手軽なプライスで自由に楽しめる腕時計を実現したKnot
時計本体とベルトを自由に選んで組み合わせ、約2万通り以上のなかから着せ替えできる腕時計──そんなありそうでなかったカスタムオーダーを形にした腕時計ブランドKnot。メイド・イン・ジャパンの高品質でありながら、プライスバリューにもこだわり、時計業界に新風を巻き起こしている。
ブランドがスタートしたのは2014年。当時、アパレル業界ではユニクロが、メガネ業界ではJINSやZoffなどが、SPA(製造小売)で台頭していた。中間流通コストを省くことで、高品質の商品を低価格で提供するこのビジネスモデルを時計業界にも当てはめられないかと思ったのが最初だったという。
「長く時計の輸入販売を手がけるなかで、日本の時計業界では大手企業を中心に100年以上かけて独自のルールが作られてきたのはよく理解していました。そのため、内部からのイノベーションはなかなか起きづらい。この業界の構造に気づいた外部の人にSPAビジネスを展開されるくらいだったら、自分でブランドを始めた方がいいと思い一念発起しました」(Knot代表取締役 遠藤弘満氏)
ブランドがスタートしたのは2014年。当時、アパレル業界ではユニクロが、メガネ業界ではJINSやZoffなどが、SPA(製造小売)で台頭していた。中間流通コストを省くことで、高品質の商品を低価格で提供するこのビジネスモデルを時計業界にも当てはめられないかと思ったのが最初だったという。
「長く時計の輸入販売を手がけるなかで、日本の時計業界では大手企業を中心に100年以上かけて独自のルールが作られてきたのはよく理解していました。そのため、内部からのイノベーションはなかなか起きづらい。この業界の構造に気づいた外部の人にSPAビジネスを展開されるくらいだったら、自分でブランドを始めた方がいいと思い一念発起しました」(Knot代表取締役 遠藤弘満氏)
すべての時計とベルトを自由に組み合わせてカスタマイズできる「カスタムオーダー」の仕組みは、遠藤氏がそれまで手がけていた北欧の時計ブランドで培ったノウハウの一つだという。
「もともと『この時計とこのベルトを組み合わせて使いたい』という声は多く、物理的には可能でしたが、メーカー側の都合で対応していませんでした。あるとき期間限定で時計とベルトを自由に選べるキャンペーンを開催したら、これが大ヒット。やはりニーズはあるのだと確信した経験があり、Knotでもカスタムオーダーというコンセプトを取り入れたのです」
「もともと『この時計とこのベルトを組み合わせて使いたい』という声は多く、物理的には可能でしたが、メーカー側の都合で対応していませんでした。あるとき期間限定で時計とベルトを自由に選べるキャンペーンを開催したら、これが大ヒット。やはりニーズはあるのだと確信した経験があり、Knotでもカスタムオーダーというコンセプトを取り入れたのです」
高品質なメイド・イン・ジャパンの腕時計へのこだわり
構想当初のコンセプトは「プライスバリュー」と「カスタムオーダー」の2つ。ここに最後の柱となる「メイド・イン・ジャパン」が加わったのは、クオリティの高いものを提供したいという熱い思いからだったという。
「時計の製造は低コストで大量生産ができる中国に移行しているのが実情で、日本の製造工場は少ないうえ、つてもありませんでした。何度も途方に暮れそうになりましたが、時計の輸入販売で培ったネットワークを駆使したり、足を使って取引先を探したりしながら、どうにか時計部分だけを日本製にすることにこぎつけました」
当時はまだ珍しかったクラウドファンディングで資金を募り、500万円の出資を集めることに成功。それが当時のクラウドファンディング最高額として話題になり、テレビの取材を受けたことで、ベルトも国内で生産するめどをつけることができた。
「放送翌日、番組を見た腕時計のベルトを作る家族経営の工場から連絡があり、売り込みを受けたのです。そこから先はまさにトントン拍子でした。時計の製造業界は閉鎖的な分、横のつながりが強い。数珠つなぎ方式で、さまざまな素材メーカーを紹介してもらえるようになりました」
当時はまだ珍しかったクラウドファンディングで資金を募り、500万円の出資を集めることに成功。それが当時のクラウドファンディング最高額として話題になり、テレビの取材を受けたことで、ベルトも国内で生産するめどをつけることができた。
「放送翌日、番組を見た腕時計のベルトを作る家族経営の工場から連絡があり、売り込みを受けたのです。そこから先はまさにトントン拍子でした。時計の製造業界は閉鎖的な分、横のつながりが強い。数珠つなぎ方式で、さまざまな素材メーカーを紹介してもらえるようになりました」
日本のものづくり産業を復興する「MUSUBUプロジェクト」
そうやって生まれたのが、Knot(結ぶ、絆)のブランド名ともかけた「MUSUBU(結ぶ)プロジェクト」という、日本の伝統工芸と世界を結んでいくプロジェクトだ。パートナーは、協業先の部品メーカー、組み立て工場、ベルトの素材や縫製工場などKnotに関わるメーカーたち。ベルトの素材メーカーに至っては、レザーや帆布、畳、傘生地、デニムなど日本のものづくりを支えてきた多彩な顔ぶれがそろう。
「全国各地、さまざまな素材メーカーや工場に足を運びましたが、どこも仕事が減り、後継者問題を抱えていました。でもKnotというブランドが成長して、彼らに継続的に仕事をお願いすることができれば、事業として存続できる。そのために僕ができるのは時計を売ることだと決意してからは、工場にも納期やクオリティなど、厳しいことを言うようになりました。一緒になって世界的なブランドを作ろう、そうすれば仕事は来るからがんばろう、と」
そのかいあってブランドは快進撃を続け、現在国内の直営店は15店舗、アジアに6店舗を数えるまでに成長。日本の時計製造技術を集結した機械式時計を5万円台からの低価格で販売することも実現した。
「Knotの製品をきっかけに『MUSUBUプロジェクト』のパートナーに新しいビジネスの話が舞い込んだり、パートナー同士がコラボレーションを展開するなど、さまざまな広がりを見せています」
一方で、腕時計という枠にとらわれることのない新しい取り組みにも積極的だ。フレームや文字盤、針をカスタムオーダーできる掛け時計、素材や色をカスタマイズできる財布をはじめとするレザーグッズなど、新商品も展開している。
そのかいあってブランドは快進撃を続け、現在国内の直営店は15店舗、アジアに6店舗を数えるまでに成長。日本の時計製造技術を集結した機械式時計を5万円台からの低価格で販売することも実現した。
「Knotの製品をきっかけに『MUSUBUプロジェクト』のパートナーに新しいビジネスの話が舞い込んだり、パートナー同士がコラボレーションを展開するなど、さまざまな広がりを見せています」
一方で、腕時計という枠にとらわれることのない新しい取り組みにも積極的だ。フレームや文字盤、針をカスタムオーダーできる掛け時計、素材や色をカスタマイズできる財布をはじめとするレザーグッズなど、新商品も展開している。
「どれもコンセプトは一貫していて、パートナー企業の仕事を増やす取り組みだということ。腕時計よりも面積が大きい掛け時計やレザーグッズは、その分パートナーの利益が増えることにつながります。こういった取り組みを続けていくことが日本のものづくりを支えることになるのではと思っています」
腕時計をきっかけに、日本のものづくりや伝統工芸を結び、可能性を広げて世界へと発信するKnot。彼らの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
腕時計をきっかけに、日本のものづくりや伝統工芸を結び、可能性を広げて世界へと発信するKnot。彼らの挑戦は、まだ始まったばかりだ。