レクサスブランドの変革を象徴するEVコンセプトカー
レクサスが、2021年3月30日に発表した「LF-Z Electrified」。一言で特徴をいうと、次世代のレクサス車。デザインも、かなりスタイリッシュだ。「スピンドルボディ」なるデザインのクロスオーバークーペスタイル。かつ、デザイン用語でいうところの“グリルレスグリル”を採用。しかも、新しいのは、スタイルだけではない。中身も凝りに凝っている。
なにしろ、「2025年までに実現を見据えた走りやデザイン、先進技術を織り込んだブランドの変革を象徴するEVコンセプトカー」と、レクサスのマーケティングやコミュニケーションを統括するレクサスブランドマネジメント部 部長の冨樫弘央氏はいう。特徴はピュアEVであり、かつ、それだけではない。たとえば、「DIRECT4(ダイレクトフォー)」というモーターを使った4輪駆動力制御技術。それに、ステアリングホイールへの入力に対して、物理的なステアリングシャフトではなく、電気モーターで前輪を操舵する「ステアバイワイヤ」が盛り込まれている。
なにしろ、「2025年までに実現を見据えた走りやデザイン、先進技術を織り込んだブランドの変革を象徴するEVコンセプトカー」と、レクサスのマーケティングやコミュニケーションを統括するレクサスブランドマネジメント部 部長の冨樫弘央氏はいう。特徴はピュアEVであり、かつ、それだけではない。たとえば、「DIRECT4(ダイレクトフォー)」というモーターを使った4輪駆動力制御技術。それに、ステアリングホイールへの入力に対して、物理的なステアリングシャフトではなく、電気モーターで前輪を操舵する「ステアバイワイヤ」が盛り込まれている。
「従来のクルマとは一線を画した」と、LF-Z Electrifiedについて、開発を総指揮したレクサスのEV開発(電動化戦略とも)を統括するチーフエンジニア兼BR-LE室室長の渡辺剛氏は語る。
たとえば、上記のDIRECT4。「モーター駆動力のレスポンスの良さを活用し4輪を自在にコントロールすることで、高度かつ自由度の高い運動性能を実現する、新たな4輪駆動力制御技術」だそうだ。
4輪駆動は、もちろん、現在も存在する。LF-Z Electrifiedが注目に値するのは、アクセルペダルを踏んだときに、ドライバーの意図に対し、イメージした通りにリニアにクルマが加速するその反応の速さと、4輪の駆動力を個別に制御できることによる、スムーズな操縦感覚だという。
たとえば、上記のDIRECT4。「モーター駆動力のレスポンスの良さを活用し4輪を自在にコントロールすることで、高度かつ自由度の高い運動性能を実現する、新たな4輪駆動力制御技術」だそうだ。
4輪駆動は、もちろん、現在も存在する。LF-Z Electrifiedが注目に値するのは、アクセルペダルを踏んだときに、ドライバーの意図に対し、イメージした通りにリニアにクルマが加速するその反応の速さと、4輪の駆動力を個別に制御できることによる、スムーズな操縦感覚だという。
LEXUS DRIVING SIGNATUREという独自の乗り味を追求
オンラインで世界に配信されたワールドプレミアのプレゼンテーション「LEXUS CONCEPT REVEAL SHOW」を観ていると、タイトなコーナーでも面白いように、車両が曲がっていく。かつ、ステアバイワイヤは、従来のように円形のステアリングホイールを2〜4回転もさせる必要がなくなるため、操舵したい方向に即座にクルマがノーズを向ける。この2つの技術。ものすごく、とつけたいくらい、ファンな操縦性を実現していることが、上記のプレセンテーションから伝わってくる。
なにしろレクサスでは、「LEXUS ELECTIFIED(電動化されたLEXUS車)」のコンセプトのもと、2025年までに10以上の電動車(ハイブリッドやプラグインハイブリッドを含むモーター搭載車の総称)を予定している。
「私たちはLEXUS DRIVING SIGNATURE(レクサスドライビングシグネチャー)と名づけた、ドライバーとクルマとの一体感のある操縦性の高さをもった、レクサス車独自の乗り味を追究していきます。そこに2005年のレクサスRX400hに始まる電動車(ハイブリッド車)の経験が大いに役立つと思っています」渡辺氏の言葉だ。
レクサスは、2019年の東京モーターショーにおいて、衝撃的ともいえるコンセプトモデル「LF-30 Electrified」を発表している。2030年におけるピュアEVの可能性を教えてくれたレクサスのマニフェストともいえるモデルだった。今回のLF-Z Electrifiedは、先に触れたとおり、その手前の25年なら、レクサスのEVはどこまで進化するか。その姿を垣間見せてくれるモデルなのだ。
「私たちはLEXUS DRIVING SIGNATURE(レクサスドライビングシグネチャー)と名づけた、ドライバーとクルマとの一体感のある操縦性の高さをもった、レクサス車独自の乗り味を追究していきます。そこに2005年のレクサスRX400hに始まる電動車(ハイブリッド車)の経験が大いに役立つと思っています」渡辺氏の言葉だ。
レクサスは、2019年の東京モーターショーにおいて、衝撃的ともいえるコンセプトモデル「LF-30 Electrified」を発表している。2030年におけるピュアEVの可能性を教えてくれたレクサスのマニフェストともいえるモデルだった。今回のLF-Z Electrifiedは、先に触れたとおり、その手前の25年なら、レクサスのEVはどこまで進化するか。その姿を垣間見せてくれるモデルなのだ。
レクサス車のDNAである静粛性、乗り心地も格段に進化
レクサスにおける新たなるデザインコンセプト「スピンドルボディ」に基づいてデザインされた、「彫りの深い情感溢れる」と説明されるエクステリア。レクサスの独自性を強くアピールしつつ、高出力モーター搭載がもたらす躍動的でアジャイル(俊敏)な走りの感覚を演出しています、と解説する。エンジンをもたないため、明確なボンネットのないプロポーションを活かした個性的なフォルムが目を引く。
ボディ構造も、走りのためにピュアEVの特徴を活かしている。たとえば、バッテリーを車両フロア下へ搭載することによるフレームの高剛性化や低重心化。それにより、路面からの微細な振動や不快なノイズを防ぎ、レクサス車のDNAである静粛性と乗り心地も格段に進化させる、とされている。
ただし、と渡辺氏は言う。
「EV化すれば、とたんに理想のクルマが実現するわけではありません。減速、操舵(ステアリングホイールを切ること)、加速が、シームレスにつながって、ドライバーはすべての操作で違和感を覚えることなく、操縦を楽しめる。それが過去から続くクルマの基本で、それを磨き上げていくことはやめません」
ただし、と渡辺氏は言う。
「EV化すれば、とたんに理想のクルマが実現するわけではありません。減速、操舵(ステアリングホイールを切ること)、加速が、シームレスにつながって、ドライバーはすべての操作で違和感を覚えることなく、操縦を楽しめる。それが過去から続くクルマの基本で、それを磨き上げていくことはやめません」
レクサスは、「Always on(オールウェイズオン)」の精神で、既存車種の改良を、つねに行っている。2020年秋にマイナーチェンジを受けた「LS」と「IS」が、素晴らしく楽しい操縦性を持つクルマへと“進化”していたのを思い出す。
「クルマにとっての基本性能を“素性”と表現するなら、素性のいいクルマをまず造り上げるのが、レクサスの基本姿勢。納得できる出来ばえのシャシーや足まわりをピュアEVと組み合わせてこそ、LEXUS DRIVING SIGNATUREという独自の乗り味が実現できると考えています」
「クルマにとっての基本性能を“素性”と表現するなら、素性のいいクルマをまず造り上げるのが、レクサスの基本姿勢。納得できる出来ばえのシャシーや足まわりをピュアEVと組み合わせてこそ、LEXUS DRIVING SIGNATUREという独自の乗り味が実現できると考えています」
新たなるコンセプト「Tazuna」に基づくコックピット
EVらしいドライビング体験を提供するとともに、レクサスが創業当初から根幹としてきた「人間中心」の思想をより高次元で具現化するために、LF-Z Electrifiedではドライバーのインターフェイスにおいて「Tazuna」なる、斬新なコンセプトを提案。乗馬のさいに人馬一体のキモとなる、馬を御するためにくつわに付ける手綱(たづな)から命名された。ステアリングスイッチとヘッドアップディスプレイを高度に連携させ、視線移動や煩雑なスイッチ操作をすることなく、運転に集中しながらナビゲーションやオーディオ、ドライブモードセレクトなど、各種機能の操作ができるという。ちなみに、これらのデザイン要素や技術は、2025年に向けて近い将来に順次導入されていくのだそうだ。
いまレクサスは、愛知県豊田市と岡崎市に跨る山間部に、テストコースと、開発と車両評価の拠点をつくり、豊田章男マスタードライバーを筆頭に、TAKUMIなる称号を持つ、すご腕の評価ドライバーが、凝りに凝って設計されたテストコースを走って車両を磨き上げている。サスペンションのダンパーひとつとっても、1周ごとに性能を評価し、開発者が微調整を行って、最善の設定を決めていくという具合だ。
ことはピュアEVでも同じ、とレクサスのEV開発統括の渡辺氏。「ここで走り込むことで、操る楽しさを備えたモデルにしたいと考えています。なにしろ、私たちが考えるEV技術とは、クルマを楽しくするものだからです」
もちろん、SDGs(持続可能な開発目標)も重要な主題と認識している、と渡辺氏は言う。LF-Z Electrifiedを走らせるための電気も、できるだけ環境負荷の低いクリーンエネルギーを使うようにしたい。EVは人を楽しく、社会を美しくするための乗りものだからなのだ。
後編では、電動化の先駆者として経験を重ねてきたレクサスのEVコンセプトモデル「LEXUS LF-Z Electrified」の背景にある、「人間中心」の思想に迫ります。
■LEXUS LF-Z Electrified
ボディサイズ:全長4,880×全幅1,960×全高1,600mm
ホイールベース:2,950mm
車両重量:2,100kg
航続距離(WLTP):600km
バッテリー容量:90kWh
充電電力:150kW
電池:リチウムイオン電池
冷却方式:水冷
0-100km/h加速:3.0秒
最大速度:200km/h
最大出力:400kW
最大トルク:700Nm
ことはピュアEVでも同じ、とレクサスのEV開発統括の渡辺氏。「ここで走り込むことで、操る楽しさを備えたモデルにしたいと考えています。なにしろ、私たちが考えるEV技術とは、クルマを楽しくするものだからです」
もちろん、SDGs(持続可能な開発目標)も重要な主題と認識している、と渡辺氏は言う。LF-Z Electrifiedを走らせるための電気も、できるだけ環境負荷の低いクリーンエネルギーを使うようにしたい。EVは人を楽しく、社会を美しくするための乗りものだからなのだ。
後編では、電動化の先駆者として経験を重ねてきたレクサスのEVコンセプトモデル「LEXUS LF-Z Electrified」の背景にある、「人間中心」の思想に迫ります。
■LEXUS LF-Z Electrified
ボディサイズ:全長4,880×全幅1,960×全高1,600mm
ホイールベース:2,950mm
車両重量:2,100kg
航続距離(WLTP):600km
バッテリー容量:90kWh
充電電力:150kW
電池:リチウムイオン電池
冷却方式:水冷
0-100km/h加速:3.0秒
最大速度:200km/h
最大出力:400kW
最大トルク:700Nm