ここ最近、日本でも耳にする機会が増えたのがグランピングという言葉。ラグジュアリーに自然を楽しむという新しいコンセプトを、実際に体験してみた。 料理に飛び込む虫を追い払い、清潔なシャワーとトイレはあきらめ、暗闇の中でゴミを分別する‥‥‥これまでのキャンプは、我慢や辛抱とワンセットだった。苦労を乗り越えたからこそ、その先の感動が大きいという側面はある。けれども、アウトドアの本来の目的は、自然と親しむことだ。我慢も辛抱もせず、快適に自然とふれあうことができれば、そのほうが充実した時間を過ごせるのではないか。 これがグラマラスなキャンピング(=グランピング)の考え方で、2015年10月に日本初のグランピング・リゾート、星のや富士が開業した。
星のや富士
河口湖の北側、南向きの斜面に建てられた施設を設計したのは、東環境・建築研究所の東利恵。軽井沢や竹富島の星のやの施設を手がけたことで知られる。写真は送迎車両しか入れない道路で撮影したもの。普段は一般車両は通行できない。
山梨県南都留郡富士河口湖町大石1408
050-3786-0066 / 料金¥45,000(1泊1室)〜
レセプションでチェックインの手続きを終えると、洒落たデザインのリュックサックが渡される。中身は双眼鏡やヘッドランプといった”グランピングの七つ道具”。日常を非日常へと切り替えるための小道具だ。日当たりのよい南向きの斜面に並ぶキャビンからは、青く澄んだ河口湖を見下ろせる。天気に恵まれれば、目の前には富士山が雄大に構える。
荷物を置いて、リュックサックを背負う。山麓で乗馬をするもよし、湖上の早朝カヌーに参加するもよし。天気が悪ければ、燻製づくりをマスターする手もある。斜面に沿って何層にもテラスが重なるクラウドテラスにある焚き火ラウンジでは、朝から赤々と火が燃える。しんとした森の中、マグカップを手に焚き火の前に座ると、時が経つのを忘れてしまう。
夜の星降る山麓、星空ツアーに参加すると、標高役1200mの富士山麓で、専門のガイドが360度に広がる満天の星を案内してくれる。寝袋にくるまって寝転び、ホットワインで身体を温めながら星空を見上げる。リラックスしたほうが、自然を身近感じられる気がしてくる。 何も我慢することなしに、山、川、森、湖などの大自然での遊びを快適にワイルドに楽しむ。その魅力的なキャンプスタイル、グランピングも多くの人の心を捉えると確信した。
3人のスタイリストが、3台の最新レクサスSUVのラゲージルームを
「グランピングだからこそもって行きたいもの」でコーディネート。
森岡 弘 / ファッションスタイリスト
「グランピングは普通のキャンプとは違うので、思い切りお洒落して楽しんでみては」と提案するのはファッションスタイリストの森岡弘さん。
「舞台として考えたら、少しやりすぎるぐらいでもいいし、たとえばネクタイをしてもいいと思います」。タキシードではやりすぎだし、普段と同じではつまらない。伸縮性のある素材を使って、シックだけど着心地が軽くて楽なものを選び、アウトドアテイストのアウターや靴と合わせたい。
廣松 真理子 / フードスタイリスト
「ハードなことはしないグランピングでも、お気に入りのコーヒーやチーズ、スイーツといった『これだけはアウトドアの空気の下で味わいたい』という、こだわりのものをもって行くと、より楽しめると思います」とフードスタイリストの廣松さん。
自分のとっておきと、アウトドアでそれらをおいしくいただくための器具や器などをセレクト。目的地につくまでのドライブの休憩時などにさっと取り出して楽しみたい。
山口 友里 / インテリアスタイリスト
「グランピングの場合、キャンプ道具を積んでいく必要がないので、かわりに参加者のテンションを上げてくれるような、少し気の利いたアイテムをもって行ってはどうでしょう」と語るのはインテリアスタイリストの山口さん。定番化したアウトドアグッズはひと味違う、新しくお洒落なものがいいと。
「アウトドアは自由度が高いので、好きな場所に移動して楽しめるアイテムがいいと思います。また目的地に着くまでの車内の空間を快適にしてくれるものも欲しいですね」
Yosuke Suga / 料理人
1976年愛知県名古屋市生まれ。26歳で「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」六本木ヒルズ店エグゼクティブシェフに抜擢。その後、ロブションラスベガス、NY、台湾、パリなどで総料理長を務める。2014年に帰国し、昨年4月に「SUGALABO Inc.」を開設。
名前からも単なるレストランではないことがうかがえる「SUGALABO」。“ジョエル・ロブションの右腕”として知られる須賀洋介さんは、昨年独立して開設したこのラボを、日本の技術やセンスを国内外に発信していく場にするつもりだ。「食を通じて日本の活性化に貢献したい。食はいろんなことを元気にする力がありますから」
食材にとどまらず、調理器具や器も含めた日本の技を知り、ラボへ持ち帰るために、須賀さんは月1回のペースで日本の各地へ赴く。「取り寄せることもできますが、やっぱり足を組んで、自分の目で見て選びたい。現場を訪れ、作り手の技術、込められている思いに触れ、それを使って何ができるかを考えます。また皆さんの置かれている状況を聞き、そこに参加することで何かよい方向へ向かうことができればと思っています」帰国してから多忙な日々が続き、まだ落ち着いて愛車を選ぶ余裕がない須賀さん。長距離の運転も苦にならないから、愛車で食材探しの旅に出ようと考えている。その最有力候補となっているのがレクサスだ。
「日本らしい精巧さとそつのなさをもった、日本のラグジュアリーを象徴するブランド。ハンドルを握っていると、ほかのクルマにはない安心感がある。日本にいると当たり前に感じてしまうかもしれませんが、海外で暮らしているとその重要さを身に染みて感じます。そしてそれが海外でも非常にリスペクトされている。レクサスが世界に浸透しているように、日本の食の魅力を伝えていきたいですね」
Keisuke Matsushima / 料理人
1977年福岡県生まれ。東京のレストランに勤めた後、単身フランスへ。フランス各地で修行後、ニースで自身のレストランを開店。2006年にはミシュランの1つ星を獲得する。「自然が豊かで食の意識が高いニースは、故郷にも似ています」
「快適さ、そして日本車であること」。松嶋啓介シェフがレクサス RXを選んだのは、このふたつの理由からだ。ニースでレストランを経営する松島さんにとって、クルマ旅は普通のこと。ニースを中心に行き先を考えると、クルマで約3時間の場所にイタリアのミラノやトリノがあり、2~3度休憩しながら走れば、スペインのバルセロナも遠くない。地の利をいかして、夏休みには、家族とイタリア周遊旅行を行った。ピサ、フィレンツェ、ローマ、ナポリなど1週間をかけて巡った。
「このクルマは5人が乗れて、荷物もしっかり入る。運転は疲れないし、後部座席もゆったりしているから、家族の不満も出ませんでした」と振り返る。 レストランや自宅周辺を移動するならヨーロッパの主流であるコンパクトカーでも十分だが、大型のSUVを選んだのには理由がある。 「30歳まで飛行機のビジネスクラスは乗らないようにしていたんです。30歳になってビジネスクラスを体験すると、疲れを知らずに仕事ができることがわかった。それ以来『快適さ』に関する意識が変わりました。クルマの快適性も重要です」
毎週木曜には隣国イタリアのヴェンテミリア市場まで愛車を走らせる。
「ニースでは手に入りにくい独特のアーティチョークやキノコ、季節感を感じる旬の野菜が安くて新鮮だから」
ピエモンテまで遠出してトリュフ祭りに参加したり、ワイナリーを巡ってワインをトランクに満載して帰ってきたことも。クルマ旅は、松嶋さんにとって日常の延長線。仕事に遊びに、今日もハンドルを握る。