JOURNEY

アーティスト支援アプリ「ArtSticker」が生み出す、
アートとライフスタイルの新たな関係性とは

2019.11.29 FRI
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アーティスト支援アプリ「ArtSticker」が生み出す、
アートとライフスタイルの新たな関係性とは

2019.11.29 FRI
アーティスト支援アプリ「ArtSticker」が生み出す、アートとライフスタイルの新たな関係性とは
アーティスト支援アプリ「ArtSticker」が生み出す、アートとライフスタイルの新たな関係性とは

アーティストに直接支援を送ることで自由な創作をサポートしたり、作品から受けた感動を共有できる話題のアプリ「ArtSticker」。アプリに搭載されたART MAP機能は、LEXUSがスポンサードしている。「ArtSticker」が作り出す新たなアート体験について、アプリを開発したThe Chain MuseumのCEOである遠山正道氏に聞いた。

Text by Hitomi Miyao
Photographs by Kenta Yoshizawa

アートの垣根を取り払い、もっと自由なものに。

「ArtSticker」とは、アーティストと観賞者をダイレクトにつなぐアプリ。気に入った作品があれば、最低120円からのスティッカーを送ることでアーティストを支援でき、アプリ内の作品に自分の名前をクレジットという形で残すことができる。参加するアーティストは名和晃平や荒木経惟などの有名作家から、若手は美大生まで幅広く、作品ジャンルも絵画やオブジェだけでなく建築やパフォーマンス、インスタレーションなど多彩なのが特徴だ。

これらのアーティストの作品に対して、アプリ上で感想やコメントを送ることが可能で、アーティストからの反応があれば、コミュニケーションをとることも夢ではない。そのほか、自分にオススメのアート作品のレコメンドを受けとったり、作品や作家の情報などを検索することもできる。
アートを自由かつ気軽に楽しむためのプラットフォームになっている
アートを自由かつ気軽に楽しむためのプラットフォームになっている
「本来アートは表現ですが、現在はそれが商品とほぼ同義になってしまっています。そのためアーティストが収益を得るには、売買や美術館での個展などの入場収益に頼るしかなく、どうしてもマーケットを意識した作品づくりをせざるを得ないのが現状です。ですがArtStickerは、マイクロドネーションのような形で第三のお金の流れを作る仕組み。これが広がれば、アーティストは純粋な表現を追求できるようになり、イノベーティブな流れを作ることができるのではないかと思っています」

そう話すのは、アプリを開発した「The Chain Museum」の遠山正道氏。アーティストとともに小規模のユニークなミュージアムをたくさん作っていく「The Chain Museum」のCEOでもあり、ArtStickerはそのプラットフォームでもある。このアプリはアーティストにとってだけでなく、観賞者となる我々にとっても、アートとの関係性を大きく変えることができるものなのだという。

「多くのアートが高額な今、観賞者は美術館や芸術祭などに足を運ぶことでしかアーティストと繋がることができません。それがアプリ上でスティッカーを送るという形で直接的に支援でき、作品の感想や、次回作のリクエストなどをコメントすることが可能です。それに対してアーティストが返信できる機能もあるので、コミュニケーションをとることもできます」

また、アートの見方や捉え方という意味でも、イノベーティブなものになる可能性があるのだという。

関連記事:毎日こつこつ小さく仕掛ける、これすなわちクリエイティブ──株式会社スマイルズ代表取締役社長・遠山正道氏
「どことなく敷居の高いアートとの壁を、ArtStickerで打破したい」と遠山氏
「どことなく敷居の高いアートとの壁を、ArtStickerで打破したい」と遠山氏
「我々はアートを観賞する際、この作家は誰なのか、どういった背景があるのかといった“情報”で捉えてしまいがちです。もちろんそれも悪くはありませんが、本来アートはもっと自由でいいはず。人は恋をするとき、相手の情報ではなく、説明できない感情で好きになりますよね。アートだって自分がどう感じるか、自分との関係性や感覚で判断していいのに、どことなく敷居が高い。ArtStickerを活用することが、自分が立ててしまったアートに対する壁を取り払う、いいきっかけになるのではないかと思います」

ArtStickerでは、作品に投稿された他のユーザーの感想を読むことができる。他者の感覚や視点を取り入れることで、もっと自由な感性でアートを楽しむことが可能になり、作品の見方を深めることにもつながるのだ。

「実はアートってすごく個人的なことだし、好き嫌いの権化だし、その感性の違いが面白い。そんなアート作品と、自分なりの関係性を作ることができたら、きっと人生はもっと楽しくなるはずです。いいアートは、いい思考へと導いてくれるし、いい体験を導き出してくれます。そしてそれは一瞬で実現することができるのです」
他のユーザーの感想を読むことができ、作品の見方を深めることにもつながるArtSticker

アプリのART MAP機能に秘められた可能性

ArtStickerに搭載されている機能のひとつに「ART MAP」というものがある。これは、アプリの位置情報機能を利用して、現在地や目的地付近にあるアート作品をMAP 上で検索できるもの。アートを通して移動体験をより豊かにするこの機能に共感したLEXUSがスポンサードしている。

「ART MAP機能は、場所をきっかけにアートとの出合いを生み出すものだと考えています。たとえば、The Chain Museumのプロジェクトに、須田悦弘さんの〈雑草〉という作品があります。これは佐賀県唐津市内の市役所の庁舎やホテル、カフェなど数カ所に点在するアートなのですが、ART MAP機能に導いてもらうことで、それらを巡ることができるようになっています。巡回先のひとつに、人里離れた丘の上にある風力発電の風車があって、その頂上にも作品が展示されています。小さい作品なので直接目にすることはできませんが、下から目をこらすことで、もともと目に見えない風や電力のことに想いを馳せる。このアートは美術館でやろうと思ってもできない、まさに巡っていくアートツーリズムです」
唐津市湊風力発電所の風車の上に設置された、須田悦弘〈雑草〉。年に一度、実物を見る機会もあるという
唐津市湊風力発電所の風車の上に設置された、須田悦弘〈雑草〉。年に一度、実物を見る機会もあるという
外出先でちょっと時間が空いたときにアプリを立ち上げ、ART MAPで現在地の近くにあるアートを見つけて立ち寄ってみる。旅先でART MAPに導かれて偶然の出合いを楽しむ。そんな使い方もでき、新しい作品や作家との出合いのきっかけを与えてくれる機能だ。

「ArtStickerでアートとの関係性や精神的なハードルを解き放って、ART MAP機能で移動体験をより豊かにする。クリエイティブジャンプという言葉がありますが、思考と物理の両方から大きくジャンプさせてくれるきっかけになるのではないかと思います」
「アートと移動は切っても切れない関係。ART MAP機能で、日常の中の非日常を演出したい」
「アートと移動は切っても切れない関係。ART MAP機能で、日常の中の非日常を演出したい」
ArtStickerやART MAP機能をコミュニケーションのあり方や自分の気づきにたどり着くための道具として、ぜひ活用してほしいと話す遠山氏。

ドライブや移動体験がより価値あるものに変わっていく社会に貢献すべく、知的な発見に満ちた一人一人の豊かなライフスタイルを寄り添っていきたいというLEXUSの理念とも通じるArtStickerの体験は、アートを通じてこれまでに見たことのない景色へと導いてくれるきっかけになるかもしれない。

ArtSticker
https://artsticker.app/r/dl/

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