JOURNEY

西陣織「HOSOO」

12代目 細尾真孝氏と LS で巡る京都

2022.06.20 MON
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西陣織「HOSOO」

12代目 細尾真孝氏と LS で巡る京都

2022.06.20 MON
西陣織「HOSOO」12代目 細尾真孝氏と LS で巡る京都
西陣織「HOSOO」12代目 細尾真孝氏と LS で巡る京都

京都で生まれ育ち、西陣織※の新たな可能性に挑戦し、多忙を極める細尾真孝氏が、わざわざ時間をつくって出かけるドライブスポットを教えてくれた。彼が普段から気軽に立ち寄るショップ&ギャラリー、プライベートでよく行く宿と店にLEXUS LS 500hで訪ねた。

Text & Edit by Tamako Naoe (lefthands)
Photographs by Maruo Kono

朝日焼 shop & gallery

いくつものプロジェクトを同時進行している細尾真孝氏は、オンとオフを意識することはあまりないという。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、移動が制限された時間を過ごした後、これからは以前よりも移動する価値が高まる時代が来ると考えている。そんな細尾氏が自ら運転するクルマで訪れ、その場で時間を過ごすことで刺激を受け、さらなる挑戦に思いを馳せる場所を紹介してもらった。

極上のくつろぎを目指したLS 500hのホールド性のよいシートは、細尾氏も気に入っているポイントの一つだ。ハンドリングもスムーズで、街中でも山道でも快適に走ることができる。今回はLS 500hに乗って、細尾氏が気に入って通う場所へ向かう。

2012年から京都を拠点とする伝統工芸の担い手が集まり、幅広いジャンルとの積極的なコラボレーションを実現してきたプロジェクトユニット「GO ON」。細尾氏とともに「GO ON」のメンバーとして活躍する十六世松林豊斎氏が受け継ぐ「朝日焼」のショップ「朝日焼 shop & gallery」へ。
「朝日焼」は、400年を超える歴史を持つ窯元で、現在、初代の始めた茶の湯の「うつわ」と、八世の完成させた煎茶文化の「うつわ」を中心に作品がつくり続けられている。
「朝日焼 shop & gallery」は、対岸に平等院を望む宇治川のほとりにある。緩やかなカーブを描く庭のアプローチの先には、瓦屋根の平屋がたたずむ。店内に入ると窓一面に広がる宇治川の景色。明るい店内は、シンプルで開放感のある空間デザインに改装されていて、奥にはお茶文化とともに発展してきた朝日焼らしく、茶室も設けられている。
宇治川に面した大きな窓が印象的な「朝日焼 shop & gallery」
開放的な茶室には茶の湯の「うつわ」と花器の作品が展示されていた
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細尾氏も、木漏れ日が降り注ぐモダンな茶室で、一服しながら宇治川を眺めることが多いという。この日は友人の松林豊斎氏の作品が展示されており、ひだまりの中に並ぶ器の美しさに魅せられていた。

店内で入れてくれる煎茶を、朝日焼の茶碗で試飲させてもらえるサービスもあり、実際に手に取った感触や口あたりを確認できる。ぜひ、一煎目と二煎目の味や香り、色の違いを感じてほしい。
朝日焼の工房で150年つくり続けられている持ち手のない急須「宝瓶(ほうひん)」は、単品でもセットでも購入できる
流し掛けした涼しげな青の月白釉と白化粧土の調和が美しい十六世豊斎作「茶盌 月白釉流シ」。両手で包み込んだ手触りも感じてほしい
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朝日焼は、陶土と磁器の両方の土を用いる珍しい窯元で、「茶の湯」と「煎茶」という異なる「お茶のうつわ」を作陶している。店内には茶盌や煎茶碗、湯冷しや急須だけでなく、コーヒーや紅茶用のカップ&ソーサーやマグカップまで、多様化する「お茶」に対応するアイテムがそろう。また「お茶」を楽しむための道具として、盆や茶托、砂時計なども購入できる。

何気ない毎日に「お茶」の時間を設け、道具にこだわることで、より豊かな時間を過ごしてみてはいかがだろう。

■朝日焼 shop & gallery
https://asahiyaki.com/gallery.php

朝日焼の窯場と作陶館

「朝日焼 shop & gallery」のすぐ近くには、朝日焼の窯場がある。通常は見学不可だが、不定期に見学会が開催される。また窯場には作陶館も併設されており、1〜2時間ほどで陶芸を体験できるコースも。本格的に学べる陶芸教室も用意されており、興味に合わせて選ぶことができる。
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朝日焼はガス窯と登り窯を使い分けてつくられている。煎茶文化の磁器土を使った「うつわ」は繊細なデザインや発色が多く、コントロールしやすいガス窯で、茶の湯の文化の「うつわ」は代々、登り窯で焼成されてきた。
現在使用する登り窯は十四世豊斎氏が築窯したもの。三笠宮妃殿下より「玄窯」という御銘を拝受している
十六世豊斎氏の制作中の手元
登り窯での焼成を待つ作品
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年に数回の窯焚きは、赤松の薪のみを使用し、温度と熱量を少しずつ上げていくが、コントロールできない微妙な温度の上がり下がり、また炎や灰のかかり具合によって、特別な作品が生まれる。とはいえ、一度の窯焚きで、作品にならない「うつわ」が8割を超えることが当たり前。作品として世に出る「うつわ」が、どれだけ貴重で素晴らしいものなのかを知ることができる。

■朝日焼
https://asahiyaki.com

完全予約制のとり料理専門店「とり料理 瀬戸」

細尾氏がわざわざクルマを走らせて訪ねるというお気に入りの店は、京都の洛北エリアにあるとり料理専門店「とり料理 瀬戸」。山里に近い住宅地の中にある立派な門をくぐると、昔ながらの日本家屋と手入れの行き届いた庭が迎えてくれる。季節ごとの花が咲くように植栽も考えられており、四季折々の庭も楽しめる。
© とり料理 瀬戸
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1日3組限定の完全予約制で、メニューは自家飼育の鶏(にわとり)と、有機栽培の野菜を使った「とりづくし」コースのみ。予約客の来店時間に合わせて、店で平飼いしている鶏をその日にさばく徹底ぶりで、近隣府県のみならず、東京からのリピーターも多い。屋内にさりげなく飾られている骨董品や食器のコレクションも見事なので、その空間や庭も料理と一緒に楽しんでほしい。
「とり料理 瀬戸」の店内は、部屋によって囲炉裏があったり、テーブル席であったり違う趣
食事をする時間に合わせて準備される「とりづくし」コースの鶏肉は、さまざまな部位がそろう
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住まいと同じ京都市内とはいえ、山に近づいていく道をドライブするだけで、遠くに来た感覚を楽しめるのもお薦めのポイントだと、細尾氏は教えてくれた。

■とり料理 瀬戸
京都府京都市左京区静市市原町336

京都の里山を楽しむ宿「美山荘」

細尾夫妻が毎年年末に宿泊するという「美山荘」は、京都の奥座敷と呼ばれる花背の集落にある。鞍馬寺を過ぎ、杉木立が続く山道を進み、上桂川を渡るとたどり着く場所だ。道は細く、路線バスとすれ違うときには注意が必要だが、その行程も楽しめる。

ここは京都市という住所でありながら、自然に囲まれた静かな山間の宿。創業1895年という由緒ある料理宿で堪能できるのは、土地の趣をふんだんに取り入れた懐石「摘草料理」だ。
京都市中心部から1時間半ほどのドライブでたどり着く「美山荘」
母屋の玄関は宿坊だった名残を感じさせる
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参道をはさんで宿坊の面影を残す母屋と、川に面した離れに分かれていて、数寄屋建築の匠、中村外二氏が手がけた自然と文化の融合を見事に昇華させた特別な空間に迎えられる。多くの文化人に愛されてきた美食の宿は、司馬遼太郎の著書にも登場する。

窓の外の自然を感じるほどの静かな部屋は、何もしないことを楽しむためにある空間。心地よく温かなおもてなしが特別な滞在を演出してくれるのだ。ここでの宿泊は、月見台のある離れの3室のみの1日3組限定となっている。
母屋に続く「名栗の板の間」は、いろりを囲むカウンターが特徴
窓からの景色を楽しむぜいたくな時間を過ごせる
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この土地に由来する素材にこだわり、野草や花背の清流を泳ぐ魚、鯖街道にちなんで海のものも少し取り入れた食材を使い、茶懐石の心を汲む「摘草料理」がつくられる。都の風雅と山里の野趣が程よく組み合わされている。
食通の心を掴む美山荘の「摘草料理」の一例
美山荘の近くで採れる山菜は春の食材として提供される
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日々、複数のプロジェクトに取り組み、常にコミュニケーションを取り続けている細尾氏。日常から離れ、里山の自然を感じ、ここでしか味わえない料理を楽しみ、ゆっくりとした時間を過ごす。一年の区切りをつけるための滞在だからこそ、毎年欠かせないものだという。

■美山荘
https://miyamasou.jp
細尾氏が大切にしている場所は、連綿と続く人の技術やおもてなしの心を感じられる場所だった。人と自然との調和を五感で楽しむドライブの目的地として、リストに加えておきたい。

※西陣、西陣織は西陣織工業組合の商標です。

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