DESIGN DRIVEN Vol.2スペインの美しい陽光に彩られる欧州最高峰の GT レースへ

モーターレーシングのヘリテージを誇る欧州のプレミアムブランドを相手に、RC F GT3 がしのぎを削る、欧州 GT3 レース最高峰の「ブランパン GT シリーズ」。2018 シーズンの最終ラウンドを“体験”すべく、バルセロナ郊外にあるカタロニア・サーキットへと向かう。

バルセロナ市街から北東方向へ RC F を走らせる。出発直後は、大都市ならではの碁盤状グリッドを小気味良くハンドルを切って抜けていくが、しばらくすると郊外へ向かって小高い山の連なりと、蒼い空が顔をのぞかせる幹線道路へと踊り出る。信号間のインターバルも少しずつ距離が長くなり、RC F の伸びやかな走り出しと高いスタビリティをより如実に感じられるようで、ドライブフィールが研ぎ澄まされていく。

もう秋はすぐそこ、とはいえ地中海性気候らしく、まだまだ温暖なバルセロナの街をあとにした目的地は、欧州 GT3 レースの最高峰に君臨する「ブランパン GT シリーズ」のファイナルラウンドが開催されるカタロニア・サーキット。約 1 キロもあるホームストレートを含むコース全長は 4.6 キロあまりで、コーナー数は16を数える。F1 や Moto GPも行われる、言わずと知れた名門サーキットだ。この地で、2017 年シーズンのインターナショナル GT オープンにフル参戦したのち、舞台をブランパンに移して、GT レースの頂点を目指すスイスの雄「エミル・フライ・レクサス・レーシング」が RC F GT3 を駆って 2018 シーズン最後の戦いに挑む。

RC F GT3 はシーズンを通して、世界中のメーカーの GT3 カーと激しい戦いを繰り広げた

耐久レース部門1位で迎えた最終ラウンド

ブランパン GT シリーズは、エンデュランス(耐久)とスプリントの 2 つに分けられたレースカテゴリーで構成される。スプリントカップの最終ラウンドはひと足早く 9 月中旬に行われていたため、我々が赴いた 9 月最後の週末( 9 月 29 - 30 日)は、エンデュランスのフィナーレであり、また 2018 シーズンを通した総合チャンピオンシップの栄誉が掛かる注目の一戦だった。エミル・フライ・レクサス・レーシングも、ブランパン GT 参戦初年度というデビューイヤーながら、耐久レース部門で首位をキープしてこの最終ラウンドを迎えた。チームを率いるチーム・プリンシパルのローレンツ・フライ氏はシーズン開幕前、ブランパン GT への参戦理由について「あくまでもクルマを評価するため」と、将来を見据えたテスト参戦的な意味合いをほのめかしていたほどだが、“嬉しい誤算”にチーム関係者やファンのあいだには、レース前から期待と興奮が渦を巻くような状態だった。

LEXUS はクリスチャン・クリエン選手、アルド・コスタ選手、マルコ・ジーフリード選手組がシーズン 1 勝をマーク

ポール・リカールを制した、実り多きデビューイヤー

待望の決勝スタートは、日曜日の午後 3 時過ぎ。この時間帯になると真夏のピークを超え、どこか少し傾いたアングルで差し込む琥珀色の陽光が、サーキットを暖かく包み込む。その美しい陽だまりは、しかし熾烈な戦いを前にした一時の平穏でしかない。52 台のマシンがずらりとグリッド状に並ぶと、続くフォーメンションラップを経て、一斉にフルスピードで3時間レースの火蓋を切った。

上位陣がチャンピオンの座を我が物にしようと熾烈なバトルを展開する一方、エミル・フライ・レクサス・レーシングは、14 号車が 19 番手から上位進出を窺ったものの、9 周目にピットインしリタイアを余儀なくされる。114 号車もレース中盤でリタイアと、ポテンシャルを十分に発揮することができないままシーズン終了を迎えた。がしかし、1 年を振り返るとチームにとって実り多きシーズンだったといえる。5 月に“モータースポーツの聖地”ことシルバーストンで行われた第 4 戦で、初の表彰台フィニッシュ( 3 位)を獲得したのに続き、6 月のポール・リカール 1000km(第 5 戦)では、初優勝を遂げてみせたのだ。シーズン終盤にはスプリントカップでもつねに上位争いを繰り広げ、最終的にチーム総合ランキングは 3 位をマークしてシーズンを終え、望んでいた以上のリザルトを残した。

トワイライトへ向かう耐久レースの景色はドラマティック

GT レース最高峰のブランパンで得た自信と経験

ポール・リカール 1000km での戦績について「あのレースはとても素晴らしいサクセスストーリーでした」と、シーズンを終えたローレンツ・フライ選手は振り返る。「この LEXUS がほかのトップ自動車メーカー、たとえばアウディ、メルセデス、BMW、ベントレー、フェラーリなどの名門と肩を並べて戦い、勝利することができるということを世界に示したのです。デッドヒートの末、ラストラップでベントレーを抜き去って優勝を飾るという偉業は、まさにその証といえるでしょう」

「ブランパン GT の競争の激しさを熟知している私たちは、インターナショナル GT オープンにまずは標準を合わせ、多くのレースで勝利を収めました。そのステップアップとして今年から挑戦を始めたブランパン。GT3 カテゴリーは、優れたマーケティングプラットフォームだと捉えていますが、そのレベルの高さから、2018 シーズンはクルマの性能をテストする場との位置付けでした。これほどの成功を収めることができるとは思ってもいませんでした」とデビューイヤーを満足げに総括した。

眼下にバルセロナの街を望みながら、心地よい風とエンジン音に身をゆだねる格別のドライブ

白熱したレースの余韻を胸に“寄り道ドライビング”

カタロニア・サーキットでの熱戦を目の当たりにした翌日、耳の奥に響く GT マシンのエキゾーストノートの残響と、3 時間におよぶレースの興奮が覚めやらぬまま、RC F に乗り込むと、ハンドルを握る手にも自然と力が入っていることに気づく。そこで“クールダウン”として、ハンドルを向けたのは、標高 512 メートルの高台からバルセロナの街を望む「ティビダボの丘」。地理的にバルセロナは、地中海と小高い山の連なりに挟まれたロケーションにあり、ティビダボの丘の頂上には、まるで街を守護するかのように荘厳なサグラット・コール教会が建つ。すぐそばにはイギリスを代表する世界的建築家、ノーマン・フォスターが船のマストをイメージしてデザインしたインダストリアルな電波塔も、負けず劣らずの存在を示している。そんな新旧のデザインが交錯するユニークな風景を車窓越しに見ながら RC F を駆る。

バルセロナを丘から眺めれば、新旧のアイコニックな建築が融合する都市だということがすぐにわかる

ワインディングで発揮される RC F の真価

このエリアは、比較的短い距離のあいだに勾配が一気に上昇する地形プロフィールをもつため、テンポよくカーブが続くワインディングロードのドライブを堪能できる。“クールダウン”にはもってこいの場所だ。2輪ライダーも数多く集まり、それぞれが自分のスタイルとスピードでドライビングを愉しんでいる様子がそこかしこで見てとれる。

我々も地元ローカルだからこそ知るこのドライビンスポットでワインディングを堪能してみた。前述のとおり、短距離で勾配が一気に上昇する地形だが、足腰の強靭なアスリートのごとく、アクセルの入力に対して忠実にスピードを上げていく RC F。ヘアピンカーブに近いターンの連続にも地に這いつくような確かな重心を発揮、さらにはアクセル同様、細かなハンドル入力に対しダイレクトに適応してくれるので、ドライバーがイメージしたとおりのラインを的確にトレースする走りが実現できる。バルセロナ市街やカタロニア・サーキットへ向かう幹線道路では味わえなかった RC F の“真価”を堪能することができた。

RC F のヒートブルーは地中海の街によく似あう

バルセロナの街が“ミニチュア”に見える絶景を満喫する

この小高い稜線が連なる坂道の途中にあるのが「Carretera de Les Aigües」だ。直訳すれば“水が流れる道路”の意味で、約9キロに渡って未舗装の道路が延びている。もともと水路がこの地にあったためのネーミングだというが、そこからサグラダ・ファミリアを左手奥にして広がるバルセロナの街全体を、文字どおり一望できる。まるで“ミニチュア都市”を見ているかのような錯覚に駆られる絶景はオススメだ。市街から距離にして 9 キロほどしかないため、平日、週末の隔てなく、ドライブを楽しむ人たちはもちろん、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど、それぞれのスタイルでこの隠れた“サンクチュアリ”を満喫する市民の姿を垣間見ることができる。RC F で力強く丘陵を駆け上がり、静かにこの美しい景色を堪能するのもまた格別だ。


F1 では伝統の 1 戦であり、欧州最高峰の GT レースが最終戦の地に選んだバルセロナは、ドラマティックな造形の歴史的建造物から、クールでスタティックな近代建築といった、新旧が深く調和することで心地よい進化を遂げていた。蒼い空と地中海を日常に抱くこの街の車窓越しの風景は過去から未来への大パノラマで、クルマを愛する人たちを魅了してやまない。

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