ART / DESIGN

レクサスと若き匠が共鳴し合う、CRAFTEDという精神─TAKUMI CRAFT CONNECTION-KYOTO Vol.1

2020.01.17 FRI
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レクサスと若き匠が共鳴し合う、CRAFTEDという精神─TAKUMI CRAFT CONNECTION-KYOTO Vol.1

2020.01.17 FRI
レクサスと若き匠が共鳴し合う、CRAFTEDという精神─TAKUMI CRAFT CONNECTION-KYOTO Vol.1
レクサスと若き匠が共鳴し合う、CRAFTEDという精神─TAKUMI CRAFT CONNECTION-KYOTO Vol.1

日本全国で活動する、地域の特色や技術を活かし自由な発想で新しいものづくりに取り組む若き匠たちを、「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」を通して2016年からサポートしてきたレクサス。その集大成となるクラフトの祭典「TAKUMI CRAFT CONNECTION-KYOTO」が2019年11月29日から12月1日の3日間に渡り京都で開催された。レクサスが考える日本の匠の未来とは。Lexus International President(※)の澤良宏氏へのインタビューとともにお届けする。

Text by Yuka Tsukano
Photographs by Masuhiro Machida

若き匠、150名が京都に集結

LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」とは、日本の伝統工芸を担う若き匠に対し、地域から日本全国へ、そして世界へ羽ばたくサポートを行うプロジェクト。スーパーバイザーに小山薫堂氏を迎え、2016年から47都道府県の150名を超える匠たちをレクサスは支援してきた。今秋、その集大成として「TAKUMI CRAFT CONNECTION-KYOTO」と銘打ち、京都市内の3つの会場で展示イベントが行われた。
京都新聞ビル地下1階では47都道府県150名もの匠たちの作品を長手方向に川の字状に陳列
隈研吾氏による、47都道府県の新聞紙を使ったインスタレーション。匠の人選には各地の新聞社に協力を仰いだ
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まず「JAPAN connection」では、2016年からプロジェクトに参加してきた150名の若き匠たちの作品が、京都新聞ビル地下1階の印刷工場跡に一堂に会した。インダストリアルな情緒を帯びた空間に、数多の作品が浮かび上がる会場構成を手がけたのは、建築家の隈研吾氏だ。

建仁寺 両足院を会場とする「KYOTO connection」では、京都の文化の担い手と匠たちがコラボレーション。さらに平安神宮 額殿の「CREATORS connection」においては、選抜された匠たちと隈研吾氏をはじめ世界的に活躍するクリエイターたちとのコラボレーションによる新たな作品が発表された。
選抜された匠たちと隈研吾氏をはじめ世界的に活躍するクリエイターたち
前列向かって左から、プロダクトデザイナー 辰野しずか氏、クリエイティブディレクター 廣川玉枝氏、Lexus International President澤良宏氏、総合監修の小山薫堂氏、建築家 隈研吾氏、門川大作京都市長、ファッションデザイナー 森永邦彦氏、建築家 谷尻誠氏。後列は選抜された若き匠たち
関連記事:「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」がつくる「出会いの場」は何を生むのか?

お客さまに思いを馳せる「CRAFTED」の精神

そもそも、なぜラグジュアリーライフスタイルブランドであるレクサスが、日本の若き伝統工芸職人たちを支援してきたのか。澤Presidentは、「伝統工芸の若き匠たちが目指すものには、レクサスが大切にする『CRAFTED』の精神に通じるものがあるから」と話す。

「レクサスは、長い歴史のなかで育んできた日本ならではの美意識、感性を大切にしています。徹底したものづくり、相手のことを思い、考え抜く、おもてなしの姿勢、この二つを合わせもつ日本ならではの姿勢を『CRAFTED』と呼んでいます。それは、車の建て付けを精緻に仕上げる、美しく磨き上げる、ということだけではありません。開発、製造、マーケティング、販売、すべてにおいて『CRAFTED』の精神を貫きたいとレクサスは考えています。お客さまが使うもの、空間、時間、あらゆるシーンに思いを馳せて、自分たちのスキルをどのように取り入れるかを思考するのです」
若き匠たちが目指すものには、レクサスが大切にする「CRAFTED」の精神に通じるものがあると語る澤良宏President
若き匠たちが目指すものには、レクサスが大切にする「CRAFTED」の精神に通じるものがあると語る澤良宏President
心ゆさぶる体験を生み出そうとする探究心で、お客さまが真に求めるものに思いを巡らせ、お客さまが求める以上の価値を提供していく。そうした姿勢が、レクサスの掲げるCRAFTEDの精神だと、澤Presidentは語る。

「たとえば、デザイナーやエンジニアがドアを設計するとき、まずお客さまが車に乗る場面から想像するように伝えています。車に近づき、ドアを開け、パッと車内を見て、座り、ドアを閉めて、走り出す。そういったシークエンス、時間をどう捉えるかが大切なのです。時間軸で考えてこそ、各パーツの配置や大きさといったデザインの議論ができる。そうしたシーンを思い浮かべなければ、デザインではなくただのレイアウトです。使う人によってシーンは異なるため、作り手は360度にわたって思いを巡らせる。その意味で、多種多様なお客さまに等しく喜びの価値を提供する伝統工芸の匠たちの活動も、まさに『CRAFTED』だと思っています」

工芸の街で起こった連鎖と化学反応

隈研吾氏をはじめとする世界的なクリエイターと150名の若き匠たちが京都で一堂に会した
隈研吾氏をはじめとする世界的なクリエイターと150名の若き匠たちが京都で一堂に会した
3年間に及ぶ「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」を通して、日本各地に散らばる匠たちは互いに顔を合わせ、知識や技術を高め合ってきた。さらに今回の「TAKUMI CRAFT CONNECTION-KYOTO」では、切磋琢磨してきた150名もの若き匠たちが日本における工芸の中心地である京都で一堂に会した。澤Presidentは京都で開催した意義について、「モチベーションの連鎖を生み、新たな磁場をつくったこと」だという。
建仁寺 両足院の「KYOTO connection」では、茶人や作家など京都の文化の担い手と5名の匠たちのコラボレーションが実現
建仁寺 両足院の「KYOTO connection」では、茶人や作家など京都の文化の担い手と5名の匠たちのコラボレーションが実現
建仁寺 両足院の「KYOTO connection」では、茶人や作家など京都の文化の担い手と5名の匠たちのコラボレーションが実現
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「若き匠たちは、時代の空気を捉えることに長け、お客さまにどうしたら喜んでいただけるのかを思考しながらものづくりに励んでいます。従来の作法にただアドオンするのではなく、技術と知恵、感性を活かしながら、新しいソリューションを提案しています。私自身、若き匠たちのものづくりへの情熱や作品をみて、新たな活力やインスピレーションをいただきました。彼らの活躍は、日本各地のものづくりはもちろん、レクサスにも力を与えてくれています。

今回ここ京都に、日本の良さを世界に発信したいと思う人たちが集結したことによって、さまざまな化学反応が起きたと実感しています。京都という街の周波数と呼応し、ものづくりの磁場が生まれる。隣のクラフトマンをみてモチベーションが湧いてくる。その連鎖が仲間のなかで起きる。さらに匠たちが協働するきっかけが生まれる。京都がもつ伝統のパワーが乗り移ったことも、化学反応が起きたことの一因でしょう」

日本の伝統工芸の未来へ

日本の伝統工芸の未来は順風満帆とは言えないが、チャレンジを続けていくしかない。澤Presidentは、「日本独特の美意識・感性、そしてスキルをもつクラフトマンをサポートできることに感謝しており、日本ならではの美意識、感性をグローバルに広げていきたい」と話す一方で、「世界中の空気感を伝統工芸の分野も吸収していかなければならない」と警鐘を鳴らす。
「日本ならではの美意識、感性をグローバルに広げていきたい」と澤President
「日本ならではの美意識、感性をグローバルに広げていきたい」と澤President
「美意識は変えなくていい、ソリューションを変えるだけでいいのです。伝統工芸に限らず、日本の自動車も同じ境遇に置かれています。ユニークな感覚を確かに身につけていなければ、デジタルに凌駕されてしまうのです。今こそ日本が得意とするアナログの感覚がデジタルに勝っていかなければなりません。

若い人をなぜ育てるか。それは日本発のラグジュアリーライフスタイルブランドであるレクサスを育てるうえで、フィードバックをもらっているからです。支援を続けることでレクサス自身も独自の衣をまとうことができ、年月を重ねていけば無形の財産になると確信しています」

澤Presidentはそうインタビューをくくった。

お客様が商品を使うシーンや空間、時間に思いを馳せ、丁寧なものづくりを行う「CRAFTED」の精神。これは、日々の生活のなかで「思いやり」という言葉が浸透している日本だからこそ、育まれた価値観だと感じた。レクサスと若き匠が共鳴し合う「CRAFTED」の精神は、これからも互いの未来を照らして合っていくはずだ。

※2019年11月のインタビュー当時

■TAKUMI CRAFT CONNECTION - KYOTOイベントレポート
https://lexus.jp/brand/new-takumi/craft-connection-kyoto/report.html

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ご回答いただきありがとうございました。

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