VISIONARYMAGAZINE BY LEXUS

CRAFTSMANSHIP

陶芸家Keicondoが作る、
「使っても、飾っても、和む」大地を感じる器

2019.12.20 FRI
陶芸家Keicondoが作る、「使っても、飾っても、和む」大地を感じる器

食卓へ向けて、料理のための器を提供し続けている陶芸家、Keicondo氏。作家として個展を開くだけでなく、器と料理を絡めたワークショップをはじめとする体験型イベントを企画・開催し、精力的に活動している。その、ものづくりにかける“こだわり”と“思い”に迫った。

Edit by Shigekazu Ohno(lefthands)
Text by Kaori Kawake(lefthands),
Photographs by Yoko Ohata

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料理を引き立てる、温かみの感じられる器

いくつもの工房が軒を連ねる陶芸の町、茨城県笠間。豊かな自然が残る静かな小道の先に、陶芸家、Keicondo氏のアトリエはある。

「友人のアーティストに協力してもらって作りました」という重厚感のある扉の先に広がるのは、独特の世界観でまとめられた、まるで秘密基地のような空間。そこには所狭しと作品や仕事道具などが並べられているが、その一つひとつにしっかりと指定席が用意され、きれいに整えられているのが印象的だ。
実家の一角を利用し、自分で作り上げたというKeicondo氏のアトリエ
実家の一角を利用し、自分で作り上げたというKeicondo氏のアトリエ
ここで作り出されるのは、Keicondo氏ならではの感性が光る、アーティスティックでモダンな食器である。

そのこだわりは、過度な装飾や絵付けをしないこと。

「食卓においてはあくまでも料理が主役なので、料理の邪魔をしないことを大前提に、素材を引き立てるような、温かみのある色と形を追求しています」
「一つとして同じものはない、手作りの良さを感じてほしい」とKeicondo氏
「一つとして同じものはない、手作りの良さを感じてほしい」とKeicondo氏
風合いのある仕上げや手に取った際の肌触り、口あたりの良さといった要素も、氏の器に共通する特徴だ。

「僕の陶器には、あえてテクスチャーをつけています。でも、ガサガサとしてしまうのは嫌なんですよね。気持ち良く使ってもらいたいというのが狙いなので、ヤスリやスポンジを使って角を取るなど、質感には特にこだわっています」
土の状態を確認しながら、丁寧に、かつ素早く形作っていく
土の状態を確認しながら、丁寧に、かつ素早く形作っていく

南米の大地の色からインスピレーションを受けたイエロー

そんな氏の作品を印象付けるのが、イエローの色味だ。独特の存在感を醸し出すこの色は、氏がかつて経験した海外生活が影響しているという。

「僕はかつて青年海外協力隊に所属して、2年ほど南米のボリビアで生活していました。そこで目にした山は、日本の緑に色づいた山とは異なる、茶色いクレヨンで描くような赤茶けた色でした。植物も育たないような高山でしたので、大地も茶色く、ちょっと黄色っぽいような色だったんですよね。その時の色が、ずっと記憶に残っていました」
釉薬の実験を繰り返す中でたどり着いた、南米 ボリビアの大地の色をほうふつとさせるイエロー
釉薬の実験を繰り返す中でたどり着いた、南米 ボリビアの大地の色をほうふつとさせるイエロー
また氏が初期から作っているというプレートも、海外での食生活からヒントを得たものだ。

「南米での食事の際は、パンや芋、サラダを1枚のお皿に盛っていました。向こうでは木の板やプラスチックが使われていましたが、日本に帰ってきてから便利だったことを思い出して陶器で作り始めたんです」
今でこそ見かけることも多くなったプレート型だが、当時はほとんど作っている人はいなく新しい提案だった
今でこそ見かけることも多くなったプレート型だが、当時はほとんど作っている人はいなく新しい提案だった
海外で得た経験は氏の感性を刺激し、個性となって作品に反映されている。

欲しいものは、何でも自分で作っていた

生まれも育ちも笠間という氏が、初めて粘土に触れたのは物心がつく前。欲しいおもちゃがあれば、何でも粘土で作って遊んでいたという氏にとって、陶芸はごく身近な存在だったという。

しかし、社会人になって就職したのは、一般企業だった。

「自分で何かを表現することの楽しさは、漠然と感じていました。しかし、それで食べていける自信はなく、サラリーマンとして1年ほど働いていたんです。でも、そこではお金はもらえても、やりがいや楽しさを見出すことができませんでした」
「自分の世界観を、一番表現しやすかったのが陶芸でした」
「自分の世界観を、一番表現しやすかったのが陶芸でした」
そんな氏を陶芸の世界へと導いたのは、地元、笠間の陶炎祭『ひまつり』だ。

「自分の好きなことをやって楽しそうに働いている陶芸家さんが、当時の僕の目にはすごくまぶしく映ったんです。一度しかない人生、どうせ働くなら自分の好きなことをやろうと陶芸の世界に飛び込む決意をしました」

以降、一から陶芸を学び、他の趣味には目もくれずに打ち込んできたと話す氏は、現在38歳。

「自由な創作を認め、既成概念をなくしているのが笠間焼の良さ」と語る氏は、トライアル・アンド・エラーを楽しみながら、さまざまな角度から陶芸と向き合い、自分の表現の幅を広げ続けている。

人とのつながりが、思わぬ可能性を生み出す

「僕が料理のための器を作るようになったのは、料理家さんとの出会いによるところが大きい。はじめは自分の表現ツールとして作品作りを行っていましたが、笠間の陶器市に出店した際に、料理家さんから料理と器についていろいろと話を聞く機会があり、料理を載せる器って面白いなと感じたんです。そこから、食器をメインにしていこうと決めました」

今では仲の良い料理家さんも増え、意見を求めに作品を見せにいくこともあると話す。

「こんな器やサイズが欲しい」という声から、自分だけでは思いつかないようなアイデアに結びつくこともあるという。
「高さのある器がほしい」と言う料理家さんからのリクエストを形にした器
「高さのある器がほしい」と言う料理家さんからのリクエストを形にした器
立て掛けた際の佇まいを意識して、裏面にも年輪のような模様を施したプレート
立て掛けた際の佇まいを意識して、裏面にも年輪のような模様を施したプレート
「あるとき、フレンチの料理人さんがプレートを裏表逆に使っていたんですね。自分では想像もしなかった使われ方で、とても驚きました。こだわった部分に気が付いてくれて、それを面白いと思って使ってくれているのを見ると、何よりうれしいですね」

そんな氏は今、定期的に展示会を開催するほか、異業種のクリエイターとタッグを組んでワークショップを開くなど、陶器の魅力を伝える活動を精力的に行っている。
展示会のポスターのビジュアルには、氏の表現したい食卓の風景や空間が見事に表現されている
展示会のポスターのビジュアルには、氏の表現したい食卓の風景や空間が見事に表現されている
「最初は、料理家さんが作った料理を僕の器に盛る食事会を開催しました。今はさらに一歩踏み込んで、お客様に実際に手を動かしてもらう体験型のイベントも開催しています。お客さまの生の声を聞けるのはとても幸せです」

異業種のクリエイターに声をかけてみると、意外にも喜んで協力してくれることが多く、良い手応えを感じているという氏。

「ワークショップは、あくまでも一つのきっかけにすぎません。人とのつながりを活かすことで、もっといろいろな表現ができるのではないかと思っています」。そう笑う氏に今後の展望を聞くと、次のように語ってくれた。

「いくら良い器を作っても、知ってもらえなければ、その魅力は伝わりません。今後は日本はもちろん、海外でもワークショップを開催していければと思っています。僕の器を通じて、陶器の魅力、笠間という土地の魅力をより多くの方に知っていただき、最終的には笠間に足を運んでいただけたらうれしいですね」

Keicondo
http://keicondo.com/#pagetop
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