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デザイン部長と

4人のチーフエンジニアが語る、

LEXUSのNEXT CHAPTERとは?

2022.06.01 WED
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デザイン部長と

4人のチーフエンジニアが語る、

LEXUSのNEXT CHAPTERとは?

2022.06.01 WED
デザイン部長と4人のチーフエンジニアが語る、LEXUSのNEXT CHAPTERとは?
デザイン部長と4人のチーフエンジニアが語る、LEXUSのNEXT CHAPTERとは?

カーボンニュートラル社会の実現と、多様化するお客様のニーズに寄り添うクルマづくりを加速させる次世代LEXUS。21年10月に発表された「NX」を筆頭にフラッグシップSUVモデル「LX」、初のBEV専用モデル「RZ」、そして6/1に発表になった「RX」は共通の「NEXT CHAPTER(ネクスト・チャプター)」という取り組みがあるという。次世代LEXUSの各モデルのチーフエンジニアと、デザイン部 部長にブランド変革に向けた想いや挑戦について聞いた。

Photographs by Maruo Kohno

次世代LEXUSのクルマづくりの根底にある、マスタードライバー豊田章男の想い

「この4台がまさにNEXT CHAPTERを象徴しています」。そう語ったのは、LEXUSデザイン部 部長の須賀厚一。

4台とは、新型「NX」(21年6月発表)、新型「LX」(22年1月)、それにブランド初のBEV専用モデル「RZ」と、6/1発表の新型「RX」。
Photograph by Lexus International
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「NEXT CHAPTER」とは何か。カーボンニュートラル社会の実現と、多様化する市場のニーズやライフスタイルに寄り添うクルマづくりに取り組む、次世代のLEXUSを意味する。

電動化ビジョン「Lexus Electrified(レクサス・エレクトリファイド)」も重要なテーマだ。電動化技術を用いて車両の基本性能を進化させるとするLEXUSでは、2035年をめどにラインナップのフル電動化を目指すとしている。

Lexus Internationalの佐藤恒治プレジデントの旗振りで、各車のチーフエンジニアとデザイナーを中心とした次世代のクルマづくりが昨年10月に発表されたNXから始まった。それが、NEXT CHAPTERにおけるクルマづくりだ。

「私たちがまず取り組んだのは、“走りの味磨き活動”でした。チーフエンジニア全員、評価ドライバー、デザイナーらが、土曜日になると(愛知県豊田市の)テクニカルセンター下山(テストコース)に集まって、私たちが目指すべきLEXUSの味とはなんだろうと話し合ったんです」

LXのチーフエンジニアを務めた横尾貴己は、当時の記憶をたどり、そう語った。
LXチーフエンジニア 横尾貴己
LXチーフエンジニア 横尾貴己
多忙な面々が土曜日にわざわざテクニカルセンター下山に集合した背景には、「クルマは“素性”を徹底的に良くするべき」と唱えるマスタードライバー、豊田章男の考えが影響していたそうだ。

「“味つけ”というけれど、素性が良くなければ、ホンモノのクルマにならない、というのがマスタードライバーに言われたことです。クルマと“対話”できることが大切なんだ、と説かれました」

ここで会話に出てきた“対話”とは、クルマの操縦性と、開発陣は解釈。クルマの土台であるプラットフォームを鍛え上げて剛性を上げることに努め、同時に、ステアリングホイールを操作したり、アクセルペダルを踏んだりしたときの、クルマの応答ぶりを徹底的に煮詰めていったという。

デザインですら、「プロポーションも走りのための機能の一部と考えました」と前出の須賀は教えてくれた。
左から須賀厚一、横尾貴己、加藤武明、渡辺剛、大野貴明
左からデザイン部 部長 須賀厚一、LXチーフエンジニア横尾貴己、NXチーフエンジニア加藤武明、RZチーフエンジニア渡辺剛、RXチーフエンジニア大野貴明 Photograph by Lexus International
横尾貴己(LX)、加藤武明(NX)、渡辺剛(RZ)、それに大野貴明(RX)と、一同に会したチーフエンジニアが、デザイン部を率いる須賀の言葉にひとつひとつ、うなづいていた。

NXから始まった次世代LEXUSのつくり込み

次世代LEXUSともいわれるNEXT CHAPTERの“頭出し”は、21年に発表された新型NX。ボディ設計やシャシー設計の担当者が、テストコースに詰めて、いいクルマづくりに励んだ、いわゆる“下山合宿”を経て、LEXUS独自の“すっきりと奥深い”味をつくり込むことになった。確かに、すっきりと奥深い、という言葉に納得できる気持ちのいい操縦性が、強く印象に残る。
NXチーフエンジニア 加藤武明
NXチーフエンジニア 加藤武明
次に、大型SUVの新型LX。ボディオンフレームという構造を採用しているため、荒れた路面などではボディがブルブルと震えやすい。そこで、横尾と開発陣はLEXUSならではの上質な乗り味を実現すべく、ボディとフレームを結合する部分に使用するワッシャーの厚みを0.1mm単位で変更しながらどれが最適か探ったというこだわりようだ。
LXでは開発初期段階から、オンロードとオフロード、それぞれのTAKUMIと呼ばれるLEXUS車の評価ドライバーにも参画してもらい、理想的なドライブフィールをつくりあげていった。「本格的クロスカントリービークルとしての機能はそのまま、LEXUSならではの味をつくるのにこだわりました」。横尾はそう語った。

LEXUS初のBEVであるRZでは、加速や減速やステアリングホイールの操舵において、ドライバーの感覚に寄り添った動きの実現を重視したそうだ。渡辺はそれを「ナチュラル」と表現。

「マスタードライバーは当初、BEVは好きになれない、と言っていたので、逆に、コモディティ(単なる移動の道具の意)化しないよう、操縦性を追求しました」

BEVでも、乗ればLEXUS、と感じられるようにと、たとえば「DIRECT4(ダイレクトフォー)」という前後モーターの駆動力を緻密に制御する技術で煮詰めたのも、RZの特徴だそう。

「後輪の駆動力が大きすぎると、コーナーで外側に押し出そうとする力が強まるのが一般的な特性ですが、DIRECT4では前後輪を駆動するモーターをうまく制御して、“すっきりと奥深い”というLEXUS車に共通する操舵感覚を実現しました」

新型RXも「低重心でふんばり感のあるフォルム」(須賀)を目指したというだけあって、従来のイメージをもちつつ、いってみれば感応性が強くなったボディシェイプが目を惹く。
RZチーフエンジニア渡辺剛、RXチーフエンジニア大野貴明
RZチーフエンジニア渡辺剛、RXチーフエンジニア大野貴明
新型RXにおいて、注目すべきは、「RX500h F SPORT Performance(パフォーマンス)」。この2.4リッターターボエンジンのハイブリッドモデルに、RZと同様、四輪駆動力システム「DIRECT4」が搭載された。

「車名にある“パフォーマンス”のなかに込めたのは、レスポンスのよさ、伸びやかな加速で、気持ちいいね、と言っていただける体験ができるというつくり手の意図です」

チーフエンジニアの大野貴明は、ラジエターグリルと一体化した新しいデザインテーマ「スピンドルボディ」をもった新型RXの前で、嬉々として話した。
いつの間にか穴が開いているRXのスピンドルボディ
いつの間にか穴が開いているRXのスピンドルボディ
NX、LX、RZと、次世代LEXUSのラインナップが次々と発表されるにつれ、周囲の期待値はどんどん上がっていることが、RX開発にあたってマスタードライバーとの対話から、ひしひしと伝わってきたとか。

「(先代も販売好調だからといって)守りに入らないで、さらなる高みを目指していくことに努めました。バネもダンパーも見直して、さらに(RX500h F SPORT Performance に搭載の)DIRECT4で走りを突き詰めました」

実際にドライブしてみるのが楽しみになる発言だ。「NEXT CHAPTER」の説明で強く印象に残ったのは、須賀と4人のチーフエンジニアがみな、嬉しそうに話していた。
Photograph by Lexus International
Photograph by Lexus International
「NEXT CHAPTER」は、まだ始まったばかりだ。

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