ART / DESIGN

今、機械式時計を楽しみたい人におくる
復刻クロノグラフ4選

2021.02.26 FRI
ART / DESIGN

今、機械式時計を楽しみたい人におくる
復刻クロノグラフ4選

2021.02.26 FRI
今、機械式時計を楽しみたい人におくる 復刻クロノグラフ4選
今、機械式時計を楽しみたい人におくる 復刻クロノグラフ4選

機械式の腕時計の中でもクロノグラフは、特別なオーラを放つアイテム。普通の時計にはないその魅力と最新のトレンドを紹介する。

Text by Yasuhito Shibuya

精密機械の極み、クロノグラフ

機械式時計の中でもクロノグラフは、精密機械である時計を象徴する特別に魅力的な存在だ。そのムーブメントは、少ないものでも200を超える、さまざまなサイズや形状の歯車やカムが緻密に組み合わされた「機械の芸術品」ともいえる。シースルーバック(ガラス張りの裏ぶた)越しに見えるその姿で、機械式時計の魅力に目覚める人は多い。
そのうえクロノグラフには、自分の手で好きな時に操作して「時間を計る」という、一般的な時計にはない楽しみがある。

さらに文字盤にも普通の時計にはない魅力がある。クロノグラフ針、そして計測した時間を積算表示するためのインダイヤル。この2つが、精密機械がもつ独特の「計器感」「道具感」を感じさせるのだ。

復刻クロノグラフの黄金時代

だから、機械式時計に興味をもち、魅力を感じた人には、普通の時計よりもクロノグラフをまず薦めたい。では今、どんなクロノグラフがお薦めなのか。それはクロノグラフが最先端の精密機械だった時代の、そのスタイルを今の技術でよみがえった、「復刻クロノグラフ」だ。

当時のクロノグラフはすべて手巻きだが、技術が進化した現代の複刻モデルは自動巻き化されているため、使いやすい。しかも製造技術の飛躍的な進化で、精度も信頼性も耐久性も向上し、文字盤など細部の仕上げも素晴らしい。さらに、価格も身近なものになっている。

しかも復刻モデルのモチーフになるのは、時計コレクターも高く評価する、ブランドの歴史の中でも記憶に残る傑作ばかり。だから飽きが来ない。世代を超えて受け継いでも魅力を失わない。

つまり、伝説の名作の世界が、お手頃な価格で安心して楽しめる。時計愛好家にとっても“夢の腕時計”といっても過言ではないのである。

1943年の名作。その味わいを見事に再現
──ロンジン ヘリテージ クラシック クロノグラフ“タキシード”

「ロンジン」は、機械式クロノグラフの名門中の名門。数々の傑作を世に送り出したことで知られる。特にムーブメントの美しさは、時計愛好家に絶賛され、アンティークモデルの人気は圧倒的だ。

そしてロンジンはクロノグラフに限らず、自社の過去の傑作を積極的に現在の技術で複刻し、最近の復刻ブームをリードする存在。2020年に登場したこの「ヘリテージ クラシック クロノグラフ “タキシード”」も、時計通好みの逸品だ。

オリジナルモデルは、1943年製のタキメータースケール付き、ツーカウンター(インダイヤルが2つ)の手巻きクロノグラフ。この復刻モデルでは、角型ボタンの形状がわずかに変更された以外は、当時のスタイルが忠実に再現されている。眺めれば眺めるほど、味わいの深い逸品だ。
「ロンジン ヘリテージ クラシック クロノグラフ“タキシード”」
カラーリングもオリジナル同様に、ブラック、オパーリン(ツヤのあるナチュラルホワイト)、ブルーの組み合わせ。機械式ムーブメントもシリコンヒゲゼンマイを使った最新仕様。自動巻き。パワーリザーブ約54時間。ケース径40mm。SSケース。レザーストラップ。3気圧防水。
39万7100円(税込)


ロンジン
Tel.03-6254-7350
https://www.longines.com/jp/

クラシックなスタイルに最新メカニズムを搭載
──タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ

時計愛好家でなくても、クロノグラフと聞いて、まず「タグ・ホイヤー」の名前を思い浮かべる人は多いはず。そしてクルマ好きの間での知名度は圧倒的。これは「ホイヤー カレラ」が誕生した1963年から今日まで、タグ・ホイヤーがモータースポーツと親密な関係を築き上げてきたからだ。

今回紹介する「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ」は、同社がカレラの歴史と伝統、そしてクラシックかつエレガントで時代を超越したスタイルを受け継ぎ、発展させた最新のクロノグラフ。フォーマルからカジュアルまで、さらに大人から若者まで、さまざまなシーン、さまざまな世代の、さまざまなスタイルにフィットする。

3つあるインダイヤルのうち、左右2つにアクセントを付けることで2インダイヤルに見せる技アリの文字盤。その下では、クロノグラフ起動時の針飛びが起きない垂直クラッチなど、最新の技術が凝縮された完全自社製クロノグラフムーブメント「キャリバー ホイヤー 02」が時を刻む。この美しい姿をケース裏から眺める楽しみは格別だ。

「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ」
サンレイ仕上げのシルバーダイヤルに、5Nローズゴールドでプレートされた植字インデックスが優雅にきらめく。大人にふさわしい華のある“顔”が印象的なクロノグラフ。自動巻き。パワーリザーブ約80時間。ケース径42mm。SSケース。ブラウンアリゲーターストラップ。100m防水。
65万4500円(税込)
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー
Tel.03-5635-7030
https://www.tagheuer.com/jp/ja/

原点回帰した伝説のパイロット・クロノグラフ
──ブライトリング クロノマット B01 42 ジャパン エディション

1884年に創業した「ブライトリング」は、スイスを代表するクロノグラフメーカーであり、腕時計クロノグラフのパイオニア。なかでもパイロット用のクロノグラフは、世界で初めて航空用計算尺をベゼルに搭載して1952年に発売された「ナビタイマー」を筆頭に、世界中のパイロットに愛用されてきた。

そして1984年、ブライトリングは新世代のパイロット用クロノグラフを発表する。それが1942年に誕生したモデルの名称を受け継ぎ、イタリア空軍のエア・アクロバット・チーム「フレッチェ・トリコローリ」の精鋭パイロットたちにアドバイスを受けて開発された「クロノマット」だ。

このモデルはパイロット用クロノグラフの枠を超えて、機械式時計の魅力を世界に再発見させるアイテムとして、今日の世界的な時計ブームのきっかけともなった。

そしてこの「クロノマット B01 42」は、1984年に登場した初代のスタイルを継承・発展させた、“原点回帰”であると同時に、最新の進化型でもある画期的なモデル。スポーツクロノグラフであると同時に、ドレスウォッチとしても活躍できる一本だ。
「ブライトリング クロノマット B01 42 ジャパン エディション」
ドレッシーな雰囲気をもつ「ルーロー」ブレスレットは、ファーストモデルのアイコン的なディテール。今回、完全新設計で復活し、美しく快適な装着感を実現した。搭載ムーブメントは、ブライトリングが誇る完全自社製の「キャリバー01」。自動巻き。パワーリザーブ約70時間。SSケース&ブレスレット。200m防水。
97万9000円(税込)

ブライトリング・ジャパン
Tel.0120-105-707
https://www.breitling.com/jp-ja/

優雅なモノプッシャーモデルの魅力を再現
──モンブラン ヘリテイジ コレクション モノプッシャー クロノグラフ

「モンブラン」は、1906年に筆記具ブランドとして創業し、社名にヨーロッパアルプスの最高峰・モンブランの名を冠した1930年代には、筆記具の最高峰としての地位を確立。現在では、ラグジュアリーブランドとしてフレグランスや革製品も展開している。

その腕時計コレクションがスタートしたのは1997年。そして2007年に劇的な進化のきっかけとなる「事件」が起きる。それは、クロノグラフ、ミリタリーウォッチ、計測機器でスイス有数の名門だった「ミネルバ」ブランドを傘下に収めたこと。モンブランはその工房や過去の製品の金型など時計製造に関わる一切の資産を継承し、時計愛好家も驚く魅力的な時計作りを展開している。

この「モンブラン ヘリテイジ モノプッシャー クロノグラフ」は、1940〜50年代のミネルバの製品からインスピレーションを得て開発されたもの。リュウズ上部にあるボタン一つでクロノグラフ機構を操作するモノプッシャー クロノグラフの現行モデルは、これまではコレクター向けの高価な限定品しかなかったが、これはその常識を破るお手頃価格を実現した。時計好きにとってもうれしい一本だ。
「モンブラン ヘリテイジ コレクション モノプッシャー クロノグラフ」
リュウズ上部のプッシュボタンを押すとクロノグラフ針がスタート。もう一度押すとストップ。さらにもう一度押すとクロノグラフ機構がゼロリセットされる。2インダイヤルの文字盤や丸みを帯びたケースのラグからもクラシックな雰囲気が漂う。しかも風防はドーム型のサファイアクリスタルを採用するなど、価格を超えた贅沢な作りも魅力。自動巻き。ケース径42mm。SSケース。アリゲーターストラップ。5気圧防水。
59万9500円(税込)

モンブラン
Tel.0120-99-8291
https://www.montblanc.com/ja-jp


紹介した4ブランドの機械式クロノグラフはどれも、輝かしい歴史と伝統に、最新の技術が融合した製品。アンティークモデルとは違い、毎日安心して使える信頼性や耐久性を備えている。アンティークモデルのように、その背景にあるすてきな物語とともに、日々楽しんでいただきたい。

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ご回答いただきありがとうございました。

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