クルマ好きの集まるレース会場でLEXUSが伝えたかったこと
国内唯一の24時間レース「富士SUPER TEC 24時間レース(2022年6月3日~5日)」の会場に「ROV Concept」、「NX PHEV OFFROAD Concept」、「LX600“OFFROAD”JAOS ver.」、「RZプロトタイプ」が展示された。この4台は自然や環境への配慮と共生、多様化するお客様のニーズに寄り添う「NEXT CHAPTER」のクルマづくりを表している。「NEXT CHAPTER」はカーボンニュートラル社会の実現と、多様化する市場のニーズやライフスタイルに寄り添うクルマづくりに取り組む、次世代のLEXUSを意味する。Lexus International President佐藤恒治の旗振りで、チームが一丸となり、「もっといいクルマづくり」への想いの下、はじまった取り組みだ。24時間レースという自動車カルチャーの会場で、お客様とLEXUS共通の「クルマが好き」というピュアな想いを一緒に楽しみたいという考えから今回の展示が実現されている。

エモーショナルな感性を刺激するROV Concept
「お客様の幸せをカーボンニュートラルで実現する。しかも楽しさを忘れない、素に戻れる」これは、佐藤プレジデントから豊田社長にROV Conceptを初めて披露した時に伝えた言葉だ。アクティブなスタイルに水しか出さない水素エンジンを搭載し、レスポンスの良さと、五感を刺激するサウンドを楽しみながらオフロード車でも行けない場所へ、一歩踏み込み、自然と触れ合う事で、自然と共生しながら、走りを楽しむライフスタイルの実現を目指したコンセプトモデルとなっている。

ヤマハとの共同開発の1.0L 3気筒水素エンジンはST-Qクラスで参戦中の水素エンジンカローラの技術要素も取り入れられており、環境への配慮とエンジン車ならではのリアルなエンジンの鼓動を感じ取れる走りの楽しさを両立した。タイヤは道なき道でパンクのリスクなく走るためのエアレスオフロードタイヤを採用している。
ベース車両:YAMAHA YXZ1000R SS SE
ベース車両:YAMAHA YXZ1000R SS SE
ROV Conceptの楽しさを疑似走行体験
ROVの楽しさを来場されたお客様にもご体感頂きたいとの想いから車両前面には走行時のムービーを映し出す大型モニターを設置。そして希望者にはVRゴーグルも用意されており、来場者は実際に車内に乗り込みROVの走行をより臨場感のある状態で感じてもらえるようになっていた。
クルマをカスタマイズすることの楽しさ、クルマとともに過ごす豊かなライフスタイル
ROVと並んで展示された2台のクルマは「LEXUSをカスタマイズする楽しさ、クルマとともに過ごす豊かなライフスタイルをお客様一人ひとりに楽しんで頂きたい」という佐藤プレジデントの想いから作られたカスタマイズを提案するコンセプトモデルとなっている。その1台目はLEXUSのNEXT CHAPTER幕開けを告げるモデルとして2021年11月に発売開始したLEXUS初のPHEVモデル「NX 450h+」をベースとした「NX PHEV OFFROAD Concept」。EV走行とHEV走行がもたらすCO2排出をおさえた優れた環境性能や上質な走りと、電動モーター駆動による低ミュー路面での安心の走破性に加え車高リフトアップや悪路走破性に優れた大径のオールテレーンタイヤとホイールの装着や、ブロンズとブラックのマット塗装によるエクステリアのカラーコーディネートなどのカスタマイズを施した、アドベンチャーライフスタイルだ。
2台目は、「LX600“OFFROAD”JAOS ver.」。このモデルは4WDやSUVのパーツ開発で豊富なノウハウを持ち、海外ラリーレイドにも参戦するJAOSとLEXUSの多様な体験を提供したいという両社の想いが一致し共同開発された。LX600 “OFFROAD”が持つ力強い走破性を主張するデザインに、JAOSならではのラギッド感あふれるカスタマイズを施し、ユーザーの冒険心をかきたてるスタイリングを打ち出している。エクステリアは、CFRP製パーツやENKEI製20インチアルミホイールなどを採用し、軽さと強さを両立したコンペティションモデルならではの迫力あるデザインにより、LX600“OFFROAD”が持つパフォーマンスの高さを際立たせている。
LXの走りのコンセプト“世界中のどんな道でも楽に、上質に”を同乗体験
また、レース開催中はLEXUS OFFROAD EXPERIENCE(オフロード同乗体験)として、富士スピードウェイ内に新設されたオフロードコースでの体験同乗会も実施された。これは1組(最大3名まで)あたり約30分でLXの開発において掲げた走りのコンセプト “世界中のどんな道でも楽に、上質に”をオフロードコースで実際に体験できる。走るコースはオンロード志向SUVだと走破自体が困難なレベルで、本格的なオフロードコースに馴染みのない人にとっては非日常的と言える環境下だ。悪路走破性はもちろん、極限でも維持される快適性の高い「LEXUSらしい走り」が体験できるプログラムとなっていた。
LEXUS初のBEV専用モデルである新型「RZ」のプロトタイプも展示
イベント広場の中央には、各メーカーのスポーツカーに混じり、「カーボンニュートラルな社会実現に向けた様々なモビリティ展示」のコーナーが設けられた。その中に今年4月20日に世界初公開されたLEXUS初のBEV専用モデル「RZ」のプロトタイプが展示された。会場ではLEXUSの新たなアーキテクチャーである「スピンドルボディ」を採用したフロントマスク、そしてLEXUS初となるステアバイワイヤによる新形状のステアリングが来場者の注目を集めた。

注目のスピンドルボディとステアバイワイヤ
スピンドルボディは「RZをデザインする上で一番苦労した(デザイン部長 須賀厚一)」という。この進化は豊田社長の「スピンドルグリルを壊していいよ」という言葉からはじまった。「LEXUSは機能に根差したデザインであることは外せない(RZチーフエンジニア渡辺剛)」BEVにはエンジンを冷却するために大きくとったフロント開口部でもあったスピンドルグリルが必要なくなってしまった。一方で、デザイン面ではスピンドルグリルの一貫性に拘ってしまいデザインも守りになってしまっていたという。そんな時に豊田社長からの「スピンドルグリルを壊しなさい」という言葉があった。
デザインチームは新たなグリルのデザインを模索し苦戦する中で大きな勘違いに、須賀は気が付いた。壊せといったのはスピンドルグリルではなく自分たちのマインドセットだったと。スピンドルは形が特徴的なため、スピンドルグリルを付ければ、なんとなくLEXUS車に見えてしまう。中途半端な成功で停滞していることが、物事を幅広く見ている豊田社長からすれば、もどかしかったのだろう。と須賀は振り返る。「お前ら守りに入ってるんじゃない」という豊田社長のエールであることに気が付いたデザインチームが考え抜いた結果、行き着いたNEXT CHAPTER の新たなアーキテクチャーが「スピンドルボディ」だ。そして、この「スピンドルボディ」は6/1に発表されたRXでも踏襲されている。
もう一つRZで注目を集めていたステアバイワイヤも、今までのハンドルという概念をゼロにして最初からやり直している。人間はどこを持つのが一番コントロールしやすいのか考えハンドル形状からやり直し、「もっといいクルマづくり」への想いのもと、クルマとの対話を続け、今までにない走りを求めて5年の歳月が開発に注がれた。
デザインチームは新たなグリルのデザインを模索し苦戦する中で大きな勘違いに、須賀は気が付いた。壊せといったのはスピンドルグリルではなく自分たちのマインドセットだったと。スピンドルは形が特徴的なため、スピンドルグリルを付ければ、なんとなくLEXUS車に見えてしまう。中途半端な成功で停滞していることが、物事を幅広く見ている豊田社長からすれば、もどかしかったのだろう。と須賀は振り返る。「お前ら守りに入ってるんじゃない」という豊田社長のエールであることに気が付いたデザインチームが考え抜いた結果、行き着いたNEXT CHAPTER の新たなアーキテクチャーが「スピンドルボディ」だ。そして、この「スピンドルボディ」は6/1に発表されたRXでも踏襲されている。
もう一つRZで注目を集めていたステアバイワイヤも、今までのハンドルという概念をゼロにして最初からやり直している。人間はどこを持つのが一番コントロールしやすいのか考えハンドル形状からやり直し、「もっといいクルマづくり」への想いのもと、クルマとの対話を続け、今までにない走りを求めて5年の歳月が開発に注がれた。
24時間レースで考えるカーボンニュートラル
24時間レースの当日の富士スピードウェイはル・マンやニュルブルクリンクといった海外の有名24時間レースと同じく、モータースポーツを媒介としたクルマ好きの「お祭り」的色彩も強い一方で、カーボンニュートラル社会の実現に向けた自動車メーカー各社の取り組み展示があり、レースでは水素燃料、合成燃料、バイオ燃料を使用したST-Qクラスのクルマが走る。レースを通して、カーボンニュートラル社会の実現についても学べる場所となっていた。キャンプエリアでタープやテントを張って、家族や仲間たちとバーベキューをしながらレースを観戦する人も多く、モータースポーツが日本でも、しっかりとカルチャーとして根付いた姿が垣間見ることができた。