VISIONARYMAGAZINE BY LEXUS

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「LEXUS LF-Z Electrified」からひも解く、
LEXUSが目指すクルマづくり(後編)

2021.04.16 FRI
「LEXUS LF-Z Electrified」からひも解く、LEXUSが目指すクルマづくり(後編)

レクサスは2021年3月30日、「LEXUS CONCEPT REVEAL SHOW」というオンラインプレゼンテーションにて、次世代LEXUSを象徴するEVコンセプトカー「LF-Z Electrified(エレクトリファイド)」をワールドプレミアした。VISIONARYでは、同モデルの開発を指揮した渡辺剛チーフエンジニア、レクサスブランドマネジメント部 部長の冨樫弘央氏にインタビュー。後編では、LEXUS LF-Z Electrifiedの背景にある「人間中心」の思想に迫る。

Text by Fumio Ogawa

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もっといいクルマづくりを通じて社会の持続的な発展にも貢献

クルマは自分で勝手に進化するものではない。開発する人間がいて、クルマが生まれる。そして経営陣と開発者に透徹したビジョンがあれば、それがクルマに反映される。レースでもエンジニアリングでもデザインでも、同じことがいえる。過去の“名車”とは、造り手そのものなのだ。

クルマには開発者の意思がストレートに現れる。それは今も変わっていない。しっかりと未来を見据え、環境と人のために最善を尽くすと覚悟を決めた人たちが生み出すクルマ。それが、レクサスが2021年3月30日に発表したLF-Z Electrifiedをみて、すぐに思ったことだ。

「100年に一度と呼ばれる自動車産業の大変革期において我々が果たすべき使命は、もっといいクルマづくりを通じ、お客様のライフスタイルのみならず、社会の持続的な発展へ今まで以上に貢献していくことです」

そう語っているのは、Lexus International Presidentで、Chief Branding Officerを務める佐藤恒治氏。バックグラウンドはエンジニアで、2019年の東京モーターショーで、4輪それぞれにモーターを設置し駆動力を自在に操るインホイールモーターなど、革新的な技術でもって大きな話題を呼んだレクサスのコンセプトカー「LF-30 Electrified」の開発を推進した立役者でもある。
2019年の東京モーターショーでお披露目されたEVコンセプトカー「LF-30  Electrified」
2019年の東京モーターショーでお披露目されたEVコンセプトカー「LF-30 Electrified」
同時にレクサスでは「2025年には全車種に電動車を設定し、電動車の販売比率がガソリンエンジン車の比率を上回ることを目指します」とする。「2050年には、全モデルラインアップにおけるライフサイクル全体を通じたCO2排出量ゼロを実現、その目標に向けて開発段階での素材選定に加え、素材の製造過程における環境負荷にも考慮し、地球環境に良いクルマづくりを目指します」。

レクサスのクルマづくりの背景にある「人間中心」の思想

運転と環境をともに高い次元でバランスさせようというレクサスのこれからのクルマづくり。今回のLF-Z Electrifiedはその象徴的な存在なのだ。冒頭の佐藤氏とともに、レクサス初のピュアEV「UX300e」を手掛けた渡辺剛チーフエンジニア(兼BR-LE室室長)が開発を指揮した。

「DIRECT4(ダイレクトフォー)」なるモーターによる全輪駆動方式と、従来のようにロッドと歯車など機械的な結合を使わず電気モーターで前輪を操舵する「ステアバイワイヤ」などの新技術が盛り込まれている。

「2005年のRX400h発売以降、ラグジュアリー市場における電動化の先駆者として、累計販売台数は2020年末時点で約193万台となり、現在、世界約90の国と地域で9車種のHV車やEV車を販売。常に優れた走行性能と環境性能の両立を追求してまいりました」(渡辺氏)
運転の楽しさと環境性能を高い次元で両立させるというレクサスのこれからのクルマづくりを象徴するLF-Z Electrified
それもすごいことだ。同時に、もう一つ、レクサス車を特徴づけている考えがある。レクサスの経営陣や開発陣がことあるごとに口にする、「人間中心」のクルマづくりである。端的な例として、かつて渡辺氏がレクサスのEVについて語っていたことを思い出した。

一般的なEVと、レクサスの考えを対比させていた点において、大変興味深い内容である。

そこでの話題は、いわゆるワンペダル操作。EVのなかには、アクセルペダルのオンオフ操作だけで、加減速を調節できる範囲を大きくしているモデルが存在する。EVでは回生ブレーキといい、アクセルペダルを踏み込む力を緩めたときに、摩擦を使って発電し、モーターの駆動用バッテリーへと給電するシステムを採用している。

なかには、その摩擦を大きくすることでブレーキングの度合いも強くなる特性に注目し、アクセルペダルから足を離すと、ほとんど停止までもっていける、いわゆる回生ブレーキが強いモデルもある。

「逆にいうと、アクセルペダルから足を離す位置を間違えると、止まりたい場所からはるか手前のところで、車両が停止することになりかねません。ぎくしゃくした停止ですね。やがて、ドライバーがクルマの特性を学ぶのでしょうが、私だったら、長く乗ることを考えると、ドライバーに優しいクルマを造りたいと考えます。私たちレクサスは“愛車”という言葉を大切にしていますから、ドライバーの目線でドライバーの意図にきちんと応え、ドライバーに慣れなんて要求しない、素直なクルマを造りたいと常に思っているのです」
ラグジュアリー市場における電動化を先駆けてきたレクサス。LF-Z Electrifiedにも、先駆者として培ってきた技術が活かされている

EVの開発においても、クルマの原点に戻ることが重要

面白いのは、渡辺氏をはじめ、レクサスの開発者が最近ことあるごとに、「クルマの基本の大事さ」と口にする事実だ。EV化とともに動力性能を上げていこうとすると、ロールやピッチやヨーといったクルマの動きの制御をはじめとする、操縦性を磨き上げないとバランスの悪いクルマになってしまうことが分かった、という。

いいEVを造るには、ハイテクが全てでなく、クルマの原点に戻るのが重要、とレクサスの開発陣は語るのだ。かつて、レクサスがスタートしたころ「源流主義」なる言葉が使われたのを思い出す。部品の造りや組み付けの精度を上げていくことで、目指している所期の性能を実現する、といわれていた。

上記の目的のために、レクサスでは、愛知県豊田市下山地区に2019年4月に開設された通称「Shimoyama」なるテストコースに、レクサスの新たな事業拠点を開設する。同拠点には、開発の中心となる「LEXUS棟」のほかに、社外ビジネスパートナーと共創を図るためのメッセ棟も設けられるという。
LEXUS棟は、1階が整備のためのガレージ、2階がオフィス、3階がデザインエリアとなるそうだ。クルマづくりの機能を一個所に集中させることにより、情報共有や開発のスピードアップを図るのが狙い、と説明される。レクサス「IS」のプレス向け試乗会で流されたムービーでは、テストコースを徹底的に走りこんで、性能を検証する様子が映し出されていた。独ニュルブルクリンクでのレース時のピットのように、素早い作業を可能にするために開発した、と関係者は語る。

「たとえばカーブを曲がるとき、減速、操舵、加速がシームレス(ギクシャクしないで)につながるのが、私たちが考えるクルマの理想的な在り方。車両の“素性”を磨き上げることです。それをLEXUS DRIVING SIGNATURE(レクサスドライビングシグネチャー)といって、技術者もテストドライバーも、常に念頭に置いています」

渡辺氏は言葉を続ける。

「パッケージング、重量配分、慣性諸元に加えて、フレームの高剛性化、乗り心地と静粛性の向上、などがクルマの基本であることは、これまでも、そしてこれからも変わらないと考えています。今回、発表したLEXUS LF-Z Electrifiedでも同じ。これらの要件を満たしたうえで、ダイレクト4なるモーター制御の4WD技術や、ステアバイワイヤ技術を搭載します」

LF-Z Electrifiedに搭載された新技術は順次ニューモデルに採用

LF-Z Electrifiedのコックピットには、人馬一体といわれるように馬を制御するための手綱から名づけた「Tazuna」なるコンセプトが設定され、そこには、ドライバーとの対話を通じて、嗜好や行動特性を学習したAIが搭載される予定だ。このAIは「ライフスタイルコンシェルジュとしてルート案内やレストランの予約等の提案を実行。道中の安心・安全をサポートすることで、お客様の移動の体験をより豊かなものにします」と機能を説明される。
「Tazuna」コンセプトに基づくコックピットには、AIによるコンシェルジュ機能が搭載される。ここにもレクサスの「人間中心」の思想が息づいている
今まさに日進月歩というスピード感で、自動車メーカー各社は、近未来のEVを発表している。そこにあって、LF-Z Electrifiedは「2025年までに実現を見据えた走り、デザインや技術を搭載するEVコンセプトカー」と説明された。

「2025年まで、新しい技術を何もやらないということではないのです。このコンセプトモデルで紹介させていただいた技術は、これから順次、新型車に搭載していくつもりです」と渡辺氏はそう付け加えてくれた。

インタビューで話を聞いていて、理解できたのは、新技術のデパートメントストアになることがレクサスの目標でない、ということだ。何より重要なのは、冒頭で紹介した「人間中心」というレクサスブランドの理念に基づき、“いいクルマ”を造るのが第一要件。レクサスが着々と準備しているさまざまな新技術はどれも、その手段であるのだ。

「レクサスでは、これからラグジュアリーの価値観が変わってくることを見据えてのクルマづくりを行っていきます。体験価値をしっかり提供するとともに、多様化する価値観に対応できるクルマを手掛けていこうと考えています」。インタビューで聞いた、レクサスブランドマネジメント部 部長の冨樫弘央氏の言葉もまた、深く記憶に残るものだった。


■LEXUS LF-Z Electrified
ボディサイズ:全長4,880×全幅1,960×全高1,600mm
ホイールベース:2,950mm
車両重量:2,100kg
航続距離(WLTP):600km
バッテリー容量:90kWh
充電電力:150kW
電池:リチウムイオン電池
冷却方式:水冷
0-100km/h加速:3.0秒
最大速度:200km/h
最大出力:400kW
最大トルク:700Nm

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