ARTICLE SPECIAL
INTERVIEW

クルマと一体となり、
四季の移ろいを五感で味わう
チーフエンジニアが語る魅力

LC500 Convertible チーフエンジニア 武藤 康史

LEXUS のブランドをよりエモーショナルに進化させるフラッグシップとして2017年に発売されたLC。発売後もその進化の歩みを止めず、LCらしいドライビングテイストを追求した改良や、Structural Blueをはじめとした自然界からインスピレーションを受けた独自のカラーの創造など、常に挑戦を続けてきた。そのLCシリーズの新たな挑戦として開発を進めてきたのが、LC500 Convertibleである。そこで実現したかったことは、クルマと人が一体となり、季節や時の移ろいを五感で味わっていただくこと。その背景には、四季のある日本において開発を行うLEXUSならではの発想が込められていた。チーフエンジニア武藤康史がLC500 Convertibleについて語る。

ライフスタイルを華やかに変化させる
“魅せる”コンバーチブルモデル
クルマとの“一体感”を表現する

──今回目指している“世界一美しいコンバーチブルモデル”で、お客様にどんな気分や感覚を味わっていただきたいですか。

まずコンバーチブルモデルの開発では、これまでフラッグシップとしてLCが大切にしてきた「デザイン」「走り」を徹底的に作り込み、LEXUSらしさを表現することにこだわりました。その上でコンバーチブルモデルの特徴として、“魅せる”という要素が付け加えられます。例えばコンバーチブルに乗って街中を走ると、周囲の視線を浴びるんですね。あるいはガラスに映った自分を見て、こんな姿になっているんだと、客観的に意識することがあるかもしれません。

この外からの視線がコンバーチブルの特徴だと思います。心地よい緊張感があって、例えば身だしなみをしっかりしなければ、という感覚を持つクルマなのです。つまり、乗っている人も、インテリアも、クルマの一部として見られるということが言えるので、クルマのつくり方そのものも、その観点に合わせる必要があります。それは、外からの視点だけではなく、ドライバーの視点や、ドライビング感覚も含め、クルマと人が“一体”となった感覚を表現していくということです。まさに、パートナーとも言える愛車感覚を覚えていただけるはずです。

初めて乗り物に乗って
風を感じた時の感覚を、
いまLC500 Convertibleで

──“一体感”をお客様に感じていただくことで、クルマとはどのような関係になっていくのでしょうか。

コンバーチブルは、風を感じて走る、という感覚を持てるところに良さがあると思います。それは、子供の頃初めて自転車に乗った時のように、歩くよりも速く動けて、風を感じることができた、というところに起源があるのかもしれません。乗り物に乗る楽しさや、特に、空気を切り裂いて自分で運転をする感覚。そんな、子供の頃から持っている乗り物に対する親近感、一体感を、LC500 Convertibleに乗って、改めて感じていただきたいです。

──LC500 Convertibleでドライブを楽しむ、おすすめの時季はありますか。

雨や雪が降らない時は、いつでもオープンがおすすめですね。なぜなら、日本の美しい四季を五感で味わう、そんなドライビングプレジャーが体験できるからです。「枕草子」で「春はあけぼの」とあるように、明け方、夜、夕暮れ、早朝と、さまざまな季節や時間帯で楽しんでいただけると思っています。自分で行きたいと思っているのは、夏の夜、山奥へ。星を感じながらドライブしたいですね。LEXUSは、四季を持つ日本で開発しているブランドとして、それぞれの季節の中でオープンエアドライビングを楽しんでいただけるよう開発に取り組んできました。特に今回は空力、空調のコントロールや、ノイズを抑えながらV8エンジンサウンドをダイレクトに楽しんでいただくためのサウンドづくりにもこだわっています。

徹底的に静かさを追求することで、
聞こえてきた音がある

──サウンドの話がありましたが、風切り音やエンジンも含めたサウンド設計はどのように考えられたのですか。

まず取り組んだのは、静粛性を高めることでした。コンバーチブルにおいては一般的にルーフ格納部からのノイズが入ってきますが、省スペースとノイズ低減を同時に叶えるため、格納部に吸音性のある素材を採用しました。それにより、タイヤや排気管からのノイズが低減され、LEXUSらしい静粛性を実現できたと思っています。

またエンジンなどのこもり音を低減するために、通常はルーフに取り付けるノイズを把握するシステムをヘッドレストに内蔵することで、より心地よいエンジンサウンドを引き立てることができました。魅力的なLCのV8エンジンサウンドを、オープンエアの環境で、ぜひ堪能していただきたいですね。

冬でもオープンを楽しむために。
シーンに合った心地よさを追求

──コンバーチブルによく乗る方は、季節を感じるために、意外と冬の走行を好む方が多いそうですね。

お客様の気持ちを考えながら、冬はもちろん、あらゆるシーンにおいてオープンドライビングで楽しんでいただくために、「快適な体感温度をもたらす空調制御」と「空力デバイスによる巻き込み風の調整」という2つの視点で、風をコントロールすることを考えました。まず空調制御ですが、クライメイトコンシェルジュが、エアコンやシートヒーター、ステアリングヒーター、そして新たに採用したネックヒーターも駆使しながら、最適な環境になるよう空調を制御しています。また巻き込み風に関しては、日常走行でも高速走行でも、風によって髪が乱れにくくするなど、過ごしやすい室内空間にすることを考えるだけではなく、このクルマの特性上、風や音を適度に感じながら走れるように、空力デバイスを開発しました。

「空調」「空力」ともLEXUSの人中心、Human-Centeredの思想が根底にあります。乗っていただく方が、四季折々の風を感じながら、自然に会話も楽しめるようなオープンドライビングを目指して、本当に細かくいろいろなバリエーションを検討し、実際にクルマに乗りながらディスカッションして作り込みました。

15秒の儀式を大切に。
楽しさの極みのようなクルマ

──LCにおいて「ドライビング」は大切なポイントだと思いますが、LC500 Convertibleの走りの考え方を教えていただけますでしょうか。

LCが大切にしてきた「より鋭く、より優雅に」という走りのキーワードをLC500 Convertibleでも実現するため、ドライビングテイストを作り込みました。LC500 Convertibleは、愛車の中でも特に楽しさを追い求めるクルマ。走っていて楽しいし、スピードを出さなくても周りの景色を見ることができて楽しい、本当に楽しさの極みのようなクルマだと思っています。LEXUSのチーフブランディングオフィサーで、マスタードライバーでもある豊田章男が試乗して言ったのは、「楽しかった」という一言。その時に釘を刺されたのが、「試作車から進んだ時に、エンジン音を静かにするようなことはしないでほしい」と。まさに、このクルマの特長を感じとってくれたような、嬉しい言葉でしたね。

──コンバーチブルと言えば、例えばルーフ操作のスムーズさや、動きへのこだわりについてはいかがでしょうか。

ソフトトップルーフの開閉動作は約15秒というクラストップレベルの速さを実現しましたが、単純にスピードを追い求めたのではなくて、筆遣いや襖の開け閉めにもあるように、ゆっくり動き出して、途中早く、最後にまたゆっくりという一連の日本的な動作の味付けは、LEXUSが大事にしてきたことです。特に、コンバーチブルでクローズからオープンになるところは、“世界が変わる”瞬間なんですね。そこに注目を浴びて耐えうる、しっかりこのクルマの良さをアピールできる、ある種一つのエンターテイメントであるべきだと考えています。わずか15秒の儀式ですが、“世界が変わる”瞬間を大切にすることで、お客様にもワクワクを感じていただけるのではないかと思います。