JOURNEY

人と自然がつながる場所「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」へ

2022.08.31 WED
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人と自然がつながる場所「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」へ

2022.08.31 WED
人と自然がつながる場所「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」へ
人と自然がつながる場所「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」へ

確固とした北欧スタイルに、日本の伝統や文化、風土から得たインスピレーションを掛け合わせた独創的なデザインで人気を博すフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏。今回の目的地は、そんな氏が今年の4月、箱根・強羅にオープンさせた庭園「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」だ。LEXUSのBEV(電気自動車)UX300eに乗り込み、充電時間もアクティビティとして楽しむ箱根・日帰り旅へ向かった。

Text by Kaori Kawake(lefthands)
Photographs by Maruo Kono

BEVで行く箱根日帰りの旅

BEV(電気自動車)で出かける際に気になるのは、ドライブ先での充電スポット事情ではないだろうか。近年では、充電器を設置しているホテルも増え、また充電スポットを手軽に検索できるアプリなども登場し、徐々に不安は解消されつつある。しかし“日帰り旅”となると、限られた時間の中でいかに充電の時間を確保するのかが、より重要なポイントとなってくる。

我々がこだわったのは、充電を“煩わしい待ち時間”にしないこと。事前に急速充電スポットをリサーチして、まずは今回の目的地である「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」に向かった。

梅雨の真っただ中となった6月中旬。厚い雲に覆われた都内をLEXUSのBEV(電気自動車)、UX300eで出発し、約2時間のドライブで到着した我々を、久しぶりに顔をのぞかせた太陽が迎えてくれた。前日までの天気予報で雨の覚悟を決めていただけに、この展開はうれしい想定外の出来事となった。
樹木が生い茂る緑のトンネルの中を、静かに走り抜けるUX300e
樹木が生い茂る緑のトンネルの中を、静かに走り抜けるUX300e
連日の雨でしっとりとぬれた静粛な山間の道を、UX300eは静かに、かつなめらかにトレースしていく。上り坂でも踏んだら踏んだだけ加速してくれるから、ノーストレス。低重心なのでカーブで左右に振られる感覚もない。だからこそ、強羅の豊かな自然の景色を楽しむ心の余裕が生まれるのだ。箱根にBEV(電気自動車)というのは、思った以上に良い選択だ。

快適なドライブ時間を楽しんでいたら、あっという間に今回の目的地である「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」に到着した。
山道の脇に見えてくるサインが目印
山道の脇に見えてくるサインが目印

土地と自然の恵みを育む場所

標高630mに位置する山の一角にある「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」は、日本を拠点に20年以上にわたり活動を続けてきたデンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏が手がける庭園。

メインエントランス脇の小道から誘われるように庭園へと進むと、そこにはすがすがしい空気に満ちた森が広がっていた。
空に向かって同じ方向に伸びる木々。茂った葉の間からは、柔らかな光が降り注ぐ
空に向かって同じ方向に伸びる木々。茂った葉の間からは、柔らかな光が降り注ぐ
聞こえてくるのは、風にそよぐ葉の音とウグイスやシジュウカラなど森の小鳥たちの軽やかなさえずり。道にはチップが敷き詰められており、踏み締めて歩くと足の裏にフカフカと心地よい。

「この地に生息しているクマ笹の枯れ葉などをチップにしてまいています。爽やかな香りもあって、自然をダイレクトに感じられるでしょう」とうれしそうに話すのは、オーナーのニコライ・バーグマン氏。

足元からふわりと立ち上る笹の香りに包まれながら、なだらかな上り坂を一歩一歩踏みしめながら進んでいくと、自然と心が穏やかになっていく。
この日、誰よりも早く来て自らチップをまいていたというニコライ・バーグマン氏
この日、誰よりも早く来て自らチップをまいていたというニコライ・バーグマン氏
感覚としては「庭園の散歩」というより「森の散策」に近い。「ありのまま」の自然を最大限に活かしてデザインしているのが、「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」の特徴だ。敷地面積はなんとおよそ8500坪にも及ぶという。

「インスピレーションの源は自然です。最初は週末にちょっとゆっくりできるような居場所があったらいいなと思って土地を探していたのですが、最終的には全然違うスケールになりました」
氏がこの場所と出合ったのは8年前のこと。いろいろな場所に足を運んだ末に、手付かずの森が残るこの場所を訪ね、運命を感じたという。

「故郷であるデンマークには森はあっても山が一切ないというのもあって、日本の山の雰囲気がすごく好きなんです。山は自然のパワーがみなぎっていて、人間の存在がとても小さく感じますよね。フラワーアートは、1週間〜10日間ほどしか持たないものがほとんどです。だから、一つひとつ作品を付け加えながら、常に変わり続ける庭園を造ることができたらすてきだなと思ったんです」

以降、数年をかけて少しずつ準備を進めてきたという。

「フラワーアーティストとして30年以上働いてきましたので、花についてはひと通り先が読めるようになりました。しかし山は違います。例えば、天候はもうどうしようもないですよね」

箱根は春の訪れが遅く、しかも短い。4月のオープン以降も、雪や雨でせっかく奇麗に咲いた花が崩れたりしおれたりしてしまうこともあったという。しかし、そんな苦労話をしながらも、氏はどことなく楽しそうだ。

「人間は失敗を経験しながら成長していくもの。それと同じで、庭園もトライアンドエラーを繰り返しながら育てていきたいと思っています」
プロジェクトのミッションは、この土地の自然を守ることだという。広大なだけに、決してたやすいことではない。

思い通りにならない自然と対峙しながらも、チャレンジすることを恐れず、楽しみながら関わっているニコライ・バーグマン氏の目は、生き生きと輝いていた。

大自然のアートキャンバス

庭園では、ニコライ・バーグマン氏の手になるフラワーアートインスタレーションに出合うことができる。枯れ枝などを用いて作られた生命力を感じさせる作品は、どれも圧巻。華やかかつ繊細なフラワーアレンジメントのイメージが強いニコライ・バーグマン氏の、新たな一面がうかがい知れる。
箱根の石や黒竹、植物を組み合わせた壮大なオブジェ
ワイヤーなどは使わず枝だけで組み上げられた3つのオブジェの脇では、鮮やかなセロシアやアジアガーデンが彩りを添える
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庭園のある場所は標高が高く、冬には積雪もある山の上。植物にとっては厳しい気候条件だ。氏は、数年間にわたって250種類もの植物を育て、この地に適したものを見極めてきたという。

園内では、ツバキやアジサイといったもともと箱根に生息していた植物以外はあえて地植えをせず、プランターを配置して入れ替えを行う「モバイルガーデン」という方法が採用されている。我々が訪れたのはちょうどアジサイが咲き始めた時期。さまざまな品種の色鮮やかなアジサイが目を喜ばせてくれた。
アジサイは11月頃まで咲いているという。季節ごとに変わる鮮やかな色彩を楽しみたい
アジサイは11月頃まで咲いているという。季節ごとに変わる鮮やかな色彩を楽しみたい
「アジサイが一番好き」とほほ笑むニコライ・バーグマン氏。「顔がはっきりしていてインパクトがあるんですよね、いろんな色や模様もあって。なかには、色が変化するものもあります。若い頃は爽やかな黄緑だったのに、今度は紅葉して、そして最後にまた黄緑に戻って枯れる。それもすごく奇麗なんです」
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また、園内には他にもマーケットプレイスと呼ばれるコミュニティスペースや、ガラス張りのパビリオンが点在する。今後、秋にはハロウィーンイベント、冬にはクリスマスマーケットなど季節に合わせたイベントやワークショップ、作品展示などを行う予定だというから楽しみは尽きない。
ゴールデンウイークにはクラフトビールのイベントが開催されたというマーケットプレイス
フラワーベースやプランターが整然と置かれたカフェパビリオン
テーブルやスツールも全てニコライ・バーグマン氏やスタッフの手作り
ドライフラワーを使った作品が並ぶバレービューパビリオン
繊細なカラーグラデーションはニコライ・バーグマン氏ならでは
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人と自然が緩やかにつながる憩いの場

メインエントランスにあるモダンなたたずまいの建物が、自然との一体感を感じられるカフェ「Nicolai Bergmann NOMU hakone」だ。
カフェでは、ニコライ・バーグマンのシグネチャーアイテムであるフラワーボックスも販売されている。
カフェでは、ニコライ・バーグマンのシグネチャーアイテムであるフラワーボックスも販売されている。ここだけの限定パッケージはお土産にも最適だ
室内と室外をシームレスにつなぐ大きな窓、3カ所に設えられた扉によって、店内には温かな日が差し込み、森からの涼やかな風が抜ける。木を基調とした建物にモダンな趣を添えるのは、デンマークのブランド「FRITZ HANSEN」や「LOUIS POULSEN」の家具や照明。メニューとしては、近隣の畑で育てられた野菜や果物をふんだんに使ったサンドイッチやサラダ、スイーツなどが供される。
素材に倒木を用いたテーブルは、ニコライ・バーグマン氏がスタッフと一緒に手づくりしたもの
素材に倒木を用いたテーブルは、ニコライ・バーグマン氏がスタッフと一緒に手づくりしたもの
ピクニック用のバスケットも貸し出してくれるため、天気の良い日ならテラス席や園内各所に設けられた休憩スペースでいただくのもおすすめ。自然の息吹を感じながら本を読んだり、コーヒーを飲んだり……忙しない日々を忘れて、ゆったりとした時の流れに身を任せたい。
カフェでは、近隣で育った野菜や果物などを取り入れたメニューがそろう。自然の中で食べるとおいしさも倍増
カフェでは、近隣で育った野菜や果物などを取り入れたメニューがそろう。自然の中で食べるとおいしさも倍増
お客様の動向を見極めながら、次は何を足すべきか、常に考えを巡らせているというニコライ・バーグマン氏。取材中も、すれ違う人に「こんにちは」と笑顔で呼びかけ、積極的にコミュニケーションを取る姿が非常に印象的だった。

「お客様と一緒に作っていきたい」と語る氏は、「長く愛される公園になればうれしい」とほほ笑む。

成長を続ける「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」は、何度訪れても新鮮な驚きと感動を与えてくれるだろう。

充電時間に箱根の景色を見ながら一服

癒やしの庭園に後ろ髪を引かれながら「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」を後にした我々は、事前にリサーチしていた急速充電スタンドのある「道の駅 箱根峠」へと向かった。

約30分の快適なドライブの後に到着したのは、芦ノ湖や駒ヶ岳をはじめとする山々が見渡せる景勝地。急速充電器は1台しかないため、空いているかと心配していたが、幸運にも先客はおらず、すぐに充電をスタートすることができた。
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東京まで帰るのに必要な充電時間はわずか30分。景色を楽しんだり、道の駅でお土産を買ったり、小腹を満たしたりしていると、時が経つのはあっという間。もう少しゆっくりしたかった我々は、次の旅に備えて、さらに30分間の充電をすることに。

ここ箱根町は観光振興と連携させながら、BEV(電気自動車)普及の加速化とCO2削減の実現を目指す「箱根EVタウンプロジェクト」の取り組みによって、充電インフラの整備を積極的に進めている地域。少しずつではあるが、充電スポットも増え、日帰り旅でも安心してBEV(電気自動車)で来られるようになってきているようだ。

訪れる前は本当にスムーズに充電ができるのか一抹の不安もあったが、実際に充電をしながらの旅は、まったくストレスを感じることがなかった。

急速充電器があるという理由で訪れたこの道の駅も、想像以上にいいところだった。箱根の雄大な山々を見ながら、コーヒーを片手に旅の思い出を振り返る時間もまたぜいたくではないか。

充電をきっかけに新たなお気に入りスポットが見つかるというのも、BEV(電気自動車)ならではの旅の楽しみ方かもしれない。
ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ
https://hakonegardens.jp

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