THE GREATEST ROOTS Vol.2 アメリカン・モータースポーツカルチャーの聖地を巡る

長き伝統をもつラグナ・セカ・レースウェイ、モントレー・カー・ウィークの存在が示すとおり、アメリカ西海岸には単なる “移動手段” としての存在を超越した、自動車・モータースポーツのカルチャーがその土地に深く根付いている。

モーターレースの歴史に燦然と輝くオールドサーキット、ラグナ・セカ・レースウェイがあるカリフォルニア州モントレー。世界的なジャズフェスティバルの開催地としても知られるこの街は、毎年8月3週目に世界中から “Car Guys” たちが訪れる、モントレー・カー・ウィークが開催される。年代を越えたレースカー、スポーツカーたちが芝生の絨毯に並ぶ「モータースポーツ・ギャザリング」をはじめ、“世界一美しいクルマ” を決定する名声高きコンクール「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」も、この地が舞台だ。この華々しきアメリカ自動車文化の象徴といえるモントレーの街で、LEXUS RC F GT3 がしのぎを削る「IMSA ウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ」は、開催されるのである。

ロサンゼルスのハリウッド・サインを模した “コークスクリュー” のサインもラグナ・セカの名物。

ラグナ・セカ・レースウェイが戦いの舞台

IMSA ウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第 11 戦の火蓋が切られたのは、モントレー・カー・ウィークのフィナーレから 1 週間ほどのブレイクを置いた 9 月最初の週末。数々のレースやスポーツカーイベントで加熱した街に、エンスー熱が冷める気配は微塵もない。

レースウィークエンド 1 日目。早朝からラグナ・セカ・レースウェイへと向かう。海岸線から内陸に向かって隆起するプロフィールをもつ土地にレイアウトされたサーキットへの道中は、西海岸特有の濃い朝靄に覆われていた。しかし、サーキット敷地に入り、続く急勾配のワインディングを登っていくと視界が一気に開け、霧が雲海のごとく眼下に広がる絶景へと一変。すでにウォームアップを開始したレースカーのエキゾーストノートが蒼く高い空に響き、その幻想的ともいえる舞台設定に訪れるものの胸は否が応にも高鳴る。

LEXUS RC F GT3 は重厚なエグゾースト・ノートを轟かせ、名だたるライバルたちとの接戦を繰り広げた。

ドライバー、エンジニアが一丸となって戦う2シーズン目の IMSA

GTデイトナクラスのシリーズ総合 3 位でレースウィークエンド入りした LEXUS TEAM の面々だったが、スタート直後の接触アクシデントで、2度にわたり再スタートが切られる波乱含みの展開に翻弄される。瞬時にコースをクリーンにしてまた激しいバトルが再開される、この間髪を入れないほどの目まぐるしいアクションの連続に目を奪われるのも、アメリカンレースの特徴かもしれない。トラブル続きの序盤にも関わらず、14 号車 RC F GT3 はレース中盤に4番手まで追い上げる活躍を見せた。最終的には 14 号車がクラス 10 位、15 車は 7 位の結果だったが、LEXUS TEAM は今シーズン、ミッドオハイオとヴァージニアラウンドで優勝を果たしている。

「今シーズンはまだ2年目ながら、2 度の優勝を果たした。どちらもエキサイティングな戦いの結果だ……ドライバー、エンジニアが一丸となって、もてるポテンシャルを最大限発揮することにフォーカスしているのが私たちの強みだろう」と語るのは、マクラーレン F1 チームでレースオペレーションズディレクターを務めたこともある LEXUS のエンジニア、スティーブ・ハラム氏。「GT3 レースのいいところは、LEXUS、フェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニといったクルマが肩を並べて勝負を競う点だ。LEXUS にとってもパフォーマンスの高さを世に知らしめる最高の機会だと思っているよ」

IMSA ウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップのペースカーには 3 台の GS F が活躍している。

世界トップレベルでのレース活動が未来の「F」を作る

スパ・フランコルシャンの「オー・ルージュ」と並ぶラグナ・セカの伝説的コーナー「コークスクリュー」。1つのS字コーナーで10m以上も丘を下る世界屈指のスリリングなコーナーだ。そんな人々を惹きつけるトラックには「LEXUS」のサインボードが数多く設置されていることに気づく。これは 2018 年より LEXUS がラグナ・セカ・レースウェイのオフィシャルパートナーを務めているためだ。IMSAのペースカーには、GS F が採用されている。

「LEXUSは、グローバルプログラムの一環としてモーターレースに一層本格的に関わり始めました。北米、ヨーロッパ、アジアの各国でレース活動を行うことで、LEXUS には『F』というトップレベルで戦えるパフォーマンスモデルがあるというメッセージを、全世界に発信しているのです」と語るのは、アメリカでモータースポーツのマーケティング活動を指揮するマーク・エッガー氏。「LEXUS がレースに関わる。これはブランドの哲学に関連する重要なポイントです。より良いレースカーを作ろうとするエンジニアは、やがて市販車の開発にも携わるようになります。するとこう言います。『レースの時は、この問題にこう対処した』『レースカー開発のこの経験は、市販車のここに応用できるんじゃないか』とね。そうするとさまざまなトリクルダウンが起こる。時間はかかりますが、その丹念な開発の試みが『F』や『F SPORT』となって世の中にリリースされていくのです」

ペブルビーチ・ゴルフリンクスのエントランス。憧れのコースはこの扉の向こう側に。
誰もが一度はプレーを夢見るリンクスの代表格、ペブルビーチのゴルフコース。

LEXUS 誕生にゆかりあるペブルビーチ・ゴルフリンクス

レースウィークエンドの翌日、GS F のハンドルをペブルビーチ・ゴルフリンクスへと向けた。ここはいわずと知れた「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」の会場だ。雄大な太平洋の海景をバックに美しいゴルフコースが広がり、モントレー・カーウィークの最終日には「世界一美しい自動車」の称号をかけてエントリーした名車の数々がずらりと並ぶ。

実は LEXUS とペブルビーチの関係は、アメリカでのブランド誕生から脈々と続いており、これまでにもニューモデル発表の舞台として選んだり、またゴルフコースの名前を冠した LSESRX の「ペブルビーチ・スペシャル・エディション」をリリースしたこともあるほど。前述のマーク・エッガー氏もペブルビーチを「LEXUS にとって “ホーム”といえる場所なんだ」と誇らしげに語る。

この両者によるコラボレーションはさらに進化、現在では LX がペブルビーチ・リゾートのオフィシャルビークルとして採用され、世界各国からプレーに訪れるゲストの送迎を担っている。

クエイル・ロッジ・アンド・ゴルフクラブのフラットなコースが両サイドに広がる絶景ロード。

リュクスが漂うクエイル・ロッジ・アンド・ゴルフクラブ

ペブルビーチ・コンクール・デレガンスと比肩するモントレー・カー・ウィークの注目イベントが「モータースポーツ・ギャザリング」だ。後者も同じく高級ゴルフクラブとして知られるクエイル・ロッジ・アンド・ゴルフクラブで開催されるが、海を望むペブルビーチに対して、内陸の地に位置し、西海岸のバラエティに富んだ景色を実感する。クエイルの名前こそ全国区ではないかもしれないが、夏のいくぶん乾いた、緑を揺らすそよ風が心地よい。クエイルでは、洗練されたクオリティとリュクスが、至極自然に醸し出されていることを直感できるのだ。ゴルファーだけでなく世界各国から観光客が訪れ、終始賑やかさの絶えないペブルビーチとは対称的に、ゆったりと流れる時間がエクスクルーシブな雰囲気をさらに高めている。

広大なゴルフコースを貫く周辺道路を走ると、木々の緑が刈り揃えられた美しい植栽とゴルフコースの凛とした佇まいを、まるでオアシスのようにも感じる贅沢な時間となる。

この地特有の美しい花や草木と透き通る光が織りなすレイヤーは非日常の風景を生み出す

美しき緑の絨毯に並ぶレースカーの祭典

この気品高きクエイル・ロッジ・アンド・ゴルフクラブで開催されるモータースポーツ・ギャザリングは、その名の通りモータースポーツ文化を讃えるイベントだ。この美しいゴルフコースのビロードのような緑の芝の絨毯に、一世紀に及ぶ歴代の希少なレースカーがずらりとラインアップされ、ゲストの人数を制限していることから入手困難なプラチナチケットとしても知られている。

近年は、各ブランドがパフォーマンスモデルをアンヴェールする場としても注目されており、LEXUS も「LC インスピレーションシリーズ」、「UX 250h」の両コンセプトモデルを発表した。

今回のロードトリップはこのクエイルが最終地点となった。GS F による全走行距離 1,000 マイルを超えるロングドライブとなったが、広大な土地にあるアメリカ西海岸には“移動手段”という単なる生活の必需性を超えた自動車カルチャーが存在することを体感できた。モントレー・カーウィークやラグナ・セカ・レースウェイの歴史とレガシーはその証左といえる。

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