INTERVIEWインタビュー
当主ご自身から、美山荘の特徴をご紹介ください。
室内にいても外の自然が感じられることを意識した、数寄屋造りの料理旅館です。この空間で私たちは、自然と人間の知恵を融合させた、心も体も綺麗になる料理を中心に、訪れてくださったお客様を季節遊びへと導くおもてなしをご提供させていただいております。
美山荘が接客理念に掲げる「気づかいすれどもおかまいなし」は、この老舗旅館にあっていつ確立されたものですか?
モットーとしたのは、先代の女将である私の母でした。いくら美味しい料理でも、もてなす側がずっとそばにいたのでは楽しめませんよね。自然の恵みを提供する美山荘として、お客様自身に自然を自由に感じていただく、そのための距離感をいかに保つべきか。当時の女将は、宿とお客様の関係性を日々一生懸命考える中で、自然とこの言葉に至りました。
自然の素材を生かす摘草料理が美山荘の伝統ですが、当主ご自身は、摘草料理が実現できる花脊(はなせ)という土地の素晴らしさにいつ気づかれましたか?
花脊で生まれた私にとって、この土地の環境は当たり前のものでした。学校から帰れば川で釣りをし、山で野草を摘むのも、今の子供であればゲームに夢中になるのと同じ日課だったのです。ですから当主となった最初の頃も、食材を探すため山へ入るのは特別なことではありませんでしたし、言葉を換えれば食材探し以外の感覚は持てませんでした。意識が変わったのは、30代の半ば以降でしょうか。当時は国内外で料理のプロデュースも行っていたのですが、どうもレストランは室内の展開に留まりがちと思っていたのです。そこで気づいたのが、家業のスタイルでした。美山荘は空間だけでなく、前後左右で自然とつながるおもてなしをしていると。
その意味や価値に立ち戻り、より広い範囲で山の恵の可能性を探求する、という意識で山に入ったら、花脊が違って見えました。おそらく、花脊ではなく私自身の見方が変わったからなのでしょう。また、自ら自然に近づくことで、自然の大切さに改めて気付き、感謝の気持ちも強くなりました。山は楽しい発見だらけです。毎日歩いても、しんどいとか大変だとか思ったことはありません。それよりも、昨日見つけた果実が今日はどうなっているかが気になって仕方なくなるのです。
美山荘にとって、変えていくべきこと、変えてはならないものとは何でしょうか?
私の中には、意図的に変える、変えないは一切ありません。大切なのは、時代と自然をきっちりと見定め、今、自分たちが何をすべきか真剣に考えることです。その結果が美山荘の在り様に反映されていくと思うのですが、私はそれを変化ではなく、進化と受け止めています。
人を感動させるプロの料理人として摘草料理に取り組んでいると、料理のヒントや構成はすべて自然の中にあることを思い知らされます。その実感を持って山と向き合うと、今何が起きているのかが見えてくるのです。この植物が減ったとか、空気がじめじめしてきたとか、要するに環境の変化が手に取るようにわかる。しかしお客様に自然を楽しんでいただくのであれば、減ったものがあるなら人間の知恵で埋め、この時代でできる自然の伝え方を考えなければなりません。技術もさることながら、気持ちを先行させて。そうして自然を見つめ続けることが、それこそ自然な進化になると思います。
今回はLEXUS RZに乗っていただきました。ハンドルを握った感想を聞かせてください。
私もクルマが好きなので、これまでいろいろ運転してきましたが、BEVを自分で走らせるのは初体験でした。驚いたのは、乗り始めの緊張がすぐにほどけたことです。それは、同乗者との会話がスムーズになる静かさや、快適な居住空間の造りを含めて、LEXUSは環境だけではなく、人の気持ちにも配慮していることが伝わったからじゃないでしょうか。中でも格別だったのは、アクセルを踏んだときのスカッとする伸びです。あれは未来の加速感と言うべきなのでしょう。自分の経験値にないものでしたが、それでも私の気持ちを置いていかないところに安心感を覚えました。
一言で言えば、心地よさに特化したクルマです。この爽快感は、私と同じように自然に興味がある方なら共感できるのではないでしょうか。そしてまた、BEVを選んでカーボンニュートラルに参加することを、新たなステータスとして誇らしく感じる人も増えていくように思います。
自然の恵みを生かす伝統に則る美山荘と、LEXUSらしく走りの楽しさを大事にしながらカーボンニュートラルを追求していくLEXUS BEV。両者で共感できるのはどんなところでしょうか?
我々の業態とクルマの共通点は、非日常の演出だと思います。美山荘に来てくださるお客様は、日々の喧騒から離れることで心身ともにリセットし、翌日からの日常を頑張れるとおっしゃってくれます。今回運転させてもらったLEXUS RZも、乗った瞬間に非日常が広がりました。非日常と言っても、細かい気遣いの積み重ねがなければ成立しません。それが、お客様一人ひとりを楽しませるおもてなしにつながっていきます。そんな考えでクルマをつくられていることがLEXUSから感じ取れました。
環境配慮や持続可能性をキーワードに、BEVとともに過ごす時間を豊かにしてもらうためのLEXUS Electrified Programと連携し、どのようなことを実現していきたいと思いますか?
現在のLEXUS Electrified Programは、持続可能性や環境保全というキーワードがはっきり感じ取れる、新しい時代における自然の楽しみ方を考えた取り組みをされていると思います。美山荘も然りです。私自身が強く思うのは、昔と今の自然は違うということです。壊された自然は元に戻りません。ですが、人に優しい自然をつくることはできます。たとえば私たちは、年々深刻になる害獣被害の対策として、広いエリアにフェンスを張り、かつて別の場所にあった野草の株を採取して増やしています。これは、今の自然を生かすために不可欠な措置です。
我々がつくる人に優しい新しい自然を、ぜひレクサスのBEVという新しい感覚の車に乗って、自然を感じながら美山荘までお越し頂き、存分に楽しんでもらえると嬉しく思います。そして、皆様に新しい自然の味を提供できればと思います。