JOURNEY

これからの旅行は「ニッチ」がキーワード

2020.01.15 WED
JOURNEY

これからの旅行は「ニッチ」がキーワード

2020.01.15 WED
これからの旅行は「ニッチ」がキーワード
これからの旅行は「ニッチ」がキーワード

自分だけのユニークな旅のかたちを求める消費者が急増している。一般住民の自宅に滞在して文化交流を図ったり、異国のボランティア活動に参加してみたり。最近世界で話題となったニッチな旅の事例を紹介する。

© Stylus

マスツーリズムへの反動

大勢の観光客が訪れるマスツーリズムによって、現地の環境にダメージが生じる「観光公害」への懸念が社会問題化するなか、判で押したようなパッケージツアーではなく、ほかでは味わえない体験を求め、また旅先の住人と有意義な交流を図ることで、世界に対する理解を深めようとするユニークな旅の需要が急増している。
2019年初めにフィンランド政府観光局が行った「Rent a Finn」(フィンランド人をレンタルする)キャンペーン

土地の文化にじかに触れる

2019年初めにフィンランド政府観光局が行った「Rent a Finn」(フィンランド人をレンタルする)キャンペーンは、地元の一般住民を“幸せガイド”として観光客の案内役に起用し、大自然をじかに感じられる解放感たっぷりの体験を提供して話題となった。釣り、狩猟、果物狩りからフィンランド名物のサウナ体験までコンテンツは多岐にわたるが、どのアクティビティを選択するにしろ最終目的は、忙しい日常を離れ「心の平穏」を取り戻すことにあるという。

「国連のリポートで、フィンランドが“世界で一番ハッピーな国”という評価が出ています。その理由は、大自然に囲まれている国土にあると思っています。静寂と美しい自然を求める旅行者が増えていますが、その双方がフィンランドには豊富にあります。だからこそフィンランド人は自宅を旅行者に開放し、私たち流のライフスタイルを提供できるこの施策に賛同しているのだと思います」(フィンランド政府観光局)

3月に希望する旅行者の募集を始めたところ、世界中から6000人以上の応募が寄せられたという。フィンランド政府観光局は、本物志向とその土地ならではの体験ができる旅行への高まる需要に応えて生まれたこのプロジェクトのような「まったく新しい旅のかたち」を今後も創出・提供していくことを目指しているという。
Closed for Maintenance, Open for Voluntourism

ボランティア+観光=ボランツーリズム

環境問題への高まる関心を受けて、北大西洋上に浮かぶフェロー諸島は、2019年に入って「Closed for Maintenance, Open for Voluntourism」(メンテナンス中のため閉鎖中ですが、ボランツーリズムに開放しています)というプロジェクトを開始した。

これは100人限定でボランティア観光客を招待し、観光でダメージを受けた島の名所の修繕など実務的作業に参加する代わりに、食事と宿泊を無料で提供するというもの。申し込みの受付開始直後から希望者が殺到し、たった4日間で3500人もの応募があったという。最終的に世界25カ国から選ばれた100人が4月に島を訪れ、一時的に一般公開を停止している10カ所ほどの観光名所のメンテナンス作業に従事する一方、滞在した村の地元住民との交流を楽しんだ。

「他の国々もこの新しいプロジェクトを参考に、唯一無二の体験を求める旅行者を募集して、インフラ改善の独自チームを編成すればよいと思います。私たちも観光業によって引き起こされる悪影響を埋め合わせるために必要な作業に手を貸して欲しいと旅行者に訴えていきます」とフェロー諸島観光局は述べている。

このほかにも、米国ネブラスカ州観光局が「現代の冒険家」になりたいというハードコアなアウトドア派旅行者をターゲットに「Honestly, it's not for everyone」(本当のところ、一般向けではありません)というキャンペーンを展開して話題になるなど、ニッチな消費者ニーズに応えるユニークな旅のかたちは今後も増えていくだろう。

この記事はいかがでしたか?

ご回答いただきありがとうございました。

RECOMMEND

LATEST