DINING OUT WAJIMA
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DINING OUT WAJIMA

2019.10.5sat/6sun

Experience

漆文化が連綿と息づく
奥能登・輪島を舞台に。
日米ダブルシェフが競演。DINING OUT WAJIMA 
with LEXUS

ある日突然、日本のどこかに現れ、わずか数日で消えてしまう幻の野外レストラン『DINING OUT』。LEXUSは、そのクリエイティブなチャレンジに共感し、サポートを続けています。

今回、『DINING OUT』が出現したのは、里山里海の豊かな自然の恵みに包まれる奥能登・輪島。国内外からこの地に集結するゲストをLEXUSが迎え、アテンドします。

『DINING OUT WAJIMA with LEXUS』のテーマは「漆文化の地に根付く、真の豊かさを探る」。石川県にルーツを持つ西麻布『AZUR et MASA UEKI』の植木将仁シェフと、世界のレストランランキングやアワードで高い評価を受けるアメリカ人シェフ、ジョシュア・スキーンズ氏、国境を超えたふたりのシェフがタッグを組むということが明かされていますが、詳細については、例によって一切がベールに包まれています。

羽田からわずか1時間のフライト。能登に降り立ったゲストは自らLEXUSのハンドルを握り、奥能登の自然、街並みを巡るドライビングに出かけます。
起伏のある海岸縁のワインディングロードでは、輝く海が千変万化の表情を見せます。点在する集落は、黒い屋根瓦と板塀が特徴的な昔ながらの家屋を守り続けることで、美しい景観をつくっています。海山の自然の中で伝統を重んじながら丁寧に暮らす奥能登の人々の気質が、車窓からも伝わってくるようです。

宿で一息ついたあと、今度は専属ドライバーの運転でレセプション会場へ向かいます。広葉樹が生い茂る森の中に、重厚な石垣に囲まれた屋敷が出現しました。ここは重要文化財「時國家住宅」。 「一門にあらざらん者は皆、人非人なるべし(平家にあらずんば人にあらず)」。 『平家物語』でも有名なこの言葉で、平家の盛隆を称えたのが平大納言時忠。平安末期、壇ノ浦の戦いで平家が滅亡した後、能登の地に配流され生涯を終えました。「時國家住宅」は、この平大納言時忠から24代に渡り一族の暮らしの場であったところです。 茅葺入母屋造りの木造平屋建築は、江戸時代初期に3代50年をかけて建てられたもの。当時の暮らしを今に伝える貴重な建造物として、国の重要文化財に指定されています。

ゲストは25代目当主の妻の時國純子氏の話に耳を傾けます。
「この家に使われているのは、半径500メートルの地域で手に入れた建材のみ。45センチ角の大黒柱は、ケヤキ材の通し柱で、同じ山の斜面で伐採されたという松材の梁を通しています」
柱や梁は、全面に塗られた漆の防虫・腐敗防止の効果によって400年もの時を経た今もなお堅牢さを保ち、また独特の美しい風合いを見せています。
奥能登の豊かさの源流、その一端に触れる貴重なひとときを過ごしたゲストを乗せ、LEXUSはディナーの本会場へと向かい、山を登っていきます。

輪島の空が夕陽に染まってきました。小径を曲がり木々を抜けると、現れたのは見渡す限りに広がる棚田。薄暮の棚田の中に、薪能のように幻想的に浮かび上がるディナー会場が見えてきました。世界農業遺産にも認定された棚田の里・金蔵集落。「日本の里100選」「美しい日本の歩きたくなる道500選」に数えられる能登の里山が、二夜限りのレストランの舞台となります。
棚田の間をゆっくりと走るLEXUSは、テーブルが設えられているディナー会場に到着しました。
席に着いたゲストの目を奪ったのは、巨大なオープンキッチン。一角には熾火台が据えられています。2009年、サンフランシスコに開いた『Saison』で、熾火料理を柱にした料理で初めてミシュランの3つ星に輝いたジョシュアシェフ。自ら考案した熾火台を、金蔵のディナー会場に再現しました。

今回は、地場産業、伝統工芸に独自のクリエイションを加え、新しいプロダクトを開発するプロジェクト『DESINING OUT Vol.2』も並行して進められました。世界的建築家の隈研吾氏が監修し、製造されたオリジナルの輪島塗の全貌が、このディナーを通じて明らかにされます。
輪島塗は、木地づくりから沈金、蒔絵などの装飾まで124もの工程があり、その工程を分業することが大きな特徴。隈氏が地元の職人とともにつくり上げた6枚の皿は、輪島塗の製造工程を可視化したもの。今宵のディナーは、このスペシャルな漆器で供されます。

アミューズからプティフールまでの全11皿は、植木シェフ、ジョシュアシェフの掛け合いのように展開されます。
植木シェフが「森から川、そして海へ」という能登の自然のあり様を表現した「ノドグロと藻屑蟹」。「能登の里山里海」をテーマに、ジョシュアシェフが生みだしたのは「ミネラル」に着目した柑橘の一皿。メインへの橋渡しの意味も込めた皿に、植木シェフは、里山里海の景色をそのまま描き出したかのようなイノシシ料理で応えます。続いて、ジョシュアシェフがメインのイノシシの骨を使ってとったブロススープ。そこに熾火台で稲わらの包み焼きにしたごはん、漬物、佃煮が添えられ、まるで精進料理のようなプレゼンテーションでした。日米二人のシェフが、まるで料理で会話をするようなコース展開に、ゲストの感動を呼びます。

いつの間にか日没を迎え、ディナー会場の四方に段々と積み重なる棚田全体はライトアップされています。見渡す限り棚田が広がる中での食事は、この上ない解放感と共に豊かな自然に抱かれるような不思議な安心感に包まれました。

『DINING OUT』のコンセプトに共鳴し、以前から参加を切望していたという植木シェフ。「ジョシュアとの協働は、年齢や国籍を超えて、非常に学びが多かった。と、同時に、地元スタッフの高い経験値とプロ意識にもたくさんの刺激をもらった。この2日間は、能登輪島の、ひいては日本の地方のための、大きな一歩になったと感じています」と、充実の表情で振り返ります。

ジョシュアシェフは「山、川、海が連なる輪島という土地は、今の自分が思い描く食の理想郷。ほぼ白紙の状態で訪れましたが、数々の食材、食文化から大きな影響を受け、今となっては運命がこの地に導いてくれたようにさえ感じています。植木シェフ、そしてサポートしてくれた全スタッフに感謝を伝えたい」と語りました。スタッフ全員が全力を込めてやり遂げた満足感を味わっています。

古来、虫の声が響くのみの棚田の中に、このような宴が開かれるとは誰が想像したことでしょう。奥能登の計り知れないポテンシャルが凝縮された夢のような唯一無二の時間です。
宴が終わる頃、漆黒の闇の中に光の列が現れ、LEXUSが棚田を照らしながら迎えに来ます。ゲストは、奥能登の豊かさの余韻に浸りながら乗り込みました。ゲストが去った棚田には、何事もなかったかのように静寂と闇が訪れます。
奥能登の魅力を五感すべてで堪能する『DINING OUT WAJIMA with LEXUS』は、こうして静かに幕を下ろしました。