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麺やパンを完全栄養食に──
「BASE FOOD(ベースフード)」が巻き起こす主食のイノベーション

2019.10.23 WED
麺やパンを完全栄養食に──「BASE FOOD(ベースフード)」が巻き起こす主食のイノベーション

日本の食品ベンチャーが手掛ける、世界初の完全栄養の主食「BASE FOOD(ベースフード)」をご存じだろうか。麺またはパンを1食分食べるだけで、1日に必要な栄養素の1/3を補えるという革新的な食品で、2017年の発売以来、健康意識の高いビジネスパーソンを中心に愛用者を増やし続けている。すでにアメリカでの販売準備も進めるなど、ベンチャーならではのスピード感で躍進を続ける新進企業の代表に、開発のきっかけや今後の展望について聞いた。

Text by Sachiyo Kamata 
Photographs by Sachiko Horasawa(CROSSOVER)
Edit by Hitomi Miyao

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生活は変えずに、主食を変えて健康になるという発想

イノベーションの聖地・シリコンバレーを中心に世界的な盛り上がりを見せているフードテック。なかでも注目を集めているのが、人間が生きるために必要な全ての栄養素を含む“完全栄養食”と呼ばれる食品だ。VISIONARYでは以前にも、完全栄養食の一つ「COMP」がもたらす食生活の今と未来について紹介している(健康義務から人類を解放する、完全食「COMP」の狙い)。ドリンクやパウダー、エネルギーバーなどさまざまな形状で登場しているが、“主食”での商品化は「ベースフード」が世界初となる。いったいどういうものなのか。

「麺やパンの生地に、タンパク質やミネラル、ビタミンなど、約30種類の栄養素を配合したもので、1食で1日に必要な栄養素の1/3を摂取することができます。主食だけで栄養バランスが整うので、献立を考えたり、おかずを何品も作ったりする必要がありません。パンはそのまま、麺は3分茹でるだけで食べることができるので調理も手軽ですし、ソースや他の食材と合わせてアレンジできるため、飽きずに続けられます」
「多忙で食事に気を使うことが難しかったサラリーマン時代の食生活がヒントになって、『BASE FOOD』が生まれました」
「多忙で食事に気を使うことが難しかったサラリーマン時代の食生活がヒントになって、『BASE FOOD』が生まれました」
そう語るのは、開発を手がけるベースフード株式会社代表取締役の橋本舜氏。同社は「主食をイノベーションし、健康を当たり前に」をミッションに設立された食品ベンチャーだ。そもそも開発のきっかけは何だったのか。

「僕は大学卒業後、IT系企業で5年ほど働いていました。当時は一人暮らしで仕事も忙しかったので、食事はファストフードやコンビニのローテーション。そんな生活を続けていたら、健康診断の結果がどんどん悪くなっていったんです。とはいえ自炊は面倒で続かないし、サプリメントは味気ない。今のライフスタイルのままで、おいしくて健康的な食生活を送るにはどうすればいいのかと考えるなかでひらめいたのが、いつも当たり前のように食べている“主食”そのものの栄養価を上げるというアイデアでした」

おいしいから続く。続くから健康になる

橋本氏はすぐに開発に取りかかった。とはいえ、食品開発は全くの未経験。製品化までの道のりは試行錯誤の連続だったという。

「最初は、スーパーにある食品を片っ端から粉末にして生地に混ぜ、家庭用の製麺機で試作品を作っていました。特に難しかったのが原材料の組み合わせ。ココアと煮干しを混ぜたらものすごくまずくなってしまったり、食物繊維を増やしたら麺がボソボソと切れてしまったり。それでも、味と食感に関しては妥協しないと決めていました。おいしいから続くし、続くからこそ健康になると考えていたからです」
パスタはもちろん、焼きそばやまぜそばなど多彩な麺料理に対応できるよう、食感などにもこだわった
パスタはもちろん、焼きそばやまぜそばなど多彩な麺料理に対応できるよう、食感などにもこだわった
2016年4月に退職して起業すると、イタリアンのシェフや管理栄養士、製麺所の協力を得ながら開発を本格化させ、2017年2月に第一弾となる「BASE PASTA(ベースパスタ)」の販売にこぎつけた。その後、麺に合う特製ソースや完全栄養パン「BASE BREAD(ベースブレッド)」も開発。有名店とのコラボレーションやコンビニでの販売も積極的に手がけ、商品の認知度を高めてきた。

「ソースやパンの開発には、大手食品メーカーのOBやレストランシェフ、パン職人などをアドバイザーに迎え、専門店のような味わいを追求しました。パンは調理の必要がなく、朝食やランチに取り入れやすいことから、パスタ以上に売れ行きが伸び、女性からの支持も一気に増えましたね」

ユーザーの声をスピーディに反映し、進化させていく

現在、販売は公式オンラインショップが中心だが、メディア露出とSNSの拡散力によってユーザーを増やし、販売開始から約2年で累計50万食を突破。サイト上でのチャットやイベントを通じてユーザーと密にコミュニケーションをとり、その声を元に幾度となく改良を重ねている点も興味深い。

「お客さまからは『麺を焼きそばのように炒めたらおいしかった』『パンは冷凍庫に入りきらないので常温保存できるようにしてほしい』など、率直な意見をたくさんいただきます。そうした声をすぐに商品開発に反映して、よりおいしく、取り入れやすく進化させていく。お客さまと一緒に商品を育てているという感覚ですね」

ユーザーの声を受けて、2019年7月には大幅な商品リニューアルを実施。完全栄養パスタ「BASE PASTA」は「BASE NOODLE(ベースヌードル)」に名称変更し、さまざまな麺料理に使えるよう味のバランスや食感を整えて特製ソース4種類も全てリニューアルした。「BASE BREAD」は冷凍パンから常温パンに変更となり、常温での長期保存が可能になった。
オーブントースターで加熱すると風味が増す。チアシードのプチプチとした食感がほどよいアクセントだ
オーブントースターで加熱すると風味が増す。チアシードのプチプチとした食感がほどよいアクセントだ
試食してみると、どちらも全粒粉ならではの独特の風味はあるものの、想像以上に食べやすい。もっちりとした食感や、10種類以上の栄養豊富な食材が織りなすうまみはむしろクセになりそうだ。低糖質ながら食物繊維が多く含まれているため、腹持ちもいい。これなら「健康のために」と無理することなく続けられると感じた。

日本から世界へ。現代人の“健康のベース”をつくりたい

価格はともに一食あたり390円(税込)だが、定期購買だと初回50%オフ、2回目以降20%オフになる。いつでも何回でもスキップやキャンセルが可能で解約条件もないため、ユーザーの大半が定期購買者だという。こうしたサブスクリプションモデルを採用する背景には、健康的な食生活を無理なく習慣化してほしいという想いがある。

「僕が現実的だと考えているのは月20食。これは子どもが食べる学校給食の回数と大体同じです。毎食きちんとした食事を取るのは難しくても、ベースフードで“健康のベース”さえ作ってもらえれば、あとは、食生活が多少おろそかになっても、栄養面での底上げはできるという考え方です。食事はバリエーションなので、無理なく楽しく続けてもらいたいと思っています」
定期配送されるサブスクリプション型は、買い忘れやストック切れを防ぐことができ、忙しい現代人にぴったり
定期配送されるサブスクリプション型は、買い忘れやストック切れを防ぐことができ、忙しい現代人にぴったり
「ベースフード」のビジネスモデルは国内外の投資家からも注目を集めており、5月には総額約4億円の資金調達に成功。この資金をもとに商品やサービスのさらなる改善を図り、海外展開を推進していくという。2019年秋には、フードテックの本場・アメリカでの販売も予定している。

「麺とパンは世界中で食べられている食品。“かんたん、おいしい、からだにいい”を全てかなえる“新しい主食”として、より多くの人に届けていきたいと考えています。販売数が増えれば価格も下げられるので、将来的には途上国でも展開できると思いますし、防災食やアスリートの栄養サポート食として役立つ可能性も十分にある。日本を代表するフードテックとして世界で受け入れられたらうれしいですね」

橋本さん曰く、「イノベーションのベースは人間、人間のベースは食。食が変われば、世界が変わる」。BASE FOODが巻き起こす“主食のイノベーション”は、私たち現代人の暮らしに、世界の食事情に、どんな変化をもたらすのか。今後の展開から目が離せない。

BASE FOOD
https://basefood.co.jp
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