「つまみ細工」という伝統工芸
江戸時代に始まり200年以上の歴史を持つ「つまみ細工」は、正方形の絹布を折りたたんで作られる伝統工芸品だ。「江戸つまみ簪(かんざし)」が有名で、七五三や成人式、和装婚の髪飾りや帯留めで見たことがある人も多いだろう。絹布の色や柄をそのままに用いることが一般的で、伝統的なモチーフには花や鳥が多い。
そのつまみ細工を用いたアーティスト、HIMEKO氏は、学生時代に絵の表現として和の要素を取り入れようとしたことがきっかけで着物に興味を持ち、奈良の和裁専門学校へ進学した。その後、奈良から東京へ戻る際につまみ細工を含む作品群を個展で発表。そこを訪れた和雑貨店オーナーの「店舗で取り扱いたい」という要望に応じて、つまみ細工アーティストとして活動を始めることになった。
そのつまみ細工を用いたアーティスト、HIMEKO氏は、学生時代に絵の表現として和の要素を取り入れようとしたことがきっかけで着物に興味を持ち、奈良の和裁専門学校へ進学した。その後、奈良から東京へ戻る際につまみ細工を含む作品群を個展で発表。そこを訪れた和雑貨店オーナーの「店舗で取り扱いたい」という要望に応じて、つまみ細工アーティストとして活動を始めることになった。
HIMEKO氏は、独学でつまみ細工の技術を身につけ、「丸つまみ」「剣つまみ」という基本の技術だけで作品を作ることに夢中になった。古い着物の裏地に使われていた、無地で淡い色(特に白から落ち着いた生成色)の絹布に濃淡をつけた染色を施すことにより、深い奥行きをもたせ、つまむことでできる形の立体感に色の立体感を重ねる。そうした工程を経て、特徴のある美しい作品を生み出す。作品のデザインによっては、着物の表地に使われる柄や模様が施された絹布もパーツに用い、モチーフの存在感を強調する。
なぜ古い着物の生地を使うのかを聞くと、「昔の蚕の糸は細く、生地にしなやかさがあるから」だという。白い生地が年を経て落ち着いた生成色となり、自然を表現する色になじみやすくなる。その点も作品に深みを与えている。
なぜ古い着物の生地を使うのかを聞くと、「昔の蚕の糸は細く、生地にしなやかさがあるから」だという。白い生地が年を経て落ち着いた生成色となり、自然を表現する色になじみやすくなる。その点も作品に深みを与えている。
東京の下町にある自宅で作品を手掛けているHIMEKO氏。伝統工芸と聞き、工房のような場所をイメージしていたのだが、和室の一角にコンパクトにまとめられた、一般的なデスクほどの広さの作業スペースに正直驚いた。その作業スペースで、生地の裁断、染色、つまみ作業、仕上げまでを完結するのだ。
つまみ細工は正方形の生地を折りたたんだものを、ヤマト糊で台紙に貼り付けて作る。基本となる折り方には、先端が丸いカーブで柔らかく仕上がる「丸つまみ」と、先端が細く尖った「剣つまみ」がある。それをベースに「二重つまみ」や「変わり剣つまみ」、「ひだ寄せつまみ」といった技法もあるが、HIMEKO氏は基本となる2つの技法だけを使って作品を制作している。細かいパーツを合わせ、それぞれのモチーフが出来上がってから、まとめて簪に、あるいは帯留めやブローチの金具を付けて仕上げる。
つまみ細工は正方形の生地を折りたたんだものを、ヤマト糊で台紙に貼り付けて作る。基本となる折り方には、先端が丸いカーブで柔らかく仕上がる「丸つまみ」と、先端が細く尖った「剣つまみ」がある。それをベースに「二重つまみ」や「変わり剣つまみ」、「ひだ寄せつまみ」といった技法もあるが、HIMEKO氏は基本となる2つの技法だけを使って作品を制作している。細かいパーツを合わせ、それぞれのモチーフが出来上がってから、まとめて簪に、あるいは帯留めやブローチの金具を付けて仕上げる。
「つまみ細工」の新しいデザイン
HIMEKO氏は、前述の通りつまみ細工の基本技術である丸つまみと剣つまみを駆使し、リアルでありながらリアル過ぎない作品を手掛けることに強いこだわりを抱いている。古典デザインが好きだという彼女が作り出す新しいモチーフは、自分が欲しいものや季節感を意識したもので、写真からデザインを起こしているという。
細長いパーツを使うことで輪郭を作り、丸と剣でモチーフの特徴を表現する。伝統的な花や鳥を発展させたデザインだけでなく、犬や猫、金魚などの動物をモチーフにした新しいデザインも多い。
彼女の作品は細かいパーツを多数使い、濃淡の美しい染色と組み合わせることで実現する、とても繊細なデザインが特徴だ。装飾品としてはもちろんのこと、鑑賞用に飾っておきたくなるほどの美しさが人気の理由だろう。
つまみの形と色の設計図を作ってから取り掛かる作品ばかりではなく、その時の気分で仕上げる作品も素晴らしい。
細長いパーツを使うことで輪郭を作り、丸と剣でモチーフの特徴を表現する。伝統的な花や鳥を発展させたデザインだけでなく、犬や猫、金魚などの動物をモチーフにした新しいデザインも多い。
彼女の作品は細かいパーツを多数使い、濃淡の美しい染色と組み合わせることで実現する、とても繊細なデザインが特徴だ。装飾品としてはもちろんのこと、鑑賞用に飾っておきたくなるほどの美しさが人気の理由だろう。
つまみの形と色の設計図を作ってから取り掛かる作品ばかりではなく、その時の気分で仕上げる作品も素晴らしい。
日本人だけでなく、海外にも魅力を伝えたい
日常生活で簪や帯留めを使うことが少なくなった今、日本人でもつまみ細工を知らない人が増えている。HIMEKO氏はもっと身近なものになってほしいと考え、帯留めをブローチにできる仕様にし、七五三や成人式、結婚式用の下がりのある大きな簪などは、いくつかの小さいヘアアクセサリーに作り直せるようにしているという。
また、装飾品を着けない人にも楽しんでもらえるよう、アートボックスにアレンジした作品もある。
今まで開催していた1〜2日間の講習会だけでなく、2020年4月からは定期の講習会も開き、つまみ細工の普及に努めるという。
また、装飾品を着けない人にも楽しんでもらえるよう、アートボックスにアレンジした作品もある。
今まで開催していた1〜2日間の講習会だけでなく、2020年4月からは定期の講習会も開き、つまみ細工の普及に努めるという。
今後は丸つまみと剣つまみだけでどこまで表現できるのか追求し、モチーフとしては昆虫をはじめとする生き物など、躍動感あるデザインに広げ、アクセサリーだけでなく、アート作品として海外への発信もしていきたいと楽しそうに語った。いつの日か、つまみ細工で表現する絵本を作りたいという夢もかなう時が来るだろう。
HIMEKO
https://ameblo.jp/yonuko/
https://ameblo.jp/yonuko/