ART / DESIGN

LEXUS DESIGN AWARD 2017 PANEL FINALISTS

2017.01.31 TUE
ART / DESIGN

LEXUS DESIGN AWARD 2017 PANEL FINALISTS

2017.01.31 TUE

PANEL FINALISTS

Lexus Design Award 2017 入賞12作品の内、Milan Design Weekにて8作品のパネルを展示。

BUOYANT MEASURING SPOON FOR THE BLIND

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目に見えないが、触覚目盛で計量が可能な視覚障害者のためのスプーン

量りの目盛を読むことが困難な視覚障害者にとって、触覚は目の代わりとなり得る。私は視覚障害者のために、手で触って目盛が読める特別な計測スプーンを提案したい。浮力のある計測スプーンには点字が施されており、視覚障害者はこれに触ることで正確に計測することができる。

THE LANDSCAPE OF PAPER

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伝統技法と現代のテクノロジーを使い、通常使い捨てられるものを付加価値を付けて生まれ変わらせた素材

リサイクル可能な素材は適切に分別さえすれば、誰も捨てるという行為自体に疑問を抱かない。消費者は「リサイクル」に対して肯定的だが、その素材の価値についてまで考えることはほとんどなく、地球の環境危機に気づかずにいる。私が古紙に興味を持ったのは日常生活で紙を使う場面が多く、過剰に消費されているからである。そのため私はリサイクルよりも、紙の寿命を延ばすアップサイクルに重きを置いている。また私は日本の伝統的な柿渋染に出会った。この自然のコーティングは紙に防水性を付与し、防虫効果があり、光沢を与え、耐久性も向上させる。皺の寄った古紙に柿渋を塗ると、和紙に施される伝統的な処理と同様の効果が得られる。さらに、紙の皺を延ばすことで魅力的な模様が浮かび上がって来た。この伝統的な技法をデジタル技術やレーザーカッターと組み合わせ、無駄を最小限に抑えたスリットを作り、繊細な紙から頑丈な3D構造を創り出すことができた。相反するものを調和させることで、不用品を価値ある素材に変えた。伝統的な工芸技術とデジタル技術を融合させることで、新しい紙を作り出すことができた。

MASS PRODUCTION TO UNIQUE ITEMS

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大量生産の陶磁器も、唯一無二の一品へと生まれ変わらせることができる移動型窯

陶磁器は日本国内だけでも年間58,344,424 kgが制作され、世界ではさらにそれ以上がつくられている。大量生産された陶磁器のほとんどが使われることなく廃棄される。我々の窯を使用すれば、廃棄又は未使用の陶磁器を新たに「唯一無二」の一品に再生することができる。この窯は持ち運び可能であり、熟練陶芸家の指導があれば誰でも扱うことができ、炭や木を燃料に2~3時間使用することができる。1300℃以上の熱の中で炭と木が溶解し、陶磁器に定着することで、自然の力による新たなデザインが生まれる。完成した陶磁器には製作者独自の新たな価値が加わるのである。これらの陶磁器は大量生産されたものではあるが、再び火を通すことによって生まれ変わることができる。大量生産品と唯一無二の一品は相反する概念であるが、この窯はそのギャップの架け橋となる。この窯は多くの陶芸初心者によって作られ、またこの窯を使用した実験的なイベントが行われた。

PAPER KETTLE

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本来可燃である紙素材を用いた耐火ケトル

紙と火は相反するものであり、共存できない。しかし私が調べたところ、日本では1732年頃から紙で作られた鍋が使用されていたことがわかった。この鍋は全て紙で作られているにもかかわらず料理に使用できる。紙の燃焼温度は水の沸点である100度より高い300度付近だからである。水を含んだ紙は焼けない。さらに紙には柔軟性があり軽く、水を沸かすことができるため、アウトドアユースに最適であることに気づき、世界最軽量のケトル制作を目指した。デザインを考え、選び、紙で様々な型を試した。形状と機能の向上のため細部にまで加除を施し、美しいデザインのものができあがった。紙ケトルは低予算で制作できるため手頃な価格で提供でき、キャンプやハイキングにも格好である。使用後は燃やせるのでゴミにもならない。

PLATANACEAE

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天然の生分解性を持ちながら、合成物質のように鎮静効果をもたらす、
バナナの葉を用いた火傷用絆創膏

Platanaceaeは家庭用の火傷用応急絆創膏で、腕や手首、手のひら、指など家庭で火傷を負った個所にフィットするよう作られている。水分を含んだバナナの葉は、火傷した皮膚に心地よく、またこの絆創膏は接着剤が皮膚に触れず、手や腕の形状に合わせて患部を包み込めるようになっている。火傷用の絆創膏は通常24時間以内に交換されるが、バナナの葉の絆創膏は時間が経過すると自然に皮膚から剥がれ落ちる。バナナの葉は熱帯地方に豊富に存在する資源である。私はバナナの葉の応用方法について研究しているとき、この葉を火傷患者の絆創膏として使用することを思いついた。研究によれば、バナナの葉の絆創膏は市販品と同等かそれ以上の効果があるという。このアイデアは、利用者(医学、人間工学)のニーズと、バナナの葉の性質(製造、保存)を研究、分析することで生み出された。

POD: HOMELESS YET HOME

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移動を余儀なくされた人々のための、一時的なシェルター

PODは避難民の中期的な住居問題を解決するモジュール型住居で、世界のどこでも迅速に設置することができる。ひとたびPODが到着すれば、現地の人でも容易に組み立てられる。PODを共同で設置することによって、不安定な時期であっても仲間の居住者たちとコミュニティ感覚を共有することができる。

PODは伸縮可能な正方形のフレームでデザインされており、人が集まるエリアには広いスペースを、就寝用には小規模なスペースを提供できる。構造体の金属フレームに一体成型された頑丈な繊維状の外壁は居住者を天候から護ってくれる。PODモジュールを現場の地形に合わせ、耐久性を向上させるために、構造体に足を付けてPODを持ち上げ、設置場所への物理的影響を最小限に抑えることで優れた安定性と安全性を確保することができる。

組み立てられたPODモジュールは様々な組み合わせで結合、配置することができるため、居住者が親しみやすい都市型生活の新たなコミュニティを創造することができる。この柔軟性は避難民の危機的状況下ではしばしば蔑ろにされてしまう人間の尊厳や、基本的権利を回復させるものである。

RETROSPECTION PROJECT / TIME TUNE RADIO

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過去から現在までのプログラムを再生することができる、ハイテクでレトロなラジオ

この革新的なラジオは物質社会が求める「効率性」を「時間をかける」ことで、失われた価値と調和できることを示している。このラジオには昔ならではの三つの特徴、すなわち楽しい労力、前向きな気持ち、そしてエルゴノミックなアナログ操作が備わっている。その外形はダイヤルやアンテナを根気よく動かす初期の無線受信機を思い起こさせる。

ユーザーはこのレトロなラジオで過去から現在までの、あらゆるラジオ番組を聴くことができる。チューニング・ダイヤルはインターネット上に保存されたアーカイブプログラムにリンクしている。一般的にラジオ放送の限られた情報量は、テレビやその他のメディアよりも想像力を掻き立て、コミュニケーションを促進する。

その昔、ラジオは遠く離れた人々がコミュニケーションを取るという奇跡を実現した。そして2011年の地震と津波の後でも、ラジオは被災者が情報を得るための最も便利なツールとなった。このラジオのレトロな技術は過去の偉業を振りかえるだけでなく、未来の形も提案した。

ラジオは音や言葉しか送信できないが、想像力が刺激されるため、新たな時間の感覚が生まれる。技術改良されたこのラジオは、歴史だけでなく私たちの先達の人生や価値観にも触れさせてくれるのである。

TRAFFIC LIGHT SYSTEM

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シンプルかつ洗練された信号機

イノベーションが急速に進む今日でも、信号機のように重要な製品が一世紀以上もの間、ほとんど変わっていない。私はそこに改良の余地は無いものかと考えた。このプロジェクトを通じて、信号機の改良がいかに複雑かつ重要であるかについて気付かされた。信号機の概念は人々に定着している。プロジェクトの主な課題は、信号機と人々の相互作用を再考することであった。一見すると単純だが、実際は複雑な機能を有している。信号機のデザインには革新性に欠けているため、優れた製品を作るチャンスがある。成功の秘訣は、シンプルかつエレガントな最新システムによって、機能性と美しさの調和を図ることだ。このアイデアが実現すれば、より安全で、運転しやすくなり、景観も改善し、生活の質が向上するに違いない。完成した信号機はシンプルなソリューションだが、各部の連動や利用シーンは複雑である。

ユージン・パーク

韓国 (Residence : 韓国)

略歴:ユージン・パークは、釜山の東西大学で産業デザインを専攻する4年生。彼女がプロダクトデザインに興味を持ったのは、プロダクトデザインが人々に利便性とインスピレーションを与えることができるから。

前田 邦子

日本 (Residence : イギリス)

略歴:前田邦子は京都で伝統的な木彫りを学ぶ。彼女の関心は素材のライフサイクルとサステイナビリティにある。チェルシー・カレッジ・オブ・アーツのテキスタイル・デザイン学士と修士。テキスタイル・デザインを通じて、素材のライフサイクルの研究。

TAKEHANAKE-Bungorogama

竹鼻 良文, 奥田 文悟, 奥田 章
日本 (Residence : 日本)

略歴:竹鼻良文は東京を拠点にする建築家兼デザイナー。奥田文悟と奥田章は滋賀に信楽焼窯元のBungorogamaを主催。3人は「TAKEHANAKE Bungorogama」のグループ名で共に活動している。

片山 諒

日本 (Residence : 日本)

略歴:片山諒は多摩美術大学でプロダクトデザインを学んだ。片山は日本の職人気質が生きている伝統的な製造技法に興味がある。小林製薬株式会社・Wemakeのデザインコンペティションで賞を受賞。

パウラ・セルメーニョ

ペルー (Residence : スイス)

略歴:パウラ・セルメーニョは植物の可能性を探り、植物と人の健康を研究するプロダクトデザイナー。スイスのローザンヌ美術大学プロダクトデザイン修士課程在籍。

MODlab

エリック・シュワルツバッハ, ベンジャミン・ワード
アメリカ (Residence : アメリカ)

略歴:ベンジャミン・ワードとエリック・シュワルツバッハは、2016年よりMODlabとして制作を開始し、建築、都市計画、学際的デザインに重点を置いている。

産田 拓郎

日本 (Residence : 日本)

略歴:産田拓郎は2016年に多摩美術大学プロダクトデザイン科を卒業。東京を拠点とするプロダクトデザイナーとして、自然に対する洞察や物が持つ可能性を根拠にした作品を制作する。彼のプロジェクトは、陳腐化した技術や道具で未来を描くことに焦点を当てている。

エヴゲニー・アリーニン

ロシア (Residence : ロシア)

略歴:エヴゲニー・アリーニンは、ロシア、モスクワ出身の産業デザイナー。2014年、モスクワのブリティッシュ・ハイヤー・スクール・オブ・アート・アンド・デザインを卒業。過去2年間、モスクワ運輸課、モスクワ地下鉄及びイギリスのデザイン事務所Billings Jackson Designで交通や都市インフラに従事。

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