GOODWOOD FESTIVAL OF SPEED Vol.3 自動車文化に浸る。伝統のGOODWOOD 体験ツアー
モビリティの未来技術展示、25 周年記念のスペシャルエキシビション、さらには森林をダイナミックに駆け巡るラリーステージ。連載 3 回目の今回は、ヒルクライムレースだけにとどまらないグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)の魅力を一挙紹介する。
観戦に大忙しの 4 日間
「この国にはとても豊かなモーターレースの伝統があるんだ。F1 を例にとっても、10 チーム中 8 チームが英国に拠点を置いている。シルバーストーンやオールトン・パークなどの名サーキットもある。『クルマ』『モーターレース』『スピード』というのは、この国の根幹を成す存在なのだと思う。」そう並々ならぬ FoS の盛り上がりの理由を説明してくれたのは、英国人レーサーで現在、LEXUS RC F GT3 を駆って、北米のウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップで活躍するジャック・ホークスワース選手だ。伝統のヒルクライムでは LEXUS RC F Cup Car を大観衆の前でドライブした。
オートバイも含めると 600 台近いマシンが猛スピードで丘を駆け上がるヒルクライムが、FoS 最大のアトラクションであることに議論の余地はない。ホークスワース選手が言う“モーターレースの伝統”がもっともストレートかつピュアな形で表現されるレースイベントであり、親から子、孫と世代をまたがって訪れる多くの観客が、このヒルクライムを目当てにグッドウッド・エステートへと足を運ぶ。しかし「ヒルクライムレースだけでしょ?」と思ったら、それは大きな見当違い。セレブリティがジャッジに名前を連ねるビンテージカーのコンクールから、自動車史のマイルストーンを盛大に祝すイベントの数々、そしてラリーレースの名車が特設ステージを疾走するラリーステージなど、4日間の会期を費やしても容易にすべてを満喫できないほどバラエティー豊かなコンテンツが用意されているのだ。
ビンテージカーの“リュクス”を愛でる
ダイナミックでアドレナリンみなぎるヒルクライムレースとは対照的に、モーターレース文化が有するもうひとつの側面=“気品とリュクス”をテーマにした「Cartier Style et Luxe」は、アメリカ西海岸で開催される「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」の英国版といった趣き。世界中のコレクターやセレブリティたちのもとから集まった珠玉のビンテージカーを、特別に依頼を受けたジャッジの面々が審査、表彰する。グッドウッド・エステートの中でもひと際存在感のある“お屋敷”、グッドウッド・ハウスの横に広がる緑豊かな芝生の一角で行なわれることもあり、アッパークラスの“庭園パーティー”そのものといった様相の華やかな催しだ。
今年はフォード モデルT(1919 年製)、ポルシェ 356 スピードスター(1955 年製)、ピニンファリーナによるジャガー XK120(1954 年製)、キャデラック・シリーズ 62(1949 年製)、モンテベルディ・375L(1972年製)など、どれも見ればため息をついてしまうようなミュージアム級のクルマがずらりとエントリー。いかにすればこれだけのクルマを一度に世界中から招待できるのだろうか、とビンテージカーのまばゆい輝きを前にしばし頭を悩めるほどのレベルだ。しかし豪華なのはクルマのラインナップだけではない。過去には世界のライフスタイルデザインをリードしてきたテレンス・コンラン卿、ミュージシャンのブライアン・フェリー氏もジャッジを務めた審査員チームには今年、アップルの最高デザイン責任者を務めるジョナサン・アイブ氏、フォードのプロトタイプ「021c」を手がけたことでも知られる世界的プロダクトデザイナー、マーク・ニューソン氏、20歳の英国人女性ラリードライバー、ケイティ・マニングス選手などと並んで、Lexus International President の澤良宏も名を連ねた。
ここで特筆すべきは、二度と間近でみることが叶わないようなヴィンテージ・カーがパーテーションもなく展示され、来場者はクルマの体温が感じられるほどに間近で眺め、さまざまなアングルからシャッターを切ることができる。グッドウッドのこの週末は、美しい庭園のどこでもクルマが手で触れられるほど近くにある。FoSの運営者と名車の出展者たちのクルマを愛する人たちに向けた大きな敬意を感じるのである。
FoS の 25 年を彩ったクルマたちも集結
リッチモンド公爵自身が「自動車にまつわる文化、レガシーに対するセレブレーションの場である」と FoS の存在意義を断言するとおり、自動車史のマイルストーンを記念するイベントは毎年盛大に行なわれる。2017年であればフェラーリのロードカー部門設立 70 周年や、現代 F1 の商業的な成功の一番の功労者であろうバーニー・エクレストン氏のキャリアを祝すセレモニーが行われ、集まった観客を巻き込む一大パーティーが催された。2018 年は、今年 LEXUS F も 10 周年を迎えレーシングカーを含む複数のパフォーマンスモデルをエントリーし、また FoS 自体が 25 周年のアニバーサリーイヤーを迎え、その足跡を振り返るためリッチモンド公爵が初回から現在にいたる 25 年間を彩ったアイコニックなクルマたち(マクラーレン・F1、ケーニグセグ・アゲーラ、マセラティ・MC12などの超豪華ディスプレイ!)をセレクトした特別展示も大きな話題となった。また、2018 年はポルシェ生誕 70 周年にもあたり、このドイツメーカーをテーマにしたコンテンツも豊富であり、なかでも一番のハイライトは、GTレース、ル・マン、シングルシーター、ラリーなど各カテゴリーで歴史に名を刻んだポルシェの名車の数々が、エキゾーストノートを響かせてセレブレーションラップを行うイベントで、締めくくりとしてグッドウッド・ハウス前のモニュメント下に全車が集結したのち、英国の夏空に光り輝く花火を打ち上げた。“セレブレーション”の言葉にふさわしいエンディングは、会場の熱気をさらに盛り上げ観客の心に深く刻み込まれたことだろう。
クルマの未来を垣間見る
最新モデルやスペシャルエディションを展示する各自動車メーカーのパビリオンとならんで、長蛇の列で賑わいを見せていたのが FoS フューチャー・ラボだ。2017 年よりはじまったコンテンツで、「自動運転」「宇宙探検」「ロボティクス」などをテーマにデザインや自動車技術分野における革新的発明をおこなう企業17社が体験型の展示を取り揃えた。ヒルクライムレース史上初となるAI操縦によるドライバーレスカーを出走したロボレース社、VR技術を駆使したドライビングエクペリエンスのブースを設けたサムソン社のほか、好みのドリンクをシェイクしてカクテルをつくってくれるアームロボットなどもあり、エンターテイメント性に富んだディスプレイは若い世代やファミリー層にとりわけ人気だった。
これだけでもすでに“お腹いっぱい”の充実ぶりだが、ヒルクライムのコース沿いに丘を登っていくと、今度は森林のなかに設けられたラリーレースの会場にたどり着く。
「グッドウッドはヒルクライムレースだけではない。グッドウッドのもうひとつの顔がラリーステージだ。1980 年代に幼少期を過ごした僕みたいな人間にとっては、グループ A 、グループ B のラリーカーを目にできる絶好の機会なんだ」と英国の LEXUS マーケティング戦略を統括するジェイソン・スタンリーは興奮気味に語る。
2018 年の話題は、世界ラリー選手権(WRC)の元チャンピオンのリチャード・バーンズ氏のドライブで 2001 シーズンに WRC 優勝を勝ち取ったスバル・インプレッサが完全レストアされ、WRC さながらの林間コースを駆け巡ったことだろう。もちろんアウディ・A1・クワトロ、フォード・RS200、ランチア・ラリー・037 などパワフルなグループ B のマシンも顔を揃えた。
このようにコンテンツの種類、規模とも大幅に拡大して行われた 2018 年は猛暑が連日続いたが、ある意味イギリスには珍しい“夏らしい夏”といえる天候で、観客も大いに満喫できた年だったといえる。続く 2019 年は、25 年の区切りを通過し、未来へと向けて踏み出す新たな一歩となる。果たしてそこにどんなクルマが登場し、どんなストーリーを生まれるのだろうか。
- ※車両は現行モデルとは一部仕様が異なります。
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