JOURNEY

食で心を癒す。福岡・糸島の隠れ宿「僧伽小野」

2022.09.08 THU
JOURNEY

食で心を癒す。福岡・糸島の隠れ宿「僧伽小野」

2022.09.08 THU

ビルが立ち並ぶにぎやかな福岡の中心地から、わずか30分ほどのドライブで世界は一変する。海と山が織りなす自然の景色の中で、時間の流れは緩やかに。山海の幸に恵まれた糸島の宿のおもてなしに、心と体が癒されていく。旅のパートナーはLC500 Convertible。エレガントかつ刺激的な走りが、ドライブに彩りを添える。

Text by Takashi Sano
Photographs by Maruo Kono
Edit by Tomohiro Tsuchiya

オープンルーフ、夏を全身に

水平線が太陽の光できらめく。海の水が白い砂を透かして、ビーチに打ち寄せる。遠くには、岬の緑が海に浮かんでいる。心地いい夏の海風が、コックピットを抜けていく。頭上には、色濃い青空と白い雲のコントラスト。そして、ダイレクトに伝わってくるLC500 Convertibleの官能的なエンジンサウンド。コンバーチブルならではの贅沢だ。ここ糸島半島は、福岡の市街からクルマでたった30分ほど。大都会の目と鼻の先で、このような日常から解放してくれる風景と出会えるとは。福岡の街の魅力を改めて感じずにはいられない。
「日本の渚百選」にも選ばれた福岡県の名勝「桜井二見ヶ浦」を背に
「日本の渚百選」にも選ばれた福岡県の名勝「桜井二見ヶ浦」を背に
今日の旅の目的地は、糸島にあるオーベルジュ「僧伽小野」(さんがおの)だ。日本でも指折りの美食の街、福岡でも、口うるさい食好きにも評判の宿。旬の創作料理を求めて、宿に泊まる客が後を絶たない。まだチェックインまで余裕がある。LC500 Convertibleとの時間を楽しもう。玄界灘を臨む糸島半島は、コンパクトながら海岸線は変化に富み、ちょっとした海のドライブにはもってこいだ。LC500 Convertibleの走りはエレガントながら力強く躍動感にあふれる。ステアリングフィールも滑らかで、ドライバーの意志を汲み取り、その先へ導いてくれる。このコックピットにいると時間の流れを忘れてしまう。
美しいルーフとダイナミックな後ろ姿が目を引くLC500 Convertible
美しいルーフとダイナミックな後ろ姿が目を引くLC500 Convertible

時を忘れる、和の景色

「僧伽小野」は糸島半島の根元、打越湾に面してひっそりと宿を構えている。魅了されたのが部屋からの眺めだ。宿の目の前は、白砂が輝くプライベートビーチと海が広がっている。ビーチフロントという月並みの形容はふさわしくないだろう。魅力なのは、海との距離の近さではなく、その景色の美しさだ。内海の鏡のような海面に、カキの養殖のいかだが浮かぶ。雲は霞み、遠くに山と島が陰影を織りなす。窓枠の中に、まるで水墨画のように静寂な世界をつくる。
宿に到着。海岸にひっそりと寄り添うようにたたずむ隠れ宿「僧伽小野」(さんがおの)
宿に到着。海岸にひっそりと寄り添うようにたたずむ隠れ宿「僧伽小野」(さんがおの)
「海の向こうは唐津です。お椀の形をしている島は高島です」と、ウエルカムドリンクとともに説明をしてくれたのは、女将の平愛子氏だ。2010年に「僧伽小野」を一から立ち上げた。どのような宿にするか。その時に思いついたのが“食”だった。長年、管理栄養士としてクッキングスクールの講師、食育インストラクターとして、食の世界に携わってきた。「人生に彩りを添え、心を踊らす」食の力に魅せられてきた。「『生きるっていいね』という命の喜びを、食から感じてほしくて料理を中心とした宿づくりを目指しました」。

宿からの絶景。一点の墨絵のように完結された風景
宿からの絶景。一点の墨絵のように完結された風景
ディナーの時間まで宿を散策する。1日2組限定だが、宿は広い。真空管アンプを備えたオーディオルーム、夜空を楽しめる広々としたテラス、そして庭の離れでは、海を見渡しながらドリンク、希望すればディナーも楽しめる。所々に香が漂うのも癒される。目を閉じると、波音だけが耳にこだまする。静寂——プライベートな空間を確保するように配慮されているので、自分たちだけの時間を過ごすことができる。波音に誘われて、砂浜へ。白砂が太陽の光で明るく輝く。プライベートビーチなので、海水浴場の喧騒とは無縁。夜にはライトアップされるので足元も安心だ。月明かりの海を楽しむのも一興だろう。おもてなしの粋を隅々に感じさせる。
部屋には波音が忍び入る。静寂そのものだ
真空管アンプの音色にしばしふける
離れでは海を眺めながらドリンクを楽しめる
11
糸島の山海の恵みがテーブルを彩る。「僧伽小野」のディナーは和の創作料理コースで、そのこだわりは地産地消。玄界灘の荒波でもまれ身が締まった魚介、温暖な気候と豊かな土壌で育まれた滋味あふれる野菜、福岡市内でも流通することが少ない希少な糸島牛、黄身がつまめるほど濃厚な平飼いの卵……。その豊かな食材は、糸島ブランドとして、多くの料理人から引く手あまただという。「同じ水で育ったり、同じ空気を吸った食材たちが融合すると力強さが生まれます。食べていて気持ちがいいと、すごく感じますね」と女将。
女将の平愛子氏。食に対する思いと熱意が「僧伽小野」をきっての人気オーベルジュにした
女将の平愛子氏。食に対する思いと熱意が「僧伽小野」をきっての人気オーベルジュにした

絶品の椀。思わず声を漏らす

器が変わるたびに、糸島の食の実力への驚きは増していく。「おっ」。椀を口にした時に、思わず声を漏らしてしまった。濃縮されたうまみ、そして、上品でふくよかな余韻が続く。心と体が喜ぶ味だ。「お出汁は普通の取り方と違います。60度で昆布を2時間ほど泳がせます」と、女将はほほえむ。料理長が時間を費やし、苦心の末に生み出した味だ。メニューは月替わり。毎月、厨房で女将と料理長が対峙し、新しいメニューへ向けて試行錯誤を繰り返す。「食は人生の彩り。ワクワクして楽しんでいただきたい」。糸島の食材、そして、おもてなしの心とあくなき味への追求が、ここ「僧伽小野」では結実している。
料理長の田平祐氏。「山も海の食材も豊かな糸島。存分に楽しんでいただけるように、日々努力しています」
思わず箸が止まった「御出汁」
しっかりとサシが入っているのにしつこくない黒毛和牛の糸島牛。福岡市内にも流通することが少ない幻の味
旬の食材を一皿に
玄界灘の海の恵み。ここに極まり
ハモの旨味をサイフォンで濃縮してスープに
ハモのフライ。トリュフソースと共に。先ほどのスープとのマリアージュを楽しみながら
締めは、宿名物の糸島、二丈棚田米の土鍋抱き。本日はちりめん山椒、万願寺の枝豆ご飯
デザートはトマトとグリオットチェリーパルフェを中心に4種。まさに首尾貫徹だ
「僧伽小野」は、時間と共に姿を変えていく
11
明朝のチェックアウト、女将とスタッフが、駐車場まで見送りにきてくれた。「皆さん、最初は手探りのような表情でいらっしゃいますが、お料理を召し上がっていくと表情が和やかになっていきます。そして、帰る時は身内になったような顔で『またね』と言われる。最初のお迎えと最後の送り出しをした時の、このギャップがすごく楽しいんです」と、女将は笑う。LC500 Convertibleのルームミラーで自分の顔を確認したくなった。が、その必要はないだろう。
今回の旅のお供は、レクサスコレクションの2WAYボストンバッグ。バックパックになるので愛車を降りてからの移動にもよし
今回の旅のお供は、レクサスコレクションの2WAYボストンバッグ。バックパックになるので愛車を降りてからの移動にもよし
LEXUS COLLECTION


■僧伽小野
https://www.sangaono.com/

この記事はいかがでしたか?

ご回答いただきありがとうございました。

RECOMMEND

LATEST