GAME CHANGER TALK Vol.1

創造と変革を
ドライブするブランドとは?
Industry Co-Creation KYOTO

2018年9月3〜6日ICCサミット KYOTO 2018
POWERED BY
NEWS PICKS
SCROLL
2018年9月3〜6日
ICCサミット KYOTO 2018
レクサスは、完成されたラグジュアリーブランドというイメージがあるかもしれないが、実は、常に新たな世界に挑戦し続けるチャレンジャーである。そこで、総勢800名以上のチャレンジャーや経営者などが参加し、「ともに学び、ともに産業を創る」場であるICCサミットでイノベーターと共にブランドのあり方を語り合った。

今回は、9月3~6日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2018で、「創造と変革をドライブするブランドとは」をテーマに行われたパネルディスカッションの様子をレポートする。
SPEAKER
石川善樹氏
Campus for H
共同創業者 / 医学博士
井手直行氏
株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長
プロピッカー
沖野和雄氏
Lexus International
Jマーケティング室 室長
桜井博志氏
旭酒造株式会社 
(「獺祭」の蔵元) 会長
モデレーター
琴坂将広氏
慶應義塾大学
准教授(SFC・総合政策)

ブランドは追求の結果できるもの。
他社とは競争しない

琴坂 今回のテーマは、「創造と変革をドライブするブランドとは何か」です。そもそもブランドとは何だとお考えですか?

桜井 ブランドとは、実現したいことを追求した結果、できあがるものだと思います。たとえば私は、とにかく旨い酒を作り、お客様に喜ばれることだけを追求していますが、その過程にはブランドを壊そうとする外からの圧力も少なからずあります。それらを経てできあがるものではないでしょうか。

琴坂 外からの圧力ということは、同業のブランドとは競争関係にあるのでしょうか。

沖野 業績面での競争はあっても、ブランドは競争したらダメですね。レクサスが、他社の高級車が持つ世界観や歴史と同じ土俵で戦っても、誰のためにもならない。大切なのは、常に違う価値を提供することだと思っています。

井手 僕も意識はしますが、競争はせず独自の色を作っています。

桜井 そうですね。同業他社を競争相手にしたら、おそらく伸びないだろうと思います。

沖野 レクサスは尖って胸に刺さる存在にならないといけません。価格帯が高ければ高いほど、ブランドは尖っている必要があると思います。

井手 よなよなエールは、100人に1人の熱狂的なファンがいたらいいなと思って作ったブランドなので、尖っていると思います。桜井さんの獺祭も、相当尖っていますよね。

琴坂 ちなみに、自分たちのブランドを一言で言うと何でしょうか。

沖野 レクサスは「experience amazing」。体験を提供するブランドです。

桜井 日本で一番美味しいお酒を追求する酒蔵が作っているお酒が、獺祭です。

石川 僕は、ブランドは信仰の対象になっていると思うんですね。ただ、一神教的なブランドなら一言で言えても、多神教的なブランドは一言で言いづらい。

たとえば、ヨーロッパのシャネルやディオールは一言で言えるコンセプトがあって服作りをしているそうですが、日本のイッセイミヤケはコンセプト決めずに服を作っているんですね。だからイッセイミヤケを一言で言いづらい。いわば、多神教的な服作りをしているということなんです。

沖野 (多面的という意味では)トヨタもそうですね。いろんな車があるし、車両チーフエンジニアがそれぞれの個性を生かして車を作っています。

信念は変えない。
自分たちを信じて進む

琴坂 ブランドがお客様に共感を得られなかったらどうしますか? 相手に沿うように変えていくのか、それとも自分たちの信念を変えないのか。

沖野 レクサスは89年に生まれて以降、高級ブランドとして認知されていたのですが、2011年にアメリカで開催した発表会で「最近のレクサスはつまらない」と言われてしまったんですね。「昔はもっと面白かった」と。

自分たちなりに考えて変革したレクサスを発表会で出したのに「つまらないブランド」と厳しく言われてしまった。これはショックでした。そこから組織構造や車づくり、コミュニケーションの仕方を変えて、ブランドを追及し直しています。

井手 そんなことがあったんですね。よなよなエールは「こういうブランドなんだ」という信念を変えずに発信を続けていて、違う意見に合わせる考えは持っていないですね。

桜井 おそらく、ブランドの大きさにもよるんでしょうね。私もやりたいようにやりますよ。美味しいお酒を飲んでもらおうとすると、結果的に少し価格が高くなるんですね。それを納得してもらえる人にしか、私どもは理解してもらえません。「安い酒がいい」と言われても、その意見に合わせる気はないし、お客様に間違ったものを提供したくないので信念は変えません。もし、理解してもらえないとすれば、マーケットを去るべきだと思っています。

沖野 信念を持ってやるのは自動車業界も同じです。自動車の開発には何年もかかるので、現時点での意見を聞きすぎてはダメなんです。たとえば、アメリカで96年に発売した初代RXは、当初現地の販売店から「あんな車いらない」と言われていたんです。でもいざ世に出したら大ヒットして。

井手 世の中にないものは、出てくるまで消費者もわかりませんから、信じてやり続けるのが、一つのポイントかなと思います。桜井さんの獺祭も、杜氏に頼らないシステム化した製造だから、最初は業界からのバッシングがすごかったですよね。

桜井 でも、お客様じゃなくて業界から飛んでくるでしょう、石が。あれってブランドにとってすごくいいんですよ。石が飛んでくるようでないと、ダメだと思いますよ。

石川 石が飛んできて初めてブランドになるのですね。

トップのリーダーシップ、
意思決定がブランドをつくる

琴坂 ブランドを作り上げていくには、何が大切だと思いますか?

桜井 新しいものが生まれる環境を作り、トップのリーダーシップで引っ張ることです。

沖野 同感です。レクサスはブランド規定がありますが、放っておくとトヨタブランドの作り方に流されてしまうんですね。そうならないように規定を作っていても、トヨタの重力に引っ張られる。だからトップのリーダーシップは重要です。

井手 そうですね。僕はあるとき、よなよなエールを司る大事な要素を設定したのですが、作りすぎるとだんだんつまらなくなったんです。だから、僕のイメージを共有した上で、それぞれ考えて行動してもらうようにしています。

石川 ブランドはトップが全てだということですね。変革する際もトップの判断だと思うのですが、どういったときに判断されますか?

桜井 不満を感じたらすぐに変えたらいいと思います。専門家の意見はだいたい間違っているし、おそらくお客様の意見をいくら聞いても正しい答えは出てこない。これは小さい会社だから言えることですけど、トップ自らがブランドを追及するなかで判断するしかありません。

井手 桜井さんのように、大多数に受けるものじゃなくて、少数でいいと割り切っていると、その決断がしやすいですよね。よなよなエールも100人に1人が熱狂的ファンだったらいいから振り切れます。

琴坂 今回のテーマである「創造と変革をドライブするブランド」に方法論はないのでしょうか。

桜井 創造と変革は、困ったときにやることでしょう。たとえば、7月の集中豪雨で酒蔵は相当な被害にあい、何十億という被害総額が出そうだったんですね。ただ、獺祭としては売り物にならないけれど、別ブランドとしてなら出せる酒が4号瓶で70万本くらいあった。そこで、私の知人である島耕作の作者・弘兼先生に話して、島耕作ラベルを貼ったブランド酒を出荷したことで、被害総額を抑えられました。そういう困ったことがあって、変革が起きるのだと思います。

石川 順調なときはどうされていますか?

桜井 新しい投資先を見つけるなり、チャレンジ先を見つけるなりして、常に刺激や変化がある状態にしています。

沖野 レクサスでは、業績は好調な時でも危機感を持っています。常に効果や効率を見直す。そんな刺激のある状態が、ブランドをドライブするには必要かもしれません。

井手 僕らは「もっと何か新しいことができるんじゃないか」とあおりますよ。

琴坂 満足させないわけですね。ブランドはトップの意志で作られていくことがよくわかりました。突き抜けたブランドを作るなら、マーケティングの教科書には載っていない自分たちの信念や、大胆な意思決定が必要だということですね。ありがとうございました。

ブランドとは何か。
今回のパネルディスカッションを受けて、
ブランドとはトップのリーダーシップと
強い信念を貫いた結果、
確立されていくものだと言える。
自分たちが信じるものを
愚直に追求し続け、
発信を続けていれば、
熱狂的なファンを生み出すことに
つながるのだろう。

LEXUS ES
LEXUS ES
LEXUS ES
LEXUS ES
LEXUS ES
心を揺さぶる、エモーショナルなセダン
LEXUS ES
1989年にLSとともにレクサス最初のラインナップとして誕生し、世界で愛されてきたES。その原点と言える「上質な快適性」の進化に加え、流麗で引き締まったエクステリアと心を揺さぶるエキサイティングな走りを両立させ、新世代LEXUSとして大きな変革を遂げた。