2019年、“行くべき場所”に日本から選ばれた島
まずはいったんパズルのピースを放り投げてみる。最初に取り上げるべきは『ニューヨーク・タイムズ』が発表した「2019年に行くべき52の場所」で、日本から選ばれたのが瀬戸内の島々、というかけらだろう。瀬戸内エリアが選ばれた理由がいくつかあるなか、ここで注目したいのは瀬戸内国際芸術祭の会場の一つとなる豊島の名が挙がったこと。その“国際”と名がつく芸術祭と、約800人が暮らす14.5㎢の小さな島をつなぎ合わせる重要なピースが、一棟貸しの宿泊施設ウミトタだ。なぜウミトタが二つの接点になるかというと、豊島の豊かな自然を存分に味わえるよう設計されたその宿泊施設が今年の芸術祭で作品に選出されたからだ。
ジグソーパズルのように散らばった芸術祭と豊島のトピックをつなぎ合わせ美しい絵を完成させるべく、そのキーであるウミトタに直接話を聞いてみることにした。対応してくれた広報担当の方は、開業時から勤めているスタッフだ。29歳になる彼女は第2回の瀬戸内国際芸術祭の時にプライベートで豊島に訪れ、その島の素晴らしさに魅了されて移住を決意したという。
ウミトタの内装は、ファッションブランド「minä perhonen」のデザイナーである皆川 明氏がディレクションを請負った。設計は、東京で日本料理店「八雲茶寮」などを運営するSIMPLICITY代表のデザイナー、緒方慎一郎氏が担当している。
ジグソーパズルのように散らばった芸術祭と豊島のトピックをつなぎ合わせ美しい絵を完成させるべく、そのキーであるウミトタに直接話を聞いてみることにした。対応してくれた広報担当の方は、開業時から勤めているスタッフだ。29歳になる彼女は第2回の瀬戸内国際芸術祭の時にプライベートで豊島に訪れ、その島の素晴らしさに魅了されて移住を決意したという。
ウミトタの内装は、ファッションブランド「minä perhonen」のデザイナーである皆川 明氏がディレクションを請負った。設計は、東京で日本料理店「八雲茶寮」などを運営するSIMPLICITY代表のデザイナー、緒方慎一郎氏が担当している。
島で暮らすような体験を
それにしても名称自体が風変わりで気になる。ウミトタにはどんな意味が込められているのだろうか。担当者によれば、宿が「海」と「田」んぼの間に建つことから名付けられたという。発音もそのまま「海と田」だそうだ。コンセプトは“島で暮らすように滞在できる宿”。豊島の海や山は、時間の経過によって印象が大きく変わる。それを体感してもらうために、すべての部屋に海が見える窓を設置したり、ロフトには背にもたれて風景を眺められる横長の窓を設けたりと、豊島の自然と一体となっていく感覚を味わえる。インテリアアイテムも皆川氏が選定し、随所にこだわりを感じられる。また、ディナーは宿から歩いて3分の「海のレストラン」で食べられる。和の料理人が瀬戸内の魚、島の野菜、讃岐のオリーブビーフなど地元の食材を活かした和食のコースはぜひ堪能したいところだ。食事も含め、宿を中心とした豊島の旅を楽しんでもらいたいという、ウミトタの思いが込められている。
客層をたずねてみると、一棟貸しの宿ということもあり普段は国内の家族が多く、今年のように瀬戸内国際芸術祭が開催される年は外国人客が増えるそうだ。豊島全体としてはフランス出身のアーティストであるクリスチャン・ボルタンスキーの作品、『心臓音のアーカイブ』と『ささやきの森』が豊島内に常設されているので、訪日客ではフランス人が目立つという。
瀬戸内ブランドの世界躍進
ここで瀬戸内国際芸術祭に触れておきたい。この芸術祭は、2010年から3年おきに瀬戸内の島々で展開される現代アートの祭典で、毎回100万人規模の動員を誇っている。第2回からは春・夏・秋にそれぞれ分けて行われ、今年の秋は「ひろがる秋」をシーズンテーマに開催されている。
加えて瀬戸内海周辺では、芸術活動を通じ、若手アーティストの育成や地域振興を目指す活動が行われるなど、アートへの関心と見識を高める取り組みがなされている。さらにそうした瀬戸内の姿をブランド化し世界に発信する仕組みとなるのが「せとうちDMO」だ。2013年に瀬戸内を囲む兵庫、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛の7県によって結成された「瀬戸内ブランド推進連合」に端を発し、現在ではイギリス、ドイツ、アメリカ、フランスにマーケティングエージェンシーを設置し、欧米でのブランド宣伝に乗り出している。それが瀬戸内のインバウンド需要を促し、冒頭の『ニューヨーク・タイムズ』の企画で好結果を及ぼしたと考えられる。
加えて瀬戸内海周辺では、芸術活動を通じ、若手アーティストの育成や地域振興を目指す活動が行われるなど、アートへの関心と見識を高める取り組みがなされている。さらにそうした瀬戸内の姿をブランド化し世界に発信する仕組みとなるのが「せとうちDMO」だ。2013年に瀬戸内を囲む兵庫、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛の7県によって結成された「瀬戸内ブランド推進連合」に端を発し、現在ではイギリス、ドイツ、アメリカ、フランスにマーケティングエージェンシーを設置し、欧米でのブランド宣伝に乗り出している。それが瀬戸内のインバウンド需要を促し、冒頭の『ニューヨーク・タイムズ』の企画で好結果を及ぼしたと考えられる。
地域一丸となった活動の成果は、深刻な過疎化に悩んでいた瀬戸内への移住者増でも顕著らしい。豊島が属する香川県が発表した数字では、平成30年度の移住者数は前年度より322人多い1697人に増えている。平成26年度の753人と比較すれば劇的な増加でもある。
交通や買い物など、便利ではないが、島の人や自然が学ばせてくれる素晴らしい環境の方が勝っているのだろう。移住者が増加していくことによりコミュニケーションも活発になり、島の住民と移住者の距離が縮まっていくのではないだろうか。
豊島の魅力を最大限に感じるとともにウミトタというスペシャルな「宿」を体験しに、ぜひ一度訪れ泊まってみてほしい。
ウミトタ
https://umitota.jp/
交通や買い物など、便利ではないが、島の人や自然が学ばせてくれる素晴らしい環境の方が勝っているのだろう。移住者が増加していくことによりコミュニケーションも活発になり、島の住民と移住者の距離が縮まっていくのではないだろうか。
豊島の魅力を最大限に感じるとともにウミトタというスペシャルな「宿」を体験しに、ぜひ一度訪れ泊まってみてほしい。
ウミトタ
https://umitota.jp/