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アメリカ発の抹茶メーカー
「Cuzen Matcha」が人気の理由

2021.08.25 WED
アメリカ発の抹茶メーカー「Cuzen Matcha」が人気の理由

アメリカを中心に抹茶のブームが巻き起こっている。その理由は、抗酸化作用をもつポリフェノールを効率的に摂取できるから。そんなアメリカでスタイリッシュな抹茶マシンを開発したのは、実は日本人だった。

Text by Takeshi Sato

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茶葉をすべて摂取できるのが抹茶の特徴

2015年あたりから、ニューヨークを中心としたアメリカで抹茶カフェのブームが起きていることをご存じだろうか。抹茶の人気が急上昇している理由の一つが、抗酸化作用を持つポリフェノール(茶カテキン)が大量に含まれていることだ。老化の原因となる活性酵素を除去するアンチエイジング効果が注目され、アサイーやチアシードなどと並ぶ“スーパーフード”として人気を博すようになった。

そんなアメリカで、抹茶を手軽に楽しむことができ、しかも本来の味を引き出す抹茶マシンを開発したのが、World Matchaの塚田英次郎社長だ。アメリカで発表した「Cuzen Matcha(空禅抹茶)」は、CES2020のイノベーションアワードに選ばれるなど発売前から注目を集め、リリースされてからは「Time」誌のBest Inventions of 2020を受賞するなど、世界的な評価を得ている。そして2021年夏より、日本市場でも展開する運びとなった。
抹茶と炭酸水の組み合わせ。見ているだけで爽やかな気分になれる
抹茶と炭酸水の組み合わせ。見ているだけで爽やかな気分になれる
今回は、塚田氏に抹茶の魅力やCuzen Matchaの開発に至った経緯、そして茶葉農家との連携や今後の事業展開などを伺った。

カリフォルニアにあるアメリカ法人で指揮を執る塚田氏とのオンライン取材を開始する前に、日本のスタッフが、煎茶との違いを説明しながらCuzen Matchaで抹茶をたててくれる。

パッケージの封を切って抹茶リーフをCuzen Matchaの茶筒に入れてスイッチを押すと、セラミックの臼が葉をひいて粉にする。粉は下部にセットされた水を入れた専用コップに注がれ、水と混ざる。このとき、磁力で回転するウィスクが茶筅の働きをして、やわらかな泡を生む。完成まで、約2分。
茶葉を注ぎ入れたらあとはスタートボタンを押すだけ。フレッシュでおいしい抹茶ができる
茶葉を注ぎ入れたらあとはスタートボタンを押すだけ。フレッシュでおいしい抹茶ができる
こうして出来上がった“Matcha Shot”をストレートで飲むと新鮮なグリーンの香りが気分をリフレッシュし、炭酸割りにして飲むとその爽やかさが強調された。千利休の時代から、抹茶が薬として使われてきたことが納得できる。そしてこの抹茶の原液は、抹茶ラテや抹茶カクテルなどさまざまな飲み方に応用できる。

そしてこの過程を見ていると、煎茶と抹茶の違いがよく分かる。前者が茶葉の抽出液を飲むのに対して、後者は茶葉全てを摂取するのだ。茶葉の成分を全て体に取り入れることができるし、茶殻のゴミも出ない。さらには、Cuzen Matchaが使う抹茶リーフは、品質の高いオーガニック茶葉にこだわっているので、体にいいことずくめなのである。

茶室を連想させるデザインに妥協は一切ない

サントリーに勤務し、商品開発やブランディングを担当していた塚田氏は、長期にわたってお茶と向き合ってきたという。「伊右衛門」を担当していた時期には、京都に頻繁に出向き、また「烏龍茶」を担当していた時期には、中国・福建省にも何度も出向いていた。さらに、米国スタンフォード大学に留学してMBAを取得した直後には、アメリカ市場向けのお茶商品の開発、事業開発に従事した。

お茶を通じて、もっと人々の健康に貢献したいという想いが膨らみ、アメリカでの抹茶カフェブームを目の当たりにした塚田氏は、2018年に社内ベンチャーのような形で、サンフランシスコに「Stonemill Matcha」という抹茶カフェをオープンした。この店が、あっという間に行列ができる人気店になった理由を、塚田氏はこう振り返る。

「抹茶は、粉が扱いにくいんですね。粒子が細かいので、しばらく放置するとダマになってしまい、飲み物の中でうまく混ざらない。そこで多くのカフェは、抹茶の粒子に、粒子の大きな砂糖と結合させたプレ・ミックス・パウダーを使うんです。そうしたら、そのような粉は水の中で分散されやすいので。抹茶を使った飲み物が最初から甘くなってしまっているのはそれが理由です。けれども私たちは、お客様に、品質の高い抹茶そのものの味わいを楽しんでいただきたかったので、そのようなプレミックスパウダーは使わずに、あくまでも「抹茶の粉+水」を使って、あらかじめ濃い液体を作っておき、それをベースにしたレシピをそろえることにしました」
茶葉のパッケージにもデザインへのこだわりが見て取れる
茶葉のパッケージにもデザインへのこだわりが見て取れる
そして、まずは抹茶の濃い液体を作って、それから抹茶ドリンクを作るという発想は、後にCuzen Matchaの開発にも活かされることになる。「Stonemill Matcha」を経て、2018年秋に、塚田氏は社命を受けて日本へ帰国する。帰国後、抹茶を楽しむピースフルで健康的なライフスタイルをグローバルに広めたいという自身の強い想いを確認した塚田氏はサントリーを退職、World Matcha株式会社を起業してCuzen Matchaの開発に取り掛かったのである。

「私自身はエンジニアリングの経験がまるでなかったので、エンジニアやプロダクトデザイナーに相談しながらプロジェクトを進めました。絶対に妥協したくなかったのは、茶室の円窓と茶筒からヒントを得たデザインですね。部屋に置いてあるだけで茶室の雰囲気が味わえるような抹茶マシンにしたいと思ったんです」

試作品が完成し、「Kickstarter」のクラウドファンディングで支援を募ると、あっさりと目標の金額をクリアした。商品のコンセプトやデザイン、塚田氏のプレゼンテーションが素晴らしかったのはもちろん、「アメリカで抹茶がきている」という読みも間違っていなかった。

良質な茶葉を育てる農家と連携する

Cuzen Matchaを展開する上での塚田氏のこだわりは、マシンのみならず茶葉そのものにも向けられている。抽出液を飲む煎茶と違ってすべてを体内に取り入れる抹茶は、茶葉の安全性が重要なのだ。そこで化学肥料や農薬を使わない、100%オーガニックな茶葉を採用しているのである。

「ペットボトルのお茶がなければ、こんなにお茶は飲まれていないと思うので、僕はペットボトルを否定しません。その一方で、ペットボトル用の茶葉の生産量が増えることで、日本国内の茶葉の需要がペットボトル用の通常品質の茶葉に集中してしまい、その結果として、手間暇をかけて品質の高い茶葉を育てる農家さんが減っているという事実もあります」
「良質な茶葉を生産する農家を仲間として増やしていきたい」と塚田氏は語る
「良質な茶葉を生産する農家を仲間として増やしていきたい」と塚田氏は語る
例えば、本当においしい抹茶用の茶葉(=碾茶)を育てるには、収穫前の2〜3週間は覆いをかけて日光を遮る必要があるという。リラックス効果の高いテアニンが、日光によって苦味の強いカテキンに変化することを防ぐためだ。このひと手間をかけることで、苦味や雑味が少なく、香りが高い茶葉に仕上がるという。それをオーガニックで、おいしい味わいを実現するとなると、難度はさらに高くなる。

「われわれの抹茶マシンと茶葉リーフの販売が順調に伸びれば、世界では、オーガニックでおいしい、品質の高い茶葉に需要があることを、日本の農家さんにも理解していただけるでしょう。そのようにして、仲間を増やしていきたいですね」

リラックス効果とアンチエイジングの効果が期待できる抹茶を世界に広める。その一方で、安心・安全で質の高い茶葉を作る農家を支援する。これまで抹茶というと、作法に重きが置かれがちだった。けれども、抹茶の文化をグローバルに広めるには、また別のアプローチもあるのだということを塚田氏の試みは体現しているといえよう。

Cuzen Matcha
https://jp.cuzenmatcha.com/

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