JOURNEY

充電器PLUGOとBEVの未来――

アートディレクター 山崎晴太郎と巡る長瀞

2022.08.23 TUE
JOURNEY

充電器PLUGOとBEVの未来――

アートディレクター 山崎晴太郎と巡る長瀞

2022.08.23 TUE

スリムで、洗練された木目調のデザイン。環境になじむPLUGOのスタイリッシュな見た目は、他の充電器とは一線を画するたたずまいだ。PLUGOのデザインを手がけたのは、国内外で活躍する注目のアートディレクター、山崎晴太郎氏。山崎氏とともにPLUGOが設置されている長瀞町のキャンプ場と観光地をLEXUS UX300eで旅し、BEV(電気自動車)の未来について考えた。

Text & Edit by Eri Koizumi
Photographs by Shu Okawara

事前予約可能な「目的地充電」PLUGOが目指すこととは

BEV(電気自動車)は今後ますますの普及が見込まれているが、目的地充電のインフラは、まだまだ未整備な状況の今。目的地で確実に充電できる保証がない限りは、BEV(電気自動車)での遠出は不安だという声も多いだろう。そんななか、自動車や二輪車用の重要保安部品を長年製造する大川精螺工業株式会社と、アートディレクターの山崎晴太郎氏が代表を務める株式会社セイタロウデザインとの協業により、2018年に設立されたのが株式会社PLUGO(プラゴ)だ。

PLUGOは「続けたくなる未来を創る」を事業コンセプトに、EVを取り巻くサステナブルイノベーションを目指し、充電器本体とデジタルテクノロジーを組み合わせたサービスを提供している。
キャンプ施設「フォレストサンズ長瀞」の駐車場に設置してあるPLUGOでUX300eを充電
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PLUGOのEV充電器のデザインを手がけた山崎氏は「BEV(電気自動車)という環境への配慮と同じく、クルマありきの開発ではない、環境ありきの開発をしたいと思いました。機能がありながらも空間と調和し、その素材は、設置する環境を中心に考えられるもの。そんなことを考えながら、デザインを行いました」と語る。

PLUGOの便利なところは予約や課金がアプリでできること。「充電器の前は充電待ちの行列ができる状態です。急速充電では30分単位で回しているので仮に2台が前に並んでいたとしたら自分のクルマが終わるまで1時間半もその場に止まっていなければならない。充電しなければ帰れないので仕方なく並ぶわけですが、PLUGOはアプリで予約できるようにして充電待ちの問題を解決しました」と山崎氏。
今回は、EV充電器PLUGOが実際に設置、利用されている場所を山崎氏と訪ねることにした。日本全国にPLUGOの拠点が急ピッチで増えているなか、今回選んだのは埼玉県秩父郡長瀞町。東京から約90分、そのアクセスの良さからは想像できないほどのダイナミックな自然を体感できる長瀞は、荒川沿いの雄大な長瀞渓谷をはじめとした大自然を満喫できる観光地。アウトドアなアクティビティも楽しめる場所として人気だ。UX300eのBEV(電気自動車)ならではの静かな走行で、鳥のさえずりや川のせせらぎを聞きながらの道中は大自然と一体化するような感覚だ。

大自然の魅力と豊富なアクティビティ「フォレストサンズ長瀞」

本格的なキャンプが楽しめる全天候型のキャンプ施設「フォレストサンズ長瀞」は、県下最大級のトラベルトレーラーハウスとコテージを備えている。アメリカンな雰囲気が魅力で、広大な自然の中でキャンプや自然散策はもちろん、ボルダリングやスケートボードなどの室内スポーツも楽しめる複合施設だ。
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テントサイトは川沿いにあり、そこは国の天然記念物にも指定されている岩畳の風景を眺められる開放的な場所。岩畳とは、その名の通り岩が畳のように重なり連なった景勝地。地質学的にも貴重な場所で、自然が造り出した博物館ともいわれている。

「PLUGOと長瀞町は包括連携協定を結び、BEVユーザーが訪れたくなる地域づくり、脱炭素化のモデルケースを目指し協力しています」と山崎氏。フォレストサンズ長瀞ではEバイクの貸し出しもスタートしたところ。BEV(電気自動車)でキャンプ場に来て、滞在中はPLUGO充電器で充電して、クルマからEバイクに乗り換えて周辺を散策するという新しい旅のスタイルを提案している。
国の天然記念物にも指定されている岩畳の風景
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フォレストサンズ長瀞の代表、山口昌男氏は長瀞育ち。「長瀞の自然の美しさを伝え、体験してほしい」という願いでこの施設をオープンさせたという。本格派キャンプから、食材が用意された手ぶらBBQ付きのグランピング、トレーラーハウスやコテージ、さらにワンルームの部屋も完備。ソロ、ファミリー、仲間との合宿など、自然を愛する幅広い層のキャンパーたちがBEV(電気自動車)に乗ってここに集まる日も近そうだ。

国指定重要文化財「旧新井家住宅」

フォレストサンズ長瀞を後にし、UX300eを走らせること10分、国指定重要文化財「旧新井家住宅」に到着した。養蚕農家の民家を現在の場所に移築したもので、建物の構造は、かつて秩父に多く見られた養蚕農家の姿を表している。最も大きな特徴は、板葺きの屋根。板の上に石が並べられた構造は貴重な建築だ。内部も見学でき、建物内に入ると、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような気分に。生活道具も並べられていて、当時の生活の様子を知ることができる。
「旧新井家住宅」の藁葺きではなく板葺きという独特な造りの建築物は国の重要文化財に指定されている
「旧新井家住宅」の藁葺きではなく板葺きという独特な造りの建築物は国の重要文化財に指定されている
大学院で木造建築を学んだ山崎氏。「古いものをつなぐ」「自然との共生」というキーワードはいつもクリエイションの根幹部分にあるのだという。「時間を超える美しさに責任があるものづくりをしていきたいなと思っていて、デザインを学んだ後に建築を学びなおしました。自然をどう取り込んで出力できるのかが僕のデザインの根っこにあるのだと思います」

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PLUGOと包括連携協定を結んだ長瀞町は、町の景観保持と観光業の発展のためにも脱炭素化の推進に取り組んでいる。「自然豊かでアウトドアアクティビティも盛んな長瀞町にとって、自然との共生は極めて重要なテーマです。だからこそ自然を壊して環境開発するのではなく、共生していけるような町のあり方を検討していきたいと思っています」と長瀞町企画財政課の緑川氏。「長瀞町は都内からアクセスしやすい場所。目的地に充電器があれば、そこに駐車して何時間か過ごすことになります。付近にあるコーヒースタンドや酒蔵をのぞいて充電中の時間をゆっくり有意義に過ごしていただきたい」

PLUGOの充電器スポット、フォレストサンズ長瀞と旧新井家住宅をつなぐエシカルな旅にぜひ足を運んでほしい。

自動車は、ポジティブの塊

UX300eでのドライブを楽しむ山崎氏。「日常の中にすっと入っていけるタイプのBEVだと思います」
UX300eでのドライブを楽しむ山崎氏。「日常の中にすっと入っていけるタイプのBEVだと思います」
PLUGOのプロジェクトに携わることになり、最近ご自身でもBEV(電気自動車)を購入したという山崎氏。今回の旅ではUX300eに試乗してもらった。さてその感想は。

「コンパクトで乗りやすいですね。妻が乗ることを想定すると、幼稚園や習い事への送迎といった日常の中にすっと入っていけるタイプのBEVだと思います。運転もしやすいです。そして、いかにもBEV然としていないのでガソリン車からも自然に乗り換えられますね。自動車のデザインの延長線上にあるところにスタイルを感じます。いきなり超BEV的なハイテクなルックスのクルマに抵抗がある人にとっては、自然にBEVへの移行ができそうだなと思います」
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目的地での充電問題など乗り越えるべきハードルはいくつかあるけれど、BEV(電気自動車)の未来は明るいはずだと語る山崎氏。

「自動車は、ポジティブなマインドを形にしたようなもの。ポジティブの塊だと思うんです。ゼロから生まれてここまでの進化を遂げてきました。だからこそ、BEV(電気自動車)という大変革を迎えた今、またそのゼロから生み出す瞬間をポジティブに捉えて進んでいくと信じています」

大のクルマ好きの山崎氏だからこそ、その歴史を鑑みながら大変革の中にいる自動車の未来を信じているのだという。

脱炭素化に向けてさまざまな取り組みを行う長瀞町とPLUGOの姿を間近にし、BEV(電気自動車)での旅が安心で快適になる未来もすぐそばに来ていると感じた。


PLUGO
https://plugo.co.jp/

フォレストサンズ長瀞
http://forestsons.jp/

旧新井家住宅
https://www.town.nagatoro.saitama.jp/nagatoro-2/siryokan/

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