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新型レクサスRC Fチーフエンジニアが語る、
“F”モデルの真価とは

2019.09.11 WED
新型レクサスRC Fチーフエンジニアが語る、“F”モデルの真価とは

「自走でサーキットを訪れ、コースで存分にスポーツ走行を楽しめる」。そんなコンセプトを掲げるレクサスのハイパフォーマンスモデル“F”。そのFモデルのオーナー向けサーキット試乗会が富士スピードウェイで開催され、Fの最新モデルである新型レクサス「RC F」のチーフエンジニア、弦本祐一氏も駆けつけた。そこで、新型RC Fの進化のポイントやレクサスが追求するスポーツカー像について聞いた。

Text by Kazuhiro Nanyo
Photographs by Hirohiko Mochizuki

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サーキット走行を楽しみたいというユーザーのニーズに応えたい

大きな入道雲と冠雪のない富士山、そして蝉の鳴き声が印象的な真夏のある暑い日、富士スピードウェイ主催の「LEXUS Fドライビングレッスン」が開催された。現在、レクサス Fモデルを所有しているオーナーが、ご自身のF車両でサーキットを走るためのイベントだ。先頃のマイナーチェンジにより大きく改良されたRC Fを存分にドライブして、その進化を感じてもらうコンテンツも加わった。

パドックには、一般オーナーやオーガナイズスタッフに交じって、RC Fの開発を取りまとめた弦本祐一チーフエンジニアの姿があった。そこで、この試乗会の趣旨、そして一般オーナーの試乗会にエンジニアが参加する意義を、まずは聞いてみた。
新型レクサスRC Fのドライバーズシートに収まってコースインを待つFオーナー
新型レクサスRC Fのドライバーズシートに収まってコースインを待つFオーナー
「イベント自体はFシリーズ立ち上げの頃から10年以上、年2回ほど行われているものです。主催は富士スピードウェイで、Fモデルを純粋に楽しむ機会をオーナーに提供してくれる場に、我々も参加させてもらっています。

実際、そこでFオーナーがサーキットでどう楽しんでくれるか、目の当たりにすることもできますし、お客様の声を伺うこともできます。また、オーナー同士の横のつながりも芽生えているようです」

富士スピードウェイでは、一般向けにさまざまなメーカーのサーキット試乗会を行っているが、レクサス Fの試乗会では、レクサスの開発陣もイベント運営に関わっているのだ。

「参加されているのは、RC FはもちろんですがGS FIS Fといった歴代Fモデルオーナーもいらっしゃいます。年齢層も幅広く、サーキット走行の経験が初めての方もいれば、ヘルメット&グローブ持参の熟練の方までさまざまです。ラップタイムを削ることに集中されている方も、レジャー的に走ろうという方も一緒に、Fを楽しんでもらうことに意味があります。自走でサーキットに来て、サーキットで存分に走りを楽しめるというのが、Fのコンセプトそのものですから」
RC Fの基本的な物理的特性は富士スピードウェイで鍛え上げたと語る弦本祐一チーフエンジニア
RC Fの基本的な物理的特性は富士スピードウェイで鍛え上げたと語る弦本祐一チーフエンジニア
富士スピードウェイは当然、Fシリーズの開発拠点でもあり、ホームサーキットを走り込むという意味で、オーナーにとっては一種の聖地巡礼でもある。

「もちろんFシリーズの開発過程ではここ富士スピードウェイとニュルブルクリンク(ニュル)の北コースを中心に走り込み、車を鍛えていきます。フラットな路面の高速サーキットと、峠道のようなバンピーなサーキットという違いがありますから。

例えば、今回追加したRC F パフォーマンスパッケージでは、ニュルのようなバンピーでサスペンションの路面への追従性が必要な路面には、ドライブモードは“NORMAL”が適しています。逆に富士スピードウェイのような路面のキレイな高速サーキットでは、回頭性が良くボディのロールも抑えられる、“SPORT S+”という走行モードが最適です。これはある意味でサーキット専用モードです。走る路面や、ご自身の走りのスタイルに応じて、ドライブモードをセレクトできるようにしています」
Fオーナーの参加者は、富士スピードウェイの本コースで新型RC Fの走りを堪能していた
Fオーナーの参加者は、富士スピードウェイの本コースで新型RC Fの走りを堪能していた
RC Fのようなモデルには、サーキット走行を存分に楽しみたいというコアなユーザーが多く、そんなニーズに応えたいという思いが、開発陣にあるという。だからこそ、ディーラーオプション設定ではあるが、アクセルやブレーキ、エンジン回転数、車両位置などさまざまな走行データを記録するLEXUS GAZOO Racing Recorderも用意された。これは自分の走りをパソコンの画面上で“見える化”できるツールであり、スポーツ走行を楽しめるのはもちろんのこと、ドライビングスキル向上にも寄与するという。

磨き上げたのは、ドライバーの意思通りにリニアに動く特性

「今回のRC Fの大きなテーマは二つあります。一つはスポーツカーとしてドライバーの意思通りにリニアに動く特性を磨くこと。もう一つは限界性能を上げることです。

例えばこれまでアンダーステアが出てしまったような局面でも、きっちりフロントタイヤがグリップしてノーズがちゃんとコーナーのイン側に入っていくこと。限界域でも車の挙動がスムーズで、アクセル操作に対して素直に車が動くこと。それが限界性能の高さであり、ドライビングプレジャーにもつながります」
パドックにはRC Fの心臓である自然吸気V8ユニットが展示された。新型ではエンジンレスポンスが向上
パドックにはRC Fの心臓である自然吸気V8ユニットが展示された。新型ではエンジンレスポンスが向上
そこで手が加えられたポイントの一つが、アクセル操作に対するエンジンレスポンスの向上だ。新しいRC Fの自然吸気V8パワーユニットでは、吸気系も改善されているという。

「今回のモデルでは、低回転域から7300rpmまでよりスムーズに吹け上がるようになりました。加えてディファレンシャルギアのファイナル比も下げて、アクセル開度に対する駆動力の伝わり方がリニアになるようにセッティングしました。結果的に、アクセルコントロールで曲がるようなドライビングがしやすくなったと思います。つまりはドライバーがコントロールできる領域が広がったということです」

シャシー回りでは軽量化と剛性アップが同時に図られるなど、進化のポイントは多岐にわたる。さらに“Performance package”パフォーマンスパッケージでは、ラゲッジコンパートメントとキャビンを隔てるパーテーションブレースを、スチールからカーボンファイバーに変更するなど、パーツごとに数百グラム単位ずつの軽量化を重ねることで、まさしくアスリートが体脂肪を絞るように、従来モデル比で約70㎏ものダイエットに成功しているのだ。
レースでの知見をフル活用した鍛造アルミホイールは、1台あたり約2.8㎏もの軽量化を実現
レースでの知見をフル活用した鍛造アルミホイールは、1台あたり約2.8㎏もの軽量化を実現
「軽量化はやはり車の動きにダイレクトに現れます。今回のRC Fの場合、街中の速度域でも体感できるほどですし、0-100㎞/h加速が従来比で0.4秒も速くなっている通り、加速性能も向上しています。もちろん、富士スピードウェイのようなハイスピードサーキットを走ると、ドライビングプレジャーが増していることも分かると思います。ドライビングプレジャーの質を追求するうえで、軽量化は必要不可欠だったのです」

ちなみに富士スピードウェイのような高速サーキットでこそ磨かれたものとして、ボディ全体の空力性能向上があげられるという。

「空力性能については、Super GTといったレース活動からのフィードバックが活かされています。例えばパフォーマンスパッケージのフロントスポイラーの、サイドの両端部分。ここだけ少しめくれあがっているのは、フロントホイールの外側に乱気流を流して、ホイールハウス内のエアを効率よく抜くためです。ホイールハウス内にエアがたまるとフロントが浮き気味になってステアリングフィールにも悪影響が出ます」
スーパーGTなどレース活動からのフィードバックが活かされた空力ボディについて語る弦本チーフエンジニア
スーパーGTなどレース活動からのフィードバックが活かされた空力ボディについて語る弦本チーフエンジニア
弦本チーフエンジニアいわく、燃費に効く空力と、操縦安定性に貢献する空力は異なるという。

「RC Fのようなスポーツモデルには、一般的なエコカーでは到達しえない領域でのパフォーマンスが求められます。ですので、デザイナーにはスポイラーの一つひとつがもたらす空力的効果の違いを、実際に富士スピードウェイで体感してもらいました」

開発・テストからオーナーイベントへの参加まで、徹底して現場主義を貫く弦本チーフエンジニアは、ドライビングプレジャーは正解がない奥深い世界だと語る。

「スポーツカーにおいては、メーカーごとに考え方が違って当然です。我々は車をコントロールする楽しさを伝えたいと思っています。今回のFドライビングレッスンのように、日々サーキットで走り込んでいる方から、サーキットでの走行経験がない方まで、さまざまなオーナーが楽しめるのがF。そうしたクルマ好きの方々が一緒に走って、子どもに戻ったように笑顔になりながらサーキットで語り合える。そんな世界観をFというクルマで作りたいと思っているんです。だからこそ、これからもこのドライビングレッスンに参加したいと思います」

新型レクサスRC Fは、ハイパフォーマンスカーとしてのすべての要素を妥協なく磨き上げられただけではない。自然吸気エンジンを搭載するFRスポーツならではの、純度の高いドライビングプレジャーを、クルマ好きなすべてのドライバーに与える。そんな類い稀なるスポーツカーとして、さらなる進化を遂げたのだ。
真夏の富士スピードウェイでラップを重ねた新型RC Fだがエンジンやブレーキが音を上げることはなかった
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