一期一会の景色に出合える箱根ドライブ
東京から最も近い温泉街の一つとして知られる箱根エリア。都心を出発して1時間半ほどのドライブで、箱根連山や芦ノ湖といった豊かな自然が織りなす雄大な景色に出合うことができる。
芦ノ湖を挟んだ両岸には「芦ノ湖スカイライン」や「箱根スカイライン」といった人気のドライブコースがあり、晴れた日には箱根の街並みや富士山を望むことができる絶景スポットが点在するのだが、この日はあいにくスッキリしない曇り空。趣向を変えて、箱根の古き良き町並みを眺めながら、新緑が芽吹きはじめた芦ノ湖周辺をゆるりとドライブすることにした。
芦ノ湖を挟んだ両岸には「芦ノ湖スカイライン」や「箱根スカイライン」といった人気のドライブコースがあり、晴れた日には箱根の街並みや富士山を望むことができる絶景スポットが点在するのだが、この日はあいにくスッキリしない曇り空。趣向を変えて、箱根の古き良き町並みを眺めながら、新緑が芽吹きはじめた芦ノ湖周辺をゆるりとドライブすることにした。
相棒のIS350は、高速道路では大排気量エンジンならではのトルクフルな加速で運転する楽しさを感じさせてくれたが、静かな温泉街や山道では、その静粛性の高さで鳥の声や水の音を聞きながらの上質なドライブ時間を演出してくれた。芦ノ湖や奥深い山道は濃い霧に包まれていたが、それもまた幻想的な景色であった。
主役はバー。好きなお酒を、好きなときに好きなだけ
芦ノ湖からクルマで15分ほど。箱根小涌谷の深い森の中にひっそりとたたずむのが「bar hotel箱根香山」だ。通常ドライブ旅で最後に行き着くデスティネーションは、ホテルかオーベルジュであることが多い。しかし、今回の目的地はあくまでもバーである。ドライブとバー、相反するようにも感じられる2つのアクティビティを結びつけるのは「バーに泊まる」というユニークなコンセプトを掲げるラグジュアリーホテル。
アプローチに誘われるようにエントランスへと足を進め、スッと開く扉を抜けると、目の前には厳かな雰囲気のバー空間が広がる。バーカウンターでチェックインをして、ウェルカムドリンクのシャンパーニュで乾杯すれば、早くもバータイムの始まりだ。
お酒好きにとって何よりもうれしいのは、すべての宿泊プランにドリンクのフリーフローが含まれていること。一部有料もあるがインクルードのメニューであれば、何をどれだけ飲んでも別途料金が発生することはない。しかも、その数は200〜300種類にも及ぶというから驚きだ。
ウイスキーや日本酒、ワイン、季節のフルーツカクテルやオリジナルカクテルなど幅広いメニューがそろう。さらに、カクテルはメニューにないものでも、オーダーに合わせて腕利きのバーテンダーが作ってくれるという。
「お出しできるものは、なんでもお出ししていますので、ある意味ではメニューは無限大だといえます」。そう微笑むのは、チーフバーテンダーの馬上 潤(もうえ じゅん)氏。
ウイスキーや日本酒、ワイン、季節のフルーツカクテルやオリジナルカクテルなど幅広いメニューがそろう。さらに、カクテルはメニューにないものでも、オーダーに合わせて腕利きのバーテンダーが作ってくれるという。
「お出しできるものは、なんでもお出ししていますので、ある意味ではメニューは無限大だといえます」。そう微笑むのは、チーフバーテンダーの馬上 潤(もうえ じゅん)氏。
「10mlでも1本でも、気になるお酒をお好きなだけお召し上がりいただけます。インクルードだからこそ、普段なら頼まないようなお酒にもチャレンジしやすいのではないでしょうか。通常のバーに比べて、自由度が非常に高いと思います」
たとえカクテルに詳しくないバー初心者でも、普段飲んでいるお酒の度数や好きなテイストをバーテンダーに伝えると、それに合わせて提案してくれるので安心だ。「可愛いカクテルをお願いします」や「好きなキャラクターのイメージで作ってください」というようなオーダーにも快く応えてくれる。もちろん、銘酒の飲み比べなんてことも可能だ。
モクテルメニューも充実しているため、お酒が苦手という方も十二分に楽しむことができる。また、もう一つの楽しみとなるのが、バーの軽食「food a la carte(フード アラカルト)」(※有料)。人気は、季節の野菜をふんだんに使ったバーニャカウダや地元の足柄牛を使ったbar hotelオリジナルビーフカレー。
たとえカクテルに詳しくないバー初心者でも、普段飲んでいるお酒の度数や好きなテイストをバーテンダーに伝えると、それに合わせて提案してくれるので安心だ。「可愛いカクテルをお願いします」や「好きなキャラクターのイメージで作ってください」というようなオーダーにも快く応えてくれる。もちろん、銘酒の飲み比べなんてことも可能だ。
モクテルメニューも充実しているため、お酒が苦手という方も十二分に楽しむことができる。また、もう一つの楽しみとなるのが、バーの軽食「food a la carte(フード アラカルト)」(※有料)。人気は、季節の野菜をふんだんに使ったバーニャカウダや地元の足柄牛を使ったbar hotelオリジナルビーフカレー。
ここはあくまでもバー。レストランは併設していない。もちろんチェックイン前に食事を済ませておいてもいいが、大半の客はfood a la carteも楽しみに来るという。
美酒とともにバーならではの軽食を楽しむ。これもまたバーの楽しみ方の一つなのだろう。
美酒とともにバーならではの軽食を楽しむ。これもまたバーの楽しみ方の一つなのだろう。
バーと客室、スパがシームレスにつながる唯一無二のバー体験
bar hotelといわしめる何よりの理由は、バーと各施設がシームレスにつながっている点にある。通常のホテルでは、バーはバー、客室は客室、スパはスパといった具合に空間が切り離されているが、ここではバーの雰囲気が廊下や客室、スパにまで落とし込まれており、常に同じバーに身を置くような気分を楽しむことができるのだ。
バーは客室に用意されている浴衣や館内着での利用も可能。ゆえに、チェックインが終わったらまずは箱根の良質な湯に浸かり、ドライブで凝り固まった体を解きほぐそう。刻一刻と変わる美しい景色が心まで穏やかにしてくれる。心も体もリラックスした状態でバーで一献傾けるというのは、なんともぜいたくではないか。
露天風呂やサウナ、水風呂を完備した「spa kazan(スパ カザン)」と、ヒノキの香りに癒やされる「spa hinoki(スパ ヒノキ)」の2つの温泉は、夜と朝で男湯・女湯が入れ替わるため、時間を替えて何度でも楽しみたい。
露天風呂やサウナ、水風呂を完備した「spa kazan(スパ カザン)」と、ヒノキの香りに癒やされる「spa hinoki(スパ ヒノキ)」の2つの温泉は、夜と朝で男湯・女湯が入れ替わるため、時間を替えて何度でも楽しみたい。
そのほか、大切なパートナーや気の置けない仲間とともに、プライベートなスパ時間を過ごしたいなら貸切の「private spa & bar(プライベート スパ&バー)」がお薦め。半露天風呂やサウナが設えられた開放感あふれる空間で嗜むお酒もまた格別だ。四季折々の景色を楽しめる朝の利用をお薦めしたい。
1人用のコンパクトなタイプから広々としたスイートまで、客室は16〜132㎡の全21室。いずれの部屋からも、山々の豊かな緑を望むことができる。インテリアはシックかつモダンな雰囲気でまとめられており、まるでバーの一角のよう。
バーから客室へ、客室からスパへ、そしてスパからバーへ——。気の向くままにグラスを傾ける大人の時間。酔いがまわって眠くなったら、そのままふかふかのベッドにダイブ。翌日のチェックアウトは遅めの14時。
そんな夢のようなひとときが、ここには待ち受けているのだ。
そんな夢のようなひとときが、ここには待ち受けているのだ。
最先端のカクテルが感性を刺激する
メニューブックの冒頭につづられているのは「kazan story」。「bar hotel箱根香山」のために描き下ろされた物語だ。ストーリーを読み進めるに連れ、非日常の世界へ引き込まれていくような不思議な感覚を覚える。ストーリーは門外不出。ゲストにしか明かされないこともあり、一見の価値がある。
非日常の空間を彩るのは、熟練のバーテンダーが腕を振るうユニークなカクテルの数々。せっかくなので、馬上氏にお薦めのメニューを尋ねると、3つのカクテルを紹介してくれた。
まず、最初の一杯にと作ってくれたのは、シグネチャーカクテルの一つ「KAZAN」。目の前でシェイカーを振る馬上氏の華麗な姿に思わず見とれていると、美しい桜色のカクテルが目の前に差し出された。飲み口もさっぱりとして軽やかで、さっそく心を鷲づかみにされる。
非日常の空間を彩るのは、熟練のバーテンダーが腕を振るうユニークなカクテルの数々。せっかくなので、馬上氏にお薦めのメニューを尋ねると、3つのカクテルを紹介してくれた。
まず、最初の一杯にと作ってくれたのは、シグネチャーカクテルの一つ「KAZAN」。目の前でシェイカーを振る馬上氏の華麗な姿に思わず見とれていると、美しい桜色のカクテルが目の前に差し出された。飲み口もさっぱりとして軽やかで、さっそく心を鷲づかみにされる。
次に紹介してくれたのは、スペシャルカクテルの一つ「足柄牛脂のブールバルディエ」。宿泊客の投票によって決まるというスペシャルカクテルには、「カルパッチョ」や「ゴマと鰹節のブラッディ・ブルショット」など、料理のような一風変わったメニューが並ぶ。その中の一つ「足柄牛脂のブールバルディエ」は、通常そのまま捨てられてしまう足柄牛脂を活用したというサステナブルなカクテル。足柄牛の旨味や脂分が隠し味となった、ユニークな味わいが癖になる一杯は、バーテンダーの遊び心と時代感が反映された最先端のカクテルだ。
最後に紹介してくれたのは、シグネチャーカクテルの一つ「ASHIGARA」。冬をイメージしたというカクテルは、生姜とスパイスをふんだんに使ったナイトキャップという寝る前に飲むカクテル。薪がパチパチとはぜる音に耳を傾け、揺らめく炎を眺めながら甘いカクテルを味わっていると、不思議と心が落ち着いてくる。心と体がふわりと温まり、心地よい眠りへと誘ってくれそうだ。
それぞれのカクテルの背景にあるストーリーについて、バーテンダーからいろいろと話を聞けるのもまた面白い。
「当館では、バーテンダーもホテリエの一人として、送迎車を運転することもあれば、チェックインやチェックアウトにも対応します。バーに行き慣れていない方だと、バーテンダーと何を起点に話をしていいのか分からず緊張するといわれることもあります。でも、すでに顔を合わせているスタッフがいれば、行きやすくありませんか? そういう意味でもシームレスなバーだといえるのではないでしょうか」と馬上氏。
そして次のように話を続けた。
「バーは人と人が密度濃く交わることができる場所だと思います。非日常的な空間ではあるものの、普段の生活と隔絶されているわけではなく、そこには心の通った人がいて、日常の延長線上にあるというのが魅力の一つではないでしょうか」
ホテルを後にして頭をよぎったのは、馬上氏がポロッと口にしていた「酒が人をダメにするんじゃない、人間がもともとダメだということを教えてくれるものだ」という故・立川談志師匠の名言。「bar hotel箱根香山」は、都会の喧騒を離れ、とっておきの一杯を前に、素の自分と向き合える稀有な場所なのかもしれない。
「当館では、バーテンダーもホテリエの一人として、送迎車を運転することもあれば、チェックインやチェックアウトにも対応します。バーに行き慣れていない方だと、バーテンダーと何を起点に話をしていいのか分からず緊張するといわれることもあります。でも、すでに顔を合わせているスタッフがいれば、行きやすくありませんか? そういう意味でもシームレスなバーだといえるのではないでしょうか」と馬上氏。
そして次のように話を続けた。
「バーは人と人が密度濃く交わることができる場所だと思います。非日常的な空間ではあるものの、普段の生活と隔絶されているわけではなく、そこには心の通った人がいて、日常の延長線上にあるというのが魅力の一つではないでしょうか」
ホテルを後にして頭をよぎったのは、馬上氏がポロッと口にしていた「酒が人をダメにするんじゃない、人間がもともとダメだということを教えてくれるものだ」という故・立川談志師匠の名言。「bar hotel箱根香山」は、都会の喧騒を離れ、とっておきの一杯を前に、素の自分と向き合える稀有な場所なのかもしれない。
bar hotel箱根香山
https://www.barhotel.com
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