JOURNEY

コロナに負けない「ステイケーション」のススメ

2020.10.23 FRI
JOURNEY

コロナに負けない「ステイケーション」のススメ

2020.10.23 FRI
コロナに負けない「ステイケーション」のススメ
コロナに負けない「ステイケーション」のススメ

旅行したくても出かけられないポストコロナの今、最も注目を集めているのは、国内や自宅近くで休暇を過ごす「ステイケーション」だ。

(C)Stylus

身近なエリアの魅力を再発見

ステイケーションとは、英語の「Stay(ステイ)」と「Vacation(バケーション)」を融合した造語。国外への渡航が困難な今日、自宅近く、または自国内で休暇を過ごすスタイルとして人気を集めている。

その理由について、イギリスのデータ分析会社「GlobalData」のニック・ワイアット氏は「慣れ親しんだ地元や自国内でのステイケーションなら、安心して旅を楽しむことができます。三密が心配な飛行機に乗らなくても済む場合もあれば、医療サービスやシステムもよく分かっているからというのが大きな理由です」と説明する。国内なら、移動にかかる時間が短いうえに言語の壁もない。コロナ不況で可処分所得が減っている世帯が多いこともあり、旅費が安く抑えられる点も人気の要因の一つになっているという。

ステイケーション向けの宿泊パック

香港にある「Eaton Hotel」が提供する新しいステイケーションパッケージ「Big Screen Deal」では、ファミリースイート1室に4名まで宿泊して、ホテル内の映画館を貸し切り、映画はもちろんテレビドラマやスポーツ番組なども見放題で楽しむことができる。
Eaton Hotelではこのスペースを貸し切って映画やスポーツ番組などを楽しめる
Eaton Hotelではこのスペースを貸し切って映画やスポーツ番組などを楽しめる
また、中東・ドバイのランドマーク的ホテル「Address Downtown Dubai」が提供する「Family Room Staycation」では、団体客向けに隣接するコネクティングルームを定価の50%オフで提供しているほか、シンガポールの「Pan Pacific Hotel」は、ファミリー向けの寝具やおもちゃに加え、2020年6月にリニューアルオープンしたばかりの屋内プレイパーク「Kiztopia」と「Pororo Park」の割引入場券をセットにしたパッケージプラン「Family Escapades」を提供し、家族連れのステイケーションをターゲットにしたキャンペーンを行っている。

こうした費用対効果を重視する客層をターゲットにしたプランを一歩先に進めたのが、アメリカ・メイン州にある「Acadia Yurts and Wellness Center」が展開する「Pay what you can」というキャンペーン。地元の住民限定で最低2泊から宿泊でき、宿泊料は住民自身が決定できるシステムになっている。2020年5月に実施した2週間のトライアル期間は、予約開始からわずか2日で100室すべてが満室になったというほどの注目を集めたという。
家族と過ごし、地元の自然を再発見できるのがステイケーションの魅力の一つ
家族と過ごし、地元の自然を再発見できるのがステイケーションの魅力の一つ

見渡す限り誰もいない田舎に行く

ソーシャルディスタンスを確保しつつバケーションを過ごしたいなら、周りに人がほとんどいない田舎の別荘で過ごすのも一つの方法だ。ニューヨークを拠点とし、ラグジュアリーな旅行プランを提供する「Ovation Travel」でアドバイザーを務めるアンドリュー・スタインバーグ氏は次のように語る。「誰もが他人と一緒に過ごしたり交流したりすることに不安を感じているので、人里離れた場所の良さが見直されています」

なかでもアウトドアの王道ともいえるキャンプが、今や世界の人々の心をつかんでいる。レジャー目的で旅行をするアメリカ人の半数以上が、コロナ後の世界で最も安全な旅の形はキャンプだと考えていることから、今後もその人気は伸び続けていくと予想される。

例えば、アメリカのグランピング会社「AutoCamp」共同創設者のライアン・ミラー氏は、アメリカの雑誌『Forbes』のインタビューで次のように語っている。

「特にグランピング施設は、個人的なスペースが十分に確保されているため、ソーシャルディスタンスを保つのに理想的な環境です。例えば弊社では、約4000平方メートルの敷地内にキャンピングカーの最高峰といわれるエアストリーム、豪華なテントやキャビンなど102の宿泊施設を用意しています。各施設には独立したベッドルームとリビングルームのほか、広々としたシャワー付きの豪華なバスルーム、専用のピクニックテーブルとたき火台があり、自分たちだけの快適な空間にいながら、大自然を満喫することができます」
ソーシャルディスタンスを保ちつつ旅を楽しめるオプションとして、キャンプの需要が高まっている
ソーシャルディスタンスを保ちつつ旅を楽しめるオプションとして、キャンプの需要が高まっている

キャンプ場の新ルール

キャンプの魅力はソーシャルディスタンスを確保できることだが、アメリカではレジャー目的の旅行者の90%がキャンプ場での追加の感染症対策を希望しているという統計結果もある。その多くがグループの人数制限を行うべきだと答えており、39%が共同エリアでのマスク着用の義務化に賛同している。

一方イギリスでは、この夏定員を減らして再オープンを計画しているキャンプ場は52%で、さらに79%が清掃の頻度を上げ、28%が共同シャワー施設の利用時間帯をずらして提供すると回答している。また、多くのキャンプ場ではすでに非接触チェックインやモバイル決済が導入され、宿泊客とスタッフとのコンタクトも最小限に制限するなど、ステイケーションの市場価値をさらに高める対策の導入を図っているという。

この記事はいかがでしたか?

ご回答いただきありがとうございました。

RECOMMEND

LATEST