコンセプトに、ウブロのアイコンマテリアルであるラバー、ハイテクセラミック、チタンなど異素材を大胆に組み合わせて2005年に誕生したラグジュアリーウォッチ「ビッグ・バン」コレクションのスマートウォッチ「ビッグ・バン e」。

このモデルには、機械式の複雑機構であるパーペチュアルカレンダーやGMT(デュアルタイム)モデルの機能を再現したウブロ独自デザインの文字盤、そして文字盤のカラーが3時間ごとに自動的に変わり、また1時間ごとに5秒間の動画が全面タッチ式のディスプレイに再生されるという、このブランドらしい遊びも標準で用意されている。また随時、一流アーティストによるウォッチフェイスが公開され、ダウンロードして使える。
パーペチュアルカレンダー表示(左)。右のようなレインボーカラーやアート作品の表示も鮮やかだ
パーペチュアルカレンダー表示(左)。右のようなレインボーカラーやアート作品の表示も鮮やかだ
ケースサイズは直径42mmで、ケース素材はセラミック、またはチタン。ラバーストラップ。3気圧防水。内蔵するチップは実績のあるクアルコム® スナップドラゴン・ウェア™ 3100で、OSにはGoogleのWear OS by Google™を採用する。対応スマートフォンは、バージョン6.0以降のOSを搭載したAndroidスマートフォン、またはiOS12.0以降を搭載したiPhone。価格はチタンケースモデルで55万円(税別)から。
https://www.hublot.com/ja-us/news/hublot-big-bang-e

ゴルフ対応モデルも新登場
──タグ・ホイヤー コネクテッド ゴルフエディション

スポーツに関わる機能を備えるのは、最新のスマートウォッチの魅力の一つだが、最新モデルの中にはゴルフのための専用アプリを搭載し、スコアを記録するゴルフカウンターの機能やGPSによるショットの飛距離の算出など、ゴルフウォッチとしての機能を充実させたものも登場している。

名門ウォッチブランド「タグ・ホイヤー」は、高級時計ブランドの中でも最も早く、2015年からスマートウォッチを発売してきた。そして創業160周年を迎えた2020年3月、「タグ・ホイヤー コネクテッド」の第3世代モデルを発表。さらに6月には新開発のゴルフアプリを搭載した「タグ・ホイヤー コネクテッド ゴルフエディション」を追加発売した。
ロゴ入りのボールなどの付属品もこのモデルの魅力。交換用のブラックストラップも標準で付属する
ロゴ入りのボールなどの付属品もこのモデルの魅力。交換用のブラックストラップも標準で付属する
3世代目に当たる本モデルは新たに心拍センサーを搭載。さらにタグ・ホイヤーのスマートウォッチでは初の、ゴルファーのために開発されたスペシャルモデル「ゴルフエディション」では、専用開発されたスマートフォン&スマートウォッチ用のゴルフアプリを搭載。この2つを連携させることで、世界中の約4万コースのデータを使って、コースの3Dマッピング、ハザードまでの距離、ショットの記録、スコアカードなど、さまざまな機能を実現している。ゴルフ以外のスポーツにももちろん対応しているし、最新チップを採用したことでスマートウォッチとしての機能も申し分ない。
ケース裏には心拍センサーを搭載(左)。普段は最新のスマートウォッチとして活躍してくれる(右)
ケース裏には心拍センサーを搭載(左)。普段は最新のスマートウォッチとして活躍してくれる(右)
内蔵チップはクアルコム® スナップドラゴン・ウェア™ 3100。OSにはGoogleのWear OS by Google™を採用。ケースサイズは直径45mmで、ケース素材はブラスト加工されたチタン。グリーンのステッチが入ったホワイトのゴルフストラップ。さらにブラックラバーストラップとタグ・ホイヤー ロゴ入りゴルフボールとティー、ディボットツール入りボックスも付属する。対応スマートフォンは、バージョン6.0以降のOSを搭載したAndroidスマートフォン、またはiOS10.0以降を搭載したiPhone。価格は27万5000円(税別)。
https://www.tagheuer.com/jp/ja/tag-heuer-connected/golf.html

G・ノーマンも絶賛のゴルフ用モデル
──ガーミン マーク ゴルファー

左から通常の時計表示、クラブトラッキング表示、ピンポインター表示、風向きと風速表示
左から通常の時計表示、クラブトラッキング表示、ピンポインター表示、風向きと風速表示
高性能なGPS機能などでプロアスリートの愛用者も多い「ガーミン」も、製品ラインの最高峰に位置する「MARQ(マーク)」コレクションに、2020年秋から新たにゴルファー用の「マーク ゴルファー」を追加した。

ゴルフ界の伝説であるグレッグ・ノーマン氏も絶讃するこのモデル。本体には世界4万1000コース以上のゴルフコースをフルカラーで収録。グリーンの形状やレイアウトを表示するグリーンビュー機能、ブラインド状態でもピンの方向を表示してくれるピンポインター機能、グリーンのフロント/センター/バックエッジまでの距離が一目で分かるヤーデージ計測機能、見えないハザードも分かるハザードビュー機能、コースの高低差を考慮した推奨距離を表示する機能、風向きと風速を表示する機能、パッティングを除く全てのショット位置や使用クラブ、飛距離を自動的に記録する機能など、“プロフェッショナルGPSウォッチ”というコンセプトを体現した高度な機能を満載。他のアスリート用モデルと同様に、世界中のゴルファーから絶賛されている。
ゴルフ界のレジェンド、グレッグ・ノーマンもこのモデルの愛用者だ
ゴルフ界のレジェンド、グレッグ・ノーマンもこのモデルの愛用者だ
また、スコアカード管理はもちろん、ストローク分析、さらにプレーの傾向を把握し、風速や風向きを考慮しながら、推奨のクラブや打つべき距離を表示してくれるバーチャルキャディ機能も利用できる。

さらにゴルフクラブに取り付けるApproach CT10 クラブトラッキングセンサー(3個が標準で付属)などを活用すれば、ショットの位置や使用クラブの番手を自動的に記録できる。この機能もゴルフ好きには見逃せない。
バーチャルキャディ画面(左)。トラッキングセンサー(中央)は、動きの検出が難しいパターなどに装着する
バーチャルキャディ画面(左)。トラッキングセンサー(中央)は、動きの検出が難しいパターなどに装着する
GPS技術のパイオニア、ガーミンが持てる技術を惜しみなく注ぎ込んで、さまざまな分野のプロフェッショナルのために開発したスマートウォッチの最高峰「MARQ(マーク)」コレクションの最新ゴルフモデル。心拍センサーも搭載し、健康関連の機能も充実。さらに消費電力の少ない独自の半透過メモリインピクセル液晶ディスプレイを採用することで、明るいグリーン上でも抜群の視認性と、GPS機能を使わないモードなら約12日間という驚異的なバッテリーライフを実現(GPSモードでは約24時間)している。

また、OSからアプリまで独自開発し、汎用OSでは対応不可能なスポーツにも対応。プレー中の誤操作を避けるためにあえて操作をタッチ式ではなくボタンによる選択式にするなど、独自のこだわりも特徴となっている。ケース径は46mmで、ケース素材は軽量なチタンで10気圧防水。ジャカード織りのナイロンストラップ。クラブトラッキングセンサーのほかに、ワンタッチで交換できるシリコンラバーストラップも付属する。価格は26万円(税別)。

https://www.garmin.co.jp/products/wearables/marq-golfer/#devices

日常からスポーツまで全てをカバー

機械式時計はダイバーズやクロノグラフ、ドレスウォッチなど、使い方に合わせてそれぞれ購入するもの。だがスマートウォッチはたった1本でさまざまな用途をカバーしてくれるオール・イン・ワン的な機能を備えている。

今回ご紹介したゴルファー用モデルも含めてどのモデルも、スポーツの際に頼りになるばかりでなく、日々の生活を便利で快適、そして豊かなものにしてくれる。またそれぞれにデザインや機能にブランド独自のこだわりが貫かれている上に、自分に合わせてさまざまなカスタマイズができる。別売りのパーツを購入しなくても、設定の変更だけで簡単に「自分だけの1本」になるのだ。これが機械式時計にはないスマートウォッチの大きな魅力。この機会に、ぜひ楽しんでみていただきたい。

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