JOURNEY

グリーンのあるライフスタイルについて考える
前編

2017.12.15 FRI
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グリーンのあるライフスタイルについて考える
前編

2017.12.15 FRI
グリーンのあるライフスタイルについて考える 前編
グリーンのあるライフスタイルについて考える 前編

集合住宅が多く、居住空間が限られ、庭が貴重な存在となっている現代の都市部での生活。そんな状況において、人々の緑へのニーズが高まっている。本記事では、ガーデニングやアウトドアなど、昨今の人々の緑との関わりについて前編と後編に分けてリポートする。

(読了時間:約4分)

© 2017 Stylus

緑を求めるトレンドを牽引するミレニアル世代

現代という時代の不安定性や、都市部における居住空間の縮小化、そしてインターネットというテクノロジーによって24時間365日、あらゆるものとつながっているような生活。そうした環境において、人々の心は、穏やかな自然へと向かっている。
アメリカのインドア·ガーデニング産業は、2010年以来売上高が8%増加している © unsplash
アメリカのインドア·ガーデニング産業は、2010年以来売上高が8%増加している © unsplash
その中でも特にミレニアル世代の多くが、ガーデニングへの関心を高めており、屋内でガーデニングを楽しんだり、自然や植物にフォーカスしたInstagramのアカウントに注目したり、都会での木登りといったアクティビティを通じて、癒やしを得ようとしているのだ。

こうした緑を求める人々のニーズに応えるべく、一部の企業は、園芸教室や、手軽にガーデニングが楽しめるプロダクト、あるいは、ラグジュアリーなアウトドア用家具などを手がけはじめている。

ナショナル·ガーデニング·マーケットリサーチ会社の2015年の調査結果によると、アメリカの家庭の3/4がガーデニングを楽しんでいる。同年のアメリカの消費者におけるガーデニング関連支出は360億ドル(約4兆円)にまで達し、2014年までの過去5年に渡る減少傾向から増加に転じた。
米国で2015年にガーデニングをはじめた600万人中500万人がミレニアル世代  © unsplash
米国で2015年にガーデニングをはじめた600万人中500万人がミレニアル世代 © unsplash
このトレンドを牽引しているのはミレニアル世代だ。同社による2016年の調査結果では、2015年に新たにガーデニングをはじめた600万人中500万人が、18歳から34歳のミレニアル世代だった。

居住スペースが縮小し、庭が希少な存在になるにつれて、都市生活者たちは屋内で植物を育てることで自然への欲求を満たしている。アメリカのインドア·ガーデニング産業は、2010年以来売上高が8%増加しており、2015年には10億ドル(約1,100億円)に達している(Garden Media、2016年)。また、イギリスにおけるインドア·ガーデニング市場も、2021年までに毎年6%増加するとされている(IbisWorld、2016年)。


人気を集める、ガーデニング関連のエンターテインメント

そんな中、植物関連のエンターテインメントが人気を集めはじめている。2016年、アメリカでは、FOXニュースやESPN(ブルームバーグ、2016年)に次いで、プロの庭師による庭のリフォーム番組「Yard Crashers」などを放送するホーム&ガーデンテレビ(HGTV)が、人気ケーブルネットワーク第3位にランクインした。
ホーム&ガーデンテレビ(HGTV)による番組の1シーン © HGTV
ホーム&ガーデンテレビ(HGTV)による番組の1シーン © HGTV
このランキング結果は、「女性とミレニアル世代の視聴者の増加によるところが大きい」と、HGTVのジェネラルマネジャーであるアリソン・ペイジ氏は語る。ブルームバーグのレポートによれば、「HGTV視聴者の多くは、平均年収83,600ドルの高学歴な郊外在住の女性」だという。一方イギリスでは、BBCの長寿番組である「Gardeners' World」が1放送あたり250万人もの視聴者を獲得している。
「Pantone」が2017年の色として発表した「Greenery」 © Ed Reeve
「Pantone」が2017年の色として発表した「Greenery」 © Ed Reeve
こうした傾向を受け、2016年12月、カラーレファレンスや色見本をグローバルで展開しているメーカー「Pantone」は、2017年の色を「Greenery」と発表。「Greenery」の明るい黄緑の色調は、自然とのつながりに対する欲求を象徴している。

「Pantone's Color Institute」の副社長、ローリー・プレスマン氏は、「PantoneのGreeneryは、再生や若返り、活性化、補充を求める私たちの欲求の表れだ。生理学的にも、緑色は神経系にいい影響を与え、ストレスホルモンの生成を遅らせることで心を落ち着かせる効果がある」と語っている。

以上のように、前編では緑を求める都市生活者の緑に対するニーズの高まりについて紹介してきたが、後編では彼らのニーズに応える、様々なプロダクトやサービスについて紹介していく。

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