いよいよ始まった『DINING OUT AOMORI-ASAMUSHI with LEXUS』。しかしその詳細はまだゲストには知らされていません。
届けられた断片的な情報は、浅虫温泉という歴史ある温泉地を舞台とすること、代官山の名店『Abysse』を率いる若きシェフ・目黒浩太郎氏が料理人を務めること、そして「Journey of Aomori Artistic soul〜青森のアート精神をたどる旅」というテーマが設けられたことのみ。
Experience
初の東北開催。
陸奥湾の豊かさを伝えたDINING OUT
AOMORI-ASAMUSHI
with LEXUS
ある日突然、日本のどこかに現れ、わずか数日で消えてしまう幻の野外レストラン「DINING OUT」。ラグジュアリーなライフスタイルを提案するレクサスは、このDINING OUTに共感し、サポートを続けています。
今回の舞台となったのは、本州最北端の青森県にある浅虫温泉。目の前に広がる陸奥湾の恵みである豊かな魚介、この地に古から根付くアート精神、そしてレクサスを通して感じる色鮮やかな自然。さまざまな要素が混ざり合い、この日、この場所だけの特別な体験を作り出しました。
青森空港に到着したゲストは、その行く先さえも知らされぬまま、迎えのレクサスに乗り込みました。緑萌える森を抜け、レクサスは青森を走ります。
レクサスはとある白い建物の前で止まりました。ゲストが降り立ったのは『青森県立美術館』。青森が輩出した偉大な芸術家たちの足跡を、美しく、体系的に紹介する青森アートの殿堂。そう、今回のレセプション会場は、この美術館。青森のアート精神をたどる旅にふさわしい幕開けです。
降り立ったゲストを迎えるアレックス・カー氏。ここでウェルカムドリンクとアペリティフを楽しんだ後、今日の日のために特別に設定された見学コースで青森のアートに触れるという趣向です。
もちろんこのアペリティフも目黒シェフの作。青森が誇る魚介を独自の解釈で構築し、小さいながらも存在感のあるフィンガーフードに仕立てました。
美術館から再びレクサスに乗り込み会場へ。市街地を抜け、海沿いの道を走ります。ラグジュアリーな乗車体験、車窓を流れる景色、緑の空気に混じりはじめる潮の香り。トンネルを抜け見えてくるのは陸奥湾にぽっかりと浮かぶ湯の島。夕陽に赤く染まり始めた空と陸奥湾。五感を刺激するあらゆる要素が、来たる晩餐への期待を高めます。
ディナー会場が設えられたのは、陸奥湾を見下ろす高台の名刹・陸奥護国寺の境内でした。入り口には青森が生んだ偉大な芸術家である棟方志功が描いた浅虫のポスター原画が飾られています。そして会場から見渡すのは、そのポスターの構図そのままの風景。まるで名画の中に入り込んでしまったような、不思議な非現実感を醸しつつ、晩餐は静かに幕を開けます。
料理のスタートは、アミューズから。コースの幕開けを告げるアミューズは、1〜2品登場するのが一般的。しかしテンポよく、次々に登場するこの日のアミューズは、合計8品。しかもすべて異なる魚介を主役に据えた品々です。レセプションで登場した2品と合わせ、はやくも10種類の魚介料理を披露した目黒シェフ。
「東に太平洋、西に日本海、北に津軽海峡、そして目の前の陸奥湾。4つの海を持つ青森の魚介の豊かさを、これらの料理で表現したかったのです」目黒シェフはこの小ポーション多品種の滑り出しを、そう説明しました。そしてその思いは、間違いなくゲストに届きました。ウニ、マグロ、ホタテからホヤやフジツボまで、多種多様な料理が登場する度に会場に湧いた感嘆の声が、何よりの証明です。
ここからいよいよ本編のコースへ。モズク、イカ、イシナギ、中トロ、そして蝦夷アワビ。コースを構成する料理の主食材はすべて青森の魚介。それでも単調にならず、コースの流れをドラマチックに演出してみせる技こそ、魚介フレンチのスペシャリストたる目黒シェフの真骨頂。
5皿の料理から3皿のデザートで締めるまでのすべてに芯の通ったストーリーがあり、それでいて各々の料理が明確な個性と存在感を主張する。
味に緩急をつけつつクライマックスに向けて徐々に盛り上がり、余韻を残しながら静かに幕を降ろす。そんな圧倒的な魚介コースを前に、あるゲストは「人生最高のディナー」と語りました。
「おいしい料理を作るのは難しくありません。しかし心に残る料理は、おいしいだけでは足りない。その意味でも今回のダイニングアウトは、僕自身にとっても大切な経験になりました」目黒シェフの進化は、まだまだ止まることはなさそうです。
15皿の料理と3皿のデザート。これだけの要素をひとつのコースとしてまとめ上げた目黒シェフ。それは魚介フレンチの経験値だけでなく、地元食材や伝統への深い理解と敬意により実現しました。たとえばジャガイモのニョッキにイカの塩辛を合わせた一皿は、シェフが地元の居酒屋で見た、ふかしジャガイモの塩辛のせから着想を得た料理。その食材が地元でどう食べられているのか、そんな切り口から料理を模索することも多いのだといいます。
料理の余韻に浸る中、夜の闇に沈んでいた湯の島から一筋の光が舞い上がりました。一瞬の間を置いて、夜空に開く大輪の花。そう、この晩餐のためだけに、花火が次々と打ち上げられたのです。この日、この場所にいた人だけが体験した唯一無二の特別な時間。「夢の中にいるみたい」とあるゲストのそんなつぶやきは、会場にいる全員の思いだったのかもしれません。
移動という時間をラグジュアリーに変える乗車体験、この地で生まれた数々の美術作品、地域の方のおもてなしの心、そして魚介料理。五感を刺激する青森のアート精神をたどる旅は、そろそろ終盤。ゲストはそれぞれの胸に湧くアートへの思いを確認するように、残影の残る夜空を見上げていました。
終演後、ゲストの前に登場した目黒シェフの口からまず飛び出したのは、イベントを支えた地元スタッフへの感謝の言葉でした。熱い気持ちを持って臨んだスタッフの姿を見て「泣きそうになりました」と目黒シェフ。少し上気した顔や赤くなった目を見ると、決して大げさな言葉ではないのでしょう。
日本各地の多くの温泉街と同様、解決すべき課題も抱える浅虫温泉。しかしこの『DINING OUT AOMORI-ASAMUSHI with LEXUS』をやり遂げ、自信に満ちた顔をみせるスタッフ、そしてこのイベントを通じて芽生えた一体感を武器に、きっと新たな浅虫温泉のあり方を探し、実現することでしょう。