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March 01, 2019 UPDATE
諏訪綾子/感覚の旅へと誘う体験型エキシビション「Journey on the Tongue」 レセプションパーティー開催
February 26 Tue 19:00 START
2019年2月26日、東京・南青山にあるINTERSECT BY LEXUS - TOKYOで、3月15日(金)まで開催中の「Journey on the Tongue」オープニングアクトとしてレセプションパーティーを行いました。「あじわうこと」を旅になぞらえた体験型エキシビション「Journey on the Tongue」は、「表現としての食」を追求するアーティスト、諏訪綾子さんによる新作。会場では、「『目に見えるものばかりに気をとられてしまう大人』になった私たちのための本当の進化を取り戻す」をテーマにしたフードエクスペリエンスをあじわうことができます。
フードエクスペリエンスは、12種類から好きな匂いを選ぶことからスタート。その先には、五感を研ぎ澄まし、感覚の旅へと誘う特別なデバイスが用意されています。「味覚を通じて、歩いたり、泳いだり、直感で選んだ匂いを頼りにどんな旅に出かけるか。口の中から広がるもう一つの世界を、ぜひ体験してもらいたいです」と諏訪さん。「栄養源やエネルギーとしてではない、掴めそうで掴めない、目には見えないけれど存在する食の価値にスポットを当てています。近年、インパクトを含めて、食は視覚という要素により大きく依存するようになっていますが、そうではないプリミティブな感覚のスイッチが入れきっかけになれば」と続けました。
舌や口を起点に、五感を通じた体感をもたらす今作は、五感を研ぎ澄ましたクルマづくりを行うLEXUSの世界観と共鳴するもの。コンセプトをより深く体験してもらおうと、今回はさらに2人のアーティストとコラボレーション。デバイスをメディアアーティストの筧康明さん、サウンドをサウンドアーティストのevalaさんが手がけることで、ここでしかあじわうことができない体験を生み出しています。
筧さんは、「テクノロジーやマテリアルを用いて体験を拡張すると、人はどう感じるかという研究を続けています。五感とコンテクストによって自由自在に変化する、ここにしかない『あじわい』を楽しんください」と語り、evalaさんは、「諏訪さんの極めて抽象的な言葉を想起させる音楽によって体験を増幅させています。それは例えるなら、夢の中で聞くような音楽。音楽と一体となった4分間の旅が感覚を開き、身体の内側から想像力を引き出すインスピレーションとなります」と話してくれました。
レセプションパーティーでは、SOMARTAの廣川玉枝さんによるコスチュームを身に纏ったパフォーマーが館内を回遊。ハンディー型のデバイスを用いて、「火」「花」「けもの」をテーマにした「あじわい」を「SHORT TRIP」としてゲストにサーブするフードパフォーマンスを披露しました。また、館内には「宇宙」「光」「雨」をテーマにしたフードと2種類のカクテルを用意。会場を訪れた多くのゲストは、こうしたフードやドリンクで想像を膨らませ、フードエクスペリエンスを体験するなど、感覚の旅へと一足早く出かけました。
会期に合わせて、フードプロダクト「Taste of Journey」(各500円、消費税込み)を会場で限定販売。「自由と超越」「野生と瞑想」「狂気と狂喜」と名付けた3種類のあじわいは、ここでの旅の体験を持ち帰るためのもの。諏訪さんは、「記憶にしか残らないはずの体験を追体験できるのがこのフードプロダクト。舐め進めると、刻一刻と変化する匂いや香り、味によって、どこにいても新たな旅に出かけることができます」と解説してくれました。
ゲストがフードエクスペリエンスを体験する様子を目にし、「みなさんが驚いたり躊躇したりしながらも、体験されている姿が印象的でした。人は、未知なる体験に、理性よりも本能で反応するもの。好奇心を掻き立てられ、体験する様子を目の当たりにして、改めて感覚というもののおもしろさを再確認しました」と語る諏訪さん。最後に、「なによりも、まずは体験してみてください」とのメッセージを寄せてくれました。
【インフォメーション】
Journey on the Tongue
場所:INTERSECT BY LEXUS(東京都港区南青山4-21-26)
日程:2019年2月27日(水)〜3月15日(金)12:00〜19:00
【プロフィール】
諏訪 綾子(すわ あやこ)/アーティスト、food creation主宰
石川県生まれ。金沢美術工芸大学卒業後、2006年food creationの活動を開始、主宰を務める。2008年、金沢21世紀美術館で初の個展「食欲のデザイン展 感覚であじわう感情のテイスト」開催。たべものを人間の「感情」としてあじわう「感覚であじわう 感情のテイスト」を発表する。現在までに東京、福岡、シンガポール、パリ、香港、台北、ベルリン、バルセロナなど国内外でパフォーマンス「ゲリラレストラン」やディナーエクスペリエンス「Journey on the table」、フードインスタレーションなどを発表。2014〜2015年、金沢21世紀美術館 開館10周年記念展覧会「好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム」を東京大学総合研究博物館とともに開催。人間の本能的な欲望、好奇心、進化をテーマにした食の表現を行い、美食でもグルメでもない、栄養源でもエネルギー源でもない、新たな食の価値を提案している。
筧 康明(かけひ やすあき)/メディアアーティスト、インタラクティブメディア研究者
1979年京都生まれ。2007年に東京大学にて博士(学際情報学)を取得。慶應義塾大学SFC、株式会社プラプラックス、MITメディアラボ等での活動を経て、2018年より東京大学大学院情報学環准教授として新たに研究室を立ち上げる。先端技術を駆使し、人間の感覚・知覚や物理素材の特性を拡張する物理的なインタラクション表現の開拓を行う。工学研究としてのアウトプットのほか、Ars Electronica、SIGGRAPHなど国内外で作品展示を展開し、ACM CHI Best Paper Award (2017)、Good Design Best 100 (2012)、平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞など受賞も多数。今回の作品で扱う「触感」に関する近著として、共著「触楽入門 はじめて世界に触れるときのように」(朝日出版社)がある。
evala(えばら)/音楽家、サウンドアーティスト
先鋭的な電子音楽作品を国内外で発表。立体音響システムを新たな楽器として駆使し、2016年より新たな聴覚体験を創出するプロジェクト「See by Your Ears」を始動。音が生き物のように躍動的にふるまう現象を構築し、新たな音楽手法としての“空間的作曲”を提示する。代表作に「大きな耳を持ったキツネ」(Sonar+D, Barcelona 2017)、「Our Muse」(ACC, Gwangju Korea 2018)のほか、ソニーの立体音響技術「Sonic Surf VR」を用いた576ch音響インスタレーション「Acoustic Vessel Odyssey」(SXSW, Austin 2018)を展開。舞台、映画、公共空間などにおいて、先端テクノロジーを用いた多彩なサウンドプロデュースを手掛けている。
廣川 玉枝(ひろかわ たまえ)/SOMA DESIGN Creative Director、Designer
2006年「SOMA DESIGN」設立。同時にブランド「SOMARTA」を立ち上げ、東京コレクション参加。「身体における衣服の可能性」をコンセプトにボディウエア「Skin Series」発表。美しいレースのグラフィックや構築的なドレスウエア、アクセサリー感覚で完成度の高いアートピースはもとより、サウンドや映像表現を駆使したファンタジーでドラマティックなコレクション展開が国内外で評価を得ている。第25回「毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞」。ASIAN COUTURE FEDERATION正会員。2017年SOMARTAのシグネチャーアイテム「Skin Series」がMoMAに収蔵され話題を呼ぶ。