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室屋義秀選手がAIR RACE X初代王者に輝く

2023.10.20 FRI
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室屋義秀選手がAIR RACE X初代王者に輝く

2023.10.20 FRI
室屋義秀選手がAIR RACE X初代王者に輝く
室屋義秀選手がAIR RACE X初代王者に輝く

空のF1とも呼ばれるエアレースを現実とデジタルで融合した「AIR RACE X(エアレース エックス)」の決勝トーナメントが10月15日(日)に渋谷で開催された。選手が各拠点で実際にフライトしたデータを元に最新のデジタル技術で渋谷上空を飛行しているかのようにデジタル上に再現し、競い合う新しいエアレース。見事初代AIR RACE Xで優勝を飾った室屋義秀選手のレースを取材した。

渋谷の街中で行われた白熱のレース

AIR RACE Xの決勝トーナメントが東京・渋谷を舞台に開催された。これに先立ち、10月8日から6日間にわたって予選が行われ、世界各地から8名のパイロットが参戦した。勝ち残った4名が、10月15日(日)に渋谷の上空を舞台にAR(拡張現実)で競い合った。

予選を勝ち抜いたのは室屋義秀選手、Matt Hall選手(オーストラリア)、Martin Sonka選手(チェコ)、Juan Velarde選手(スペイン)の4選手。

Juan Velarde選手以外の3選手はかつて行われた世界選手権で、2017~2019年世界王者に輝いた経歴を持つ選手で、まさに頂上決戦にふさわしい顔ぶれとなった。
決勝トーナメントが行われた東京・渋谷で選手紹介された
決勝トーナメントが行われた東京・渋谷で選手紹介される室屋義秀選手(右)、オンラインで参加した(左より)Juan Velarde選手、Matt Hall選手、Martin Sonka選手
世界7か国から参加した8名の選手は予選期間中に、それぞれの拠点で予選、準決勝、決勝を想定したフライトを実際に行い、大会により提供された計測機器を使用して、軌道・速度・Gなどの詳細な飛行データを測定、即時に大会へ送信し、勝敗が決定する。

予選を勝ち上がった4名による決勝トーナメントでは、実際のフライトデータと渋谷の街を融合したデジタルツイン技術によるレースが繰り広げられた。

渋谷に集まった観戦者は、専用のARアプリを使用することで、実際に上空でレースが繰り広げられているかのような、臨場感のあるレース観戦を堪能した。
渋谷の街を模したコースレイアウトに合わせて、室屋選手は拠点のふくしまスカイパークで実際にフライトを行った。
渋谷の街を模したコースレイアウトに合わせて、室屋選手は拠点のふくしまスカイパークで実際にフライトを行った。
事前に行われた決勝フライトのデータは、決勝戦まで、大会運営側で厳密に管理され、選手たちも勝敗は分からない。

このため、今までのエアレースとは異なり決勝はデジタルで行われるため観戦会場では室屋選手も集まった観戦者と一緒にレースの結果を見守った。

予選では6勝1敗で19ポイント獲得をし、1位通過した室屋選手は、事前に飛んだ決勝フライトをこう話した。

「実際にパイロットは、各拠点で事前に決勝戦を飛んでいます。機体の対戦相手が表示されるところに、ファイナルという文字が出たときに、緊張して気合が入りました。観客がいながらリアルにレースをしているのと、同じ感覚でした。

緊張している中でミスをしないで飛ぶのは大変でした。チーム全体もピリピリしながら飛びました。」
「ベースは本物の飛行機と本物のパイロットが戦うレースです。それを、ARを使ってスポーツの視聴環境を広げたのが、AIR RACE Xです。飛行機が60秒くらいのコースを飛んでタイムを競いますが、1秒くらいの僅差の戦いになります。

飛行機は時速370kmのスタートスピードで、最大12Gという中で非常に高速で過酷な環境です。機体もパイロットも限界に挑んでいます。

今までのエアレースでは1機ずつ飛んで、それぞれのタイムを比較して競っていましたが、AIR RACE Xはデジタル上で対戦するので、同時に2機の競い合いを見ることができます。

それぞれの機体のコース取りの違いや、ターンの大きさの違いなどがはっきりと見て取れます。観戦していても勝敗がわかりやすいと思います。また、ARアプリで渋谷の街をみると機体が通過するので、目の前を飛ぶレース機を見るのも楽しめます。」

ARを駆使した新しいエアレースの観戦

渋谷のパブリックビューイング会場やLEXUS渋谷では多くのファンが集まって、AIR RACE Xを観戦する人々の姿があった。
専用アプリを使用してスマートフォンやタブレットで見ると、実際にレース機が飛んでいるかのように見える。©AIR RACE X
バルーンをもって、室屋選手を応援する観戦者もいた。©︎AIR RACE X
LEXUS渋谷でもパブリックビューイングが開催され多くの人が室屋選手を応援した。
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また、大会の様子はAIR RACE X公式YouTubeでも全世界に配信された。
準決勝では室屋選手とJuan Velarde選手が対戦。Juan Velarde選手がレース序盤Gate5でゲートを通過中のペナルティにより2秒加算。室屋選手は順調かと思われた直後、強風による影響か、室屋選手もGate8でペナルティを受け2秒加算されてしまう。

そのまま渋谷スクランブル交差点直上のゴールを通過。結果は、0.145秒という僅差で室屋選手の勝利。観客も手に汗を握る展開となった。

そして、決勝戦では室屋選手とMartin Sonka選手が対戦。室屋選手が予選で、唯一敗北した相手だけに、観客の多くは固唾をのんで、決勝を見守った。

決勝フライトでは、予選期間中で一番のコンディション(チーム関係者)の中でのフライトが実現。今大会最速タイムとなる61.857秒を叩き出した室屋選手が66.219秒のMartin Sonka選手に4秒以上の大差をつけ、初開催のAIR RACE Xの王者に輝いた。
©︎AIR RACE X
©︎AIR RACE X
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観戦会場で、決勝戦の結果を緊張した面持ちで見ていた室屋選手は優勝が決まると、安堵した表情で喜びを語った。
「AIR RACE Xの構想から、トレーニングや機体の改良を積み重ねてきました。準決勝はJuan Velarde選手に僅差で勝ちましたがドキドキでした。勝利することができて嬉しいです。

新しいスポーツの観戦の仕方で、街のいろいろなところから見てもらえて、面白いレースになったのではないかと思いました。」

LEXUSと共に闘った2年間の成果

優勝がわかった瞬間、室屋選手はLEXUS PATHFINDER AIR RACINGのチームメンバーと抱き合い、喜びを分かち合った。

「タイム差があまりなかったので、ハンディキャップの計算も見ながら、息を詰めながら結果を見ました。

システムもよく機能して、場所や環境が違う中でも僅差のレースとなりました。仲間と共に、本気で競い合うレースは、やっぱり面白いなと思いました。」
LEXUS PATHFINDER AIR RACINGのチーム仲間とレースの結果を見守る室屋選手。
LEXUS PATHFINDER AIR RACINGのチーム仲間とレースの結果を見守る室屋選手。
LEXUSとしても、室屋選手と共に闘う初めてのレースとなったが、その成果を実感したという。

「予選の中でタイム比較はずっとしていて、他のチームより1秒のアドバンテージがあるのを見ていました。
過去は0.2~0.3秒前に出られると勝てるという状況だったので、それに比べると、今回は大分タイムを離すことができたなと思います。

チーム発足からの2年間でLEXUSと一緒に目標としていた進化を果たすことができたので、エンジニアたちは喜んでいると思います。フライトの積み重ねは、性能や技術、操縦の差が出るので、チームとして成果は見えました。」
優勝の興奮冷めやらぬ会場で今後の目標について聞いた。

「来年はデジタルラウンドを4戦くらいやりたいと思っています。複数戦あると、実力差が如実に出てくるので、安定して勝っていく必要があります。

他のチームも、飛び方もわかってきていますし、練習をして改良してくるので、混戦になると思います。その中で、ギリギリの戦いを勝ち抜くためには、さらに進化していく必要があります。我々も負けないように、開発を続けていきたいと思います。」


世界各国でフライトを行ない、実際のフライトとデジタルを融合したデジタルツインで戦うAIR RACE X。スポーツは競い合うのであれば、同じ場所で行わないといけないという常識を打ち破り、モータースポーツの新しいカタチを切り拓く。


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