新たなライフスタイルを探求する
「きっかけ」となるクルマに
チーフエンジニアがUXに込めたもの

UX チーフエンジニア
加古慈かこ ちか

「Creative Urban Explorer」をコンセプトに、新たなライフスタイルを探求するきっかけ「CUE」となることを目指した、LEXUSラインアップに新たに加わる都会派コンパクトクロスオーバー、UX。新開発の直列4気筒2.0L直噴エンジンとハイブリッドユニット、デザインの独自性、そして人間工学に基づくドライバーをアシストする配慮。UX誕生までの想いやエピソードを、加古慈(かこ・ちか)チーフエンジニアが語ります。

新しい価値の創造を目指し
上質さにもこだわった

UXの開発にあたり、最も大切にされたことは?
「クロスオーバーらしい力強さのある外観でありながら、走りはハッチバックに負けない」といった、様々な二律双生へのチャレンジです。 二律双生とは、通常では相反することを、新しい技術やアイデアによって高い次元で両立させることにより、独自の新たな価値を創造する、レクサスが大切にしている思想です。

UXはコンパクトなクラスに分類されますが、UXをきっかけに、初めてラグジュアリーブランドにお乗りになるお客様には、期待を裏切らない上質感を提供したい。また、すでにラグジュアリーブランドをご存じのお客様には、ニュージャンルのクロスオーバーとして、新鮮さや驚きを提供したい。そのような想いでこのクルマを開発しました。

「Creative Urban Explorer」
となるクルマの条件

「Creative Urban Explorer」のコンセプトには、どのような想いが込められているのでしょうか。
「Creative Urban Explorer」には、都市を冒険するような気持ちで新たなライフスタイルを探求するきっかけ「CUE」を生み出すという想いが込められています。アクティブな方が乗るクルマですので、クルマでの外出が煩わしくないコンパクトなサイズ、最小回転半径が小さく取り回しも簡単、運転席からの見晴らしもいい、だから乗りたくなる。様々な場面で買い物や旅行へ行きたくなる、お客様がアクティブになれるクルマを目指しました。

ガソリンモデル、ハイブリッド
モデル、
それぞれの走りの
キャラクターの違い

UXの走りにおいても、コンセプトとつながるようなこだわりはありますか?
私はもともと、クーペが好きで乗り継いできたこともありますが、クロスオーバーだから走りはそこそこ、といったクルマにはしたくありませんでした。ですから、走りにおいては欧州車のハッチバックをベンチマークに「クロスオーバーを凌駕し、ハッチバックに負けない走り」を実現したいという強い想いがありました。

パワートレーン、プラットフォーム、トランスミッションなどあらゆる要素で新開発されたものを採用したことで、軽快で力強い走りが実現できたと考えています。
走りの具体的なポイントについてお聞かせください。パワートレーンにはどのような特徴がありますか。
パワートレーンでいえば、ガソリンモデル、ハイブリッドモデルを用意しましたが、その走りの違いは出力の絶対値の差として表現されるわけではありません。ガソリンモデル、ハイブリッドモデルそれぞれの質量に対してジャストなパワー、全体のバランスの取れたクルマを目指して仕上げています。

ガソリンモデルに搭載される新開発の直列4気筒2.0L直噴エンジンは、アクセル操作に合わせたダイレクトな走りの感覚が醍醐味です。同じく新開発の「Direct Shift-CVT」との組み合わせで、アクセルオフから次のコーナーへの立ち上がりに自然に移れるような「減速・旋回・加速のつながりの良さ」を実現し、リズミカルに乗れる走りの楽しさがあります。

一方、ハイブリッドモデルも新開発の直列4気筒2.0Lエンジンと組み合わせた新世代のHVシステムを搭載しました。ご試乗いただいたジャーナリストの方からは「HVのイメージが一新された」というご評価を頂きました。パワーの余裕と、アクセル開度に応じたリニアな加速感がフィーリングの良さに繋がっていると思います。
新開発の「GA-Cプラットフォーム」も重要な要素ですね。
クルマの運動性能を高めるためには、低重心であることも重要なポイントのひとつです。新開発の「GA-Cプラットフォーム」のおかげで、素性のよいベース車両から開発を始めることができました。プラットフォームは「走る・曲がる・止まる」といったクルマの基本性能を決める骨格にあたるものですが、操縦安定性と乗り心地を高い次元で両立させるため、アルミや樹脂製のボディパネルの採用といったUX独自の軽量化でさらなる低重心化にチャレンジするとともに、構造用接着剤やLSW(レーザースクリューウェルディング)の採用により、ボディのねじり剛性を高めるなど、様々な改善策を織り込みました。

車体の低重心化に加え、ドライバーのヒップポイント(地面から着座位置までの高さ)や目線も、ハッチバックなどの乗用車並みに下げています。初めて試乗される方の中には「RXやNXをコンパクトにしたクルマ」というイメージでUXに乗り込み、その乗用車感覚のドライビングポジションに、驚かれる方もいらっしゃいますね。

走りの良さはパワートレーンやプラットフォームだけで生まれるわけではありません。たとえば、多くの方にご注目をいただいている真一文字のリアコンビネーションランプのデザイン、これも走りに貢献する重要な要素です。

走りの機能と
見た目の斬新さを両立させた、
真一文字のテールランプデザイン

これまでにない新しさという点で真一文字のテールランプのデザインはインパクトがありますが、走りにどのような影響があるのでしょうか。
まずデザインですが、実は開発当初は社内でも議論があって、私も質量が重くなる懸念から、どちらかといえば反対の立場でした。それでも、レクサスのデザイナー陣は、常に新しいことにチャレンジしたいという強い想いがありましたので、設計者もその意を汲んで構造を検討し、質量に対する懸念も解消できたので、ゴーサインを出しました。均一に、しかも細長く、シャープに光らせるためにLED132個を使った贅沢な仕様です。

そして走りへの影響ですが、テールランプの両端は「エアロスタビライジングブレードライト」といって、空力性能を向上させる機能も持たせています。これにより走行時に車両前方から後方に向かって空気を整流し、直進安定性が増し、タイヤの高い接地感が生まれます。それがステアリングを切るときの手ごたえにもつながり、安心感も増します。

昨今、操縦安定性向上のために様々な空力パーツを付加したクルマが増えてきていますが、UXでは当初から空力性能を意匠と融合させることにデザイナーが積極的でしたので、シンプルにまとめることができたと思います。

男性エンジニアも
付け爪
(ネイルチップ)をつけて検証
人間工学に基づいた
最適な配置へのこだわり

人とクルマが一体になる空間
デザインという点では、エクステリアだけでなく、インテリアにも力を入れていますね。加古チーフエンジニアならではの感性の見せどころだったのでは?
欧州駐在中にインテリアの商品力向上に関する仕事をしていましたので、室内空間には特にこだわり、細部の質感や全体の統一感を追求しながら、体格によらず運転に集中できる、そして使いやすい空間づくりを目指しました。インテリア担当のメンバーには、当初から「人間工学的なことや収納性など、細部への配慮にこだわりましょう!」と気合いを入れて徹底してもらいました。

レクサスでは、インテリアの設計・開発にあたり、一般の女性パネラーに評価をしていただく仕組みがありますが、人間工学担当の男性エンジニアは、それに飽き足らず、タッチパネルやスイッチ類の評価にあたり、女性のドライバーを想定して、自身で付け爪をして検証したそうです。タッチパネルやスイッチを操作するとき、付け爪をしていると指先ではなく、指の腹や指のサイドを使ってタッチしますよね。男性ではなかなかない動きで、担当者も「そうか、こんなに指先に神経を集中させないとうまく操作できないんだ」とか「爪を伸ばしていると指はこう使うんだ」と試行錯誤を繰り返す中で、新たな気付きがあったようです。

乗り降りのしやすさも、毎回のことですから大切ですよね。乗降時に使う筋肉の負荷を数値化し、最も負荷の少ない位置を押さえて、高すぎず低すぎず、最適な設計にこだわりました。

また、「ドア下見切り」といって、ドアパネルがロッカーパネル全体を覆う構造になっています。一般的に地上高が上がると、乗員が下りる際に地面に足を着く位置はクルマに近くなり、その時にロッカー部(乗降時に跨ぐ部分)の張り出す量が大きいと、降りづらくなってしまいます。今回の構造ならば足も着きやすいですし、ロッカーパネルが車両の外側に露出していないので、泥で服が汚れるようなことも防げます。

日本の美意識を採り入れた
開放感のある心地よい空間

インテリアには、他にもこだわりのポイントがあるそうですね。
UXでは開放感のある心地よい空間の提供にもこだわりました。ドライバーの着座位置は低めでも、インパネ上面を相対的に低く抑えられたことがポイントで、これはプラットフォームの素性の良さから来ています。

日本建築には、借景や縁側のように、内と外の境界を曖昧にすることで自然とのつながりを感じさせ、広々と感じられる空間をつくる考え方があります。UXの室内空間も、これをヒントにインストルメントパネルの上部からフード・フェンダーへと車内外を連続して見えるような造形としました。運転席からタイヤ位置を把握しやすくなり、開放感を生み出す効果もあります。

同時にヘッドクリアランス(頭上空間)もしっかり確保しています。通常、ヘッドクリアランスを取ろうとすると、全高の高いクルマになってしまいがちですが、ヒップポイントを下げたことで、低く構えたスタイルと居住性を両立することが出来ました。乗っていただければ、すぐに実感いただけると思います。

ピタリと決まる
ドライビングポジションと
運転しやすさへのこだわり

視界の広さや快適なドライビングポジションは運転のしやすさにもつながりますね。
私自身、目線の低いクルマに乗ると、どうしてもピラーやアウターミラーに遮られて、右左折時に斜め前方が見づらい、シートポジションが前寄りなので、アームレストに肘が乗らないといった経験が多々ありました。UXでは、GA-Cプラットフォームの採用と、操作系の配置の工夫により、低身長の方から高身長の方まで、自分に合ったポジションを見つけやすいと思います。

特にスイッチ類の位置や操作のしやすさといった点は綿密に検討しました。シフトノブ、リモートタッチ、カップホルダー、オーディオスイッチ、これらの操作が干渉し合うことなく、前寄りに着座する方でも、ごく自然に操作いただけるレイアウトを目指しました。

ワールドプレミア後のヨーロッパの試乗会でのことですが、小柄な女性からも、190cmもある大柄な男性からも、車を降りるや否や「ドライビングポジションがうまく決まって乗りやすい!」という言葉をいただけました。私たちが目指してきたクルマづくりのコンセプトを世界中の方々に評価をいただき、本当に嬉しかったです。

UXならではの「選ぶ楽しさ」

カタログを見ると、様々なバリエーションがありますね。
UXを、お客様の暮らしを豊かにするクルマにしたいとお話ししましたが、これには「クルマを選ぶ楽しさ」を提供することも大切だと考えました。

ガソリンモデルとハイブリッドモデルの選択や多彩なバージョン選びに加え、ボディカラーに、オレンジ系の「ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング」、ブルー系の「セレスティアルブルーガラスフレーク」、グリーン系の「テレーンカーキマイカメタリック」という3つの新色を追加し、ボディカラーの選択肢も増やしています。こうした目を引く新色など、様々なバリエーションの中から選ぶ楽しみが、UXに関心を持って頂くきっかけに繋がる面もあると考え、こだわって開発したポイントのひとつですね。
  • ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング
    赤土のような重厚感と、日差しで際立つ発色が特徴のカラー。いくつもの色を重ね、鮮やかさと深みを両立。
  • セレスティアルブルーガラスフレーク
    普段は見えない「真昼の空の星」をイメージしたカラー。ガラスフレークの輝きとソリッドライクなブルーが特徴。
  • テレーンカーキマイカメタリック
    陰影感のコントラストが強いカーキ。ムラの出ない限界の大粒径マイカ粒子を用いて光輝感を高め、タフネスを表現。

開発者からお客様へのメッセージ

最後に開発者として、お客様へのメッセージをお願いします。
これまでにない独自性を持ったクルマにするという目標に向かって、UXという舞台で担当者全員が様々な二律双生にチャレンジをしました。そのようにして完成したUXを多くのお客様にぜひ実際に間近で見て、試乗いただき、その個性とポテンシャルを感じて頂ければ嬉しいです。

本日はありがとうございました。