VISIONARYMAGAZINE BY LEXUS

CRAFTSMANSHIP

老舗の傘専門EC店「心斎橋みや竹」が開発した、
社会問題を解決する傘

2020.05.22 FRI
老舗の傘専門EC店「心斎橋みや竹」が開発した、社会問題を解決する傘

傘の柄ではなく本体部分を持って歩く、いわゆる“横持ち”は、後方にいる人を突いてしまう可能性があり、昨今、社会問題化している。この課題に対し、傘の設計そのものを変えることで解決を試みているのが、老舗の傘専門EC店「心斎橋みや竹」が開発した「フルサイズショート アンブレラ」だ。

Text & Edit by lefthands

SHARE

この記事をシェアする

腕を伸ばして傘を持てないことに着目して生まれたイノベーション

梅雨があるだけではなく、四季を通して雨天の多い日本では、傘は必需品だ。ところで、昨今社会問題となっているのが、長傘を横持ちすることで生じる危険性だ。例えば、エレベーターなどの狭い場所では、後ろの人を先端で突いてしまう可能性がある。特に背が低い小さな子どもの場合、傘の先が目に当たるなど、大怪我につながる危険性すらある。

では、そもそもなぜ人はそんな危険な持ち方をしてしまうのだろうか。この点に着目したのが、老舗傘専門店「心斎橋みや竹」。日本の洋傘職人が丹精込めて作り上げた逸品を厳選して販売するEC専門店だ。

同店の店主、宮武和広氏は、腕を伸ばして長傘を垂直に持つと、先端が地面に着いてしまうことに気づいた。そこで肘を曲げて傘を持つと、腕に負担がかかりストレスを感じてしまう。このことが、横持ちを誘発すると考えたのだ。電車の中で傘を持った状態で吊り革につかまる際などを思い浮かべてほしい。

もちろん、持ち方は一人一人の心がけ次第ではあるが、宮武氏は傘の設計自体を変えることで、この問題の解決を図ろうと思い立つ。そこから、不要な部分をできる限り削りつつも、長傘としての面積や強度を保ち、腕を伸ばして持てる快適な傘「フルサイズショート アンブレラ」を生み出したのだ。
フルサイズショート アンブレラ。腕を伸ばして持てる短さながら、面積も十分で雨に濡れる心配がない
フルサイズショート アンブレラ。腕を伸ばして持てる短さながら、面積も十分で雨に濡れる心配がない
そもそも、長傘が現在のような長さや形になったのは、ステッキがルーツだという。18世紀のイギリスでは、雨傘は女性が使うものとされ、男性はささなかった。そのような文化の中で、騎士の剣をイメージさせるステッキに形を近づけることで、英国紳士たちにも雨傘が普及していったという。そのため、ステッキ職人がそのまま傘職人となるケースもあり、ステッキのような長めのスタイルが標準とされ、現代に至っている。

宮武氏は、この長傘の形そのものに着目し「傘にはきっと不要な部分がある」と確信したという。そこで、東京・日本橋の老舗傘メーカー「小宮商店」との共同プロジェクトで、ストレスフリーな傘の開発に着手することとなった。

「機能的には、石突(先端部分)は短くしても問題が発生しないため、可能なかぎり削りました。また、ハンドルも強度や持ち心地に影響が出ない程度に短くしています。そうしてデザインしたストレスフリーの傘を、もともとは『ショートアンブレラ』と命名したのですが、これだと“短い寸の傘”という印象を与えかねない。そこで、十分な広さ(面積)をもっていながら、手に持った際の全体長が短い長傘のカテゴリーとして、『フルサイズショート アンブレラ』と定義したのです」

持ちやすい短さと軽さながら、本降りの雨でも安心な「フルフラン」

フルサイズショート アンブレラは2種類のスタイルの傘が展開されている。その一つは、全長72cmの「フルフラン」だ。生地の部分には一切手を加えていないため、傘を広げた際の大きさはそのままに、腕を伸ばして持てる短さを実現した。同商品の生地を支える親骨は55cmだが、従来の製品であれば親骨が55cmあると全長は約86cmにもなるという。フルフランは約14cmも短く設計されており、まさに傘のイノベーションだ。
全長を短くしても、生地の広さは保持している
全長を短くしても、生地の広さは保持している
また、シルエットの美しさにもこだわっており、広げた際に円がよりきれいに形づくられるよう、骨を16本にしているのが特徴だ。通常の8本骨に比べて重くなるところだが、カーボン素材を用いたことにより、270gという軽さだけでなく、高い強度も実現した。
骨と骨の間隔が一般的な傘よりも狭いのがわかる
骨と骨の間隔が一般的な傘よりも狭いのがわかる
72cmという長さのメリットが発揮されるのは、持って歩くときだけにとどまらない。カフェなどで椅子や机に掛けても斜めにならないため、邪魔にならないのだ。また、電車で椅子に座る際など、座ったまま手に持つ場合も長さが苦にならない。まさにストレスフリーと言うべき逸品だ。

長傘と折り畳み傘のハイブリッド「プレシャス10」

フルサイズショート アンブレラとしてもう一つ展開しているのが、折り畳める長傘というコンセプトの「プレシャス10」だ。
広げた際の直径は約101cmとなっており、広さも十分
広げた際の直径は約101cmとなっており、広さも十分
前述のフルフランと比べ、プレシャス10はハンドルがゆったりした籐曲がりになっており、より持ちやすいよう工夫されている。また、留めひもが内外両側にあるため、折り畳んだ時だけでなく、伸ばした際にも長傘と同じように閉じることができる。そのため、例えば駅の構内など、屋内の移動時は伸ばした状態のまま閉じて、電車に乗る際などは外ひもで本体を縮めれば、周囲に迷惑をかけずに持ち運べる。
「プレシャス10」も全長72cmと、手に持った際、地面に着かないよう設計されている
「プレシャス10」も全長72cmと、手に持った際、地面に着かないよう設計されている

80歳のお祝い「傘寿」に最適な傘

フルサイズショート アンブレラを開発した心斎橋みや竹は、1896年の創業時は輸入雑貨店として始まった。その後、宮武和広氏の祖父の代にモボ・モガ(モダンボーイ・モダンガール)の流行を受け、当時のトレンドアイテムだった肩掛け(ショール)と洋傘の専門店に特化。1945年の大阪大空襲で店舗は消失したが、戦後、傘専門店として再出発することとなる。

それ以降、大阪・心斎橋で傘の老舗専門店として黄金期を迎えていたが、1996年に実店舗を閉じ、インターネット通販専業に舵を切った。宮武氏はその理由をこう語る。

「大きな理由は2つあります。一つはカテゴリーキラーとして登場した500円傘の台頭です。傘専門店以外でもあまねく、しかも安価で傘が並ぶようになり、経営を圧迫しました。もう一つは商店街を通る客層の変化です。若年齢層化の波が押し寄せ、客層に見合わない昔ながらの専門店が淘汰された時代でした。つまり、心斎橋筋で傘屋を継続できる理由が何もなかったのです」

そんな時代背景もあって、宮武氏は次の道を模索する中で、いち早くインターネットに注目したという。Windows95とHTMLを独学でマスターし、創業100周年にEC専業店へと生まれ変わらせたのだ。

インターネット通販である以上、利用者は商品を実際に手に取って見ることができないが、豊富な知識に基づいた確かな目利きと、実際に使う人の用途や利便性を意識した商品説明を心がけているという。フルサイズショート アンブレラも、傘を使う人がどんな不便さを感じているかということに着目したからこそ生まれたイノベーションだ。

同店ではアフターフォローも重要視しており、職人による修理・メンテナンスの依頼にも対応している。また、名入れやギフトのサービスも行っており、退職祝いや両親の長寿祝いといった用途での注文も多いという。特に、80歳のお祝いは、「八」と「十」が傘の略字「仐」に見えることから傘寿(さんじゅ)と呼ばれているため、傘を贈るのが最適と言われている。

大切な人への贈り物や自身の普段使い用として、フルサイズショート アンブレラを検討してみてはいかがだろうか。

心斎橋みや竹:
https://www.kasaya.com

「フルサイズショート アンブレラ」:
https://www.kasaya.com/fs/kasaya/c/fullsize-short
記事一覧へ

FOLLOW US

Mail News

レクサスの最新情報をお届けしています。
VISIONARYの記事情報も配信中。

Twitter

VISIONARYの最新記事や過去の人気記事を投稿します。

配信通知

VISIONARYの最新記事をプッシュ通知でお届けします。

RELATED

関連リンク

RECOMMENDED

あなたへのおすすめ

よく読まれている記事RANKING
今週の編集部
おすすめ記事
PICKUP
    よく読まれている記事RANKING
    今週の編集部
    おすすめ記事
    PICKUP
      FOLLOW USVISIONARYの最新情報をお届けします。
      • Mail News
      • Twitter
      • 配信通知