ART / DESIGN

海外旅行の気分をカフェで、自宅で味わうお菓子3選

2021.08.09 MON
ART / DESIGN

海外旅行の気分をカフェで、自宅で味わうお菓子3選

2021.08.09 MON
海外旅行の気分をカフェで、自宅で味わうお菓子3選
海外旅行の気分をカフェで、自宅で味わうお菓子3選

海外への旅がかなわず、ふとため息が漏れがちな昨今。そんなときには、各国のお菓子をカフェで、あるいは自宅で楽しみながら、アフターコロナの旅先を夢見てはいかがだろう。異国情緒香る甘くておいしいお菓子が、気分をぐんと引き上げてくれるはずだ。今回ご紹介するのは、ちょっと目新しい海外からのスイーツ3選。コロナ禍にもかかわらず、潔く日本に初上陸した心意気も応援してみたい。

Text & Edit by Mari Maeda (lefthands)

しっとりふわふわの元祖台湾カステラ

最初にご紹介するのは、2021年5月に東京都墨田区のスカイツリータウンに店がオープンしたばかりの元祖台湾カステラ「Grand Castella(グランドカステラ)」。台湾の淡水に本店を置き、世界7カ国に進出している台湾カステラの名店が日本に初上陸した。淡水本店で修行を積んだスタッフたちが、本店と同じ機材や材料を使用しながら本店と同じ味を提供している。

赤い箱を店頭で手渡されると、漂う香りに期待が高まる。急いで帰路につき自宅で箱を開けると、巨大なカステラが目に飛び込む。“ふわふわ”と表現されるとおりのたたずまいに、思わず笑みがこぼれてしまう。
しっとりふわふわの元祖台湾カステラ「グランドカステラ」
食感は噂どおりに“ふわふわ”で、空気をたっぷりと含んでいるかのような軽やかさ。卵の風味がふんわりと口いっぱいに広がり、幸福感に満たされる。最初はサイズの大きさに驚くが、軽さとともに甘さも控えめなので、いくらでも食べられてしまう。おやつにはもちろんのこと、色とりどりのフルーツを添えれば朝食にもぴったりだ。
フルーツを添えたり、ホイップクリームを添えたり。楽しみ方は多彩
素材はごくシンプルで、添加物は一切使われていない。子どもにも安心して食べさせられる点も、親としてはうれしい。種類はプレーンとチーズの2種類。プレーンは好みでメイプルシロップやホイップクリームを足しても良いだろう。チーズ入りはハムやソーセージ、サラダなどを添えてぜひ週末のブランチに。温めるとチーズがとろりと溶けて、程良い塩気が生地の甘さを引き立てる。
甘さ控えめのシンプルな味わいゆえに、朝食やブランチにもぴったりなグランドカステラ
ほのかに甘いふんわりとしたカステラ生地からチーズがとろけて、塩気と甘味の絶妙なハーモニーがたまらない
懐かしさを感じさせる素朴な味わいが、仕事の合間の休息時間にも心を和ませてくれる
どこか懐かしく、ほっとする味わいのグランドカステラ。アジア中で大人気なのも納得の味に、店には行列が絶えないという。ちなみに現社長の津森結花氏(32)は20代半ばに旅先の淡水で台湾カステラと出合い、この味を広げたい一心でじっくりと準備を重ね、日本とフィリピンに店を開くに至った。津森氏が惚れ込んだグランドカステラを味わっていると、いつしか台湾へも訪ねてみたくなりそうだ。

■GRAND CASTELLA
HP : https://grandcastella.jp
インスタグラム : https://www.instagram.com/grandcastellajp/

異国情緒溢れるドバイ発の王室御用達スイーツ

二つ目にご紹介するのは、UAEのドバイから初上陸したスイーツショップ「VIVEL PATISSERIE(ヴィヴェル パティスリー)」。ヴィヴェルの魅惑的なスイーツは、中東の王族の結婚式やパーティーにも頻繁に並び、現在UAE国内の5〜7つ星ホテルでも提供されている。ペルシャの伝統的な手作り菓子のレシピをベースに、ヨーロッパと中東の感性が入り混じる芳醇な香りを届けてくれる。
東京・表参道に2020年オープンしたドバイ発のVIVEL PATISSERIE
東京・表参道に2020年オープンしたドバイ発のVIVEL PATISSERIE
お薦めの一つはVIVEL CLASSICSシリーズ。中東の家庭や地域で何世紀にもわたり守られ、受け継がれてきた伝統的なペルシャンスイーツだ。原材料にはひよこ豆やギー(植物油脂)、カルダモンやシナモン等のスパイスが使用され、心を込めて手作業で作られたスイーツは全て一口サイズ。口に入れるとほろっと崩れ、家庭の安らぎを覚える優しい味わいだ。小さな宝石のようなかわいらしさがティータイムに華やぎを添えて、ヴィヴェルの香り豊かなフレーバーティにも相性が良い。
愛らしいスイーツの数々はどれもクセのない優しい味わい。すべてドバイから空輸で届けられる
もう一つのお薦めは、サウジアラビア産のSAQAIという貴重なデーツ(ナツメヤシの実)を使ったスイーツ。デーツをドライにし、一つひとつ丁寧に種を取り除いてさまざまなナッツやフルーツの皮をサンドしている。柔らかく、デーツの果実そのものの豊かな甘みと、ナッツや柑橘系のフルーツが織り成す味わいは、日常的に常備しておきたくなるおいしさ。お茶だけでなく、アペリティフやディジェスティフにも合う。ミネラルやビタミンC、食物繊維が豊富なことでも知られるデーツは、健康に気を遣う人にもうれしい。
高品質なデーツにナッツやオレンジピールなどがサンドされており、ワインのお供にも相性抜群。男性にも好評だ
高品質なデーツにナッツやオレンジピールなどがサンドされており、ワインのお供にも相性抜群。男性にも好評だ
金色に輝くパッケージが幸運をもたらしてくれそうな華やかさ。手土産にも最適
金色に輝くパッケージが幸運をもたらしてくれそうな華やかさ。手土産にも最適
スイーツはオンラインでも購入できるが、もしも表参道を訪れることがあれば、ぜひ昨年オープンしたばかりの店にも立ち寄ってみたい。華やかなエメラルドグリーンの壁紙や大理石のテーブル、椅子は、ドバイ本店と同じものを取り寄せたという。店頭にはご紹介したスイーツのみならず、チョコレートやヌガー、ケーキなどが美しく並び、眺めているだけで心が華やぐ。

店には紅茶、緑茶、白茶、ハーブティー、フレーバーティーなど、随時30種の飲み物が用意されており、中東のお茶文化をゆったりと、優雅に楽しむことができる。異国情緒溢れる空間でドバイ発の珍しいスイーツを味わいながら、中東への旅を夢想し、気心知れた友人と語り合うひと時を楽しんでみてはいかがだろう。
エメラルドグリーンが映えるシノワズリな壁紙に、ブルーベルベットのソファと白い大理石のコントラストが美しい店内
店の棚には花びらやスパイスをブレンドした数十種類に及ぶフレーバーティーが並んでいる
店の棚には花びらやスパイスをブレンドした数十種類に及ぶフレーバーティーが並んでいる
■VIVEL PATISSERIE TOKYO
https://vivel-japan.com

フランスの伝統的な淡雪のようなメレンゲ菓子

最後にご紹介するのは、2020年に神楽坂にオープンした「Aux Merveilleux de Fred(オー・メルベイユ・ドゥ・フレッド)」。店内に一歩足を踏み入れると、そこはまるでフランスそのもの。フランス語が軽やかに飛び交い、まるでフランスへ旅しに来たかのような錯覚に陥る。吹き抜けにはヨーロッパの全店舗に共通する美しいシャンデリアがきらめき、大理石のカウンターや布張りの椅子など、家具類はすべてフランスから取り寄せたという。軽妙なセンス溢れる男女が集い、かつて花開いたサロン文化への思慕が店名に託されているというが、スイーツのみならず、空間そのものも本場フランスを彷彿させる。オープン以来、瞬く間に神楽坂の人気店となったのもうなずけるだろう。
シャンデリアの輝きとショーケースに並ぶ数々のスイーツに目を奪われて、道行く人たちは思わず大きな窓枠の前に立ち止まってしまう
洒落たギフトボックスに入ったメルベイユが話題を呼んで大人気に。店頭ではメルベイユ1個から購入することができる
この店の名物は、本店があるフランス北部の伝統菓子、その名もメルベイユ。メルベイユとは、メレンゲ生地をホイップクリームで覆い、細かいチョコレート片をまぶしたシンプルなスイーツだ。創業者のフレデリック・ヴォカン氏は、このスイーツのクリームとメレンゲがふわっと一体となりとろけていく、かつてない食感を実現。まるで淡雪のような唯一無二の口どけは、たちまちヨーロッパ中で評判を呼び店舗が広がっていった。そしてついに2020年、アジア初の店が東京のリトルパリと呼ばれる神楽坂にオープンしたのだ。
一軒家の2階と3階は居心地の良いカフェスペース。天気の良い日にはテラス席でグラスシャンパンを嗜む楽しみも
「オー・メルベイユ・ドゥ・フレッド」の魅力は、メルベイユの口どけの良さだけでなく、ナッツやフランボワーズといったフレーバーの豊富さにもある。最もオーソドックスな「メルベイユ」は、メレンゲにチョコレートフレーバーのホイップクリームを乗せたものを2段に重ね、細かくスライスしたダークチョコレートでコーティング。他にもメレンゲにプラリネホイップクリームを乗せてキャラメリゼしたヘーゼルナッツをコーティングした「マニフィック」や、チェリーホイップクリームを載せてクリスタルメレンゲチップをコーティングした「エキセントリック」など、全6種類全て味わってみたくなる。
フラマンドル風ワッフル(左)とそれぞれフレーバーが異なる3種類のメルベイユ(右)。どちらもフランス北西部の伝統菓子だ
淡雪のような軽やかさが特徴のメレンゲとホイップクリームが何層にも重なっているのが同店のメルベイユの特徴。写真は「エキセントリック」
同店にはメルベイユ以外にも、北フランス、フランドル地方の伝統的なパンやスイーツが並んでいるので、ぜひいろいろと味わってみてほしい。中でもお薦めなのが「フラマンドル風ワッフル」。薄くしっとりしたワッフル生地にクリームをサンドしたもので、フレーバーはバニラとヴェルジョワーズの2種類。ヴェルジョワーズには砂糖とラム酒を合わせたバタークリームがサンドされ、砂糖のジャリっとした食感がくせになる。

ショーケースに並ぶスイーツやパンなどは全て店頭で作られていて、使う材料の多くは本場のレシピを忠実に再現するためフランスから取り寄せているという。
ショーケースには魅力的なフランスの伝統菓子が並ぶ。左奥はメルベイユをホールケーキのように仕立てたパーティー仕様
薄く焼いた生地の間にクリームが挟まったフラマンドル風ワッフル
薄く焼いた生地の間にクリームが挟まったフラマンドル風ワッフル
さて、この店を取り仕切るのはヴォカン氏の信任を得て来日したアレクサンドル・トランキーニ氏一家だ。本場で数年かけて修業したチーフパティシエの次女をはじめ、奥様と長女も店内で生き生きと働いている。日本が大好きで、来日が実現したことを家族で大喜びしているというトランキーニ氏一家。フランスの空気感溢れるお店を訪ねて、コロナ禍での苦労にもめげず前向きに取り組むファミリーも応援したい。
店内ではガラス越しに作業する様子を見ることができる。左は次女でチーフパティシエのマエさん
1周年を迎えて撮影した記念写真。ディレクターのトランキーニ氏(右から3番目)一家を中心に、皆が和気あいあいと家族のよう
■Aux Merveilleux de Fred Tokyo
HP : http://www.auxmerveilleux.com/home/
インスタグラム : https://www.instagram.com/auxmerveilleuxdefredtokyo/?hl=ja

それぞれの国の文化に育まれて愛される、個性豊かなお菓子の数々。好みの国の写真集やガイドブックを広げながら、しばし自宅やカフェで、空想の旅を楽しんでみてはいかがだろう。甘いお菓子とともに幸せなひと時が待っている。

この記事はいかがでしたか?

ご回答いただきありがとうございました。

RECOMMEND

LATEST