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新たなスタンダードを世に送り出す、
BEAMS 吉田周平氏による「モノ」選びのヒント

2019.09.06 FRI
新たなスタンダードを世に送り出す、BEAMS 吉田周平氏による「モノ」選びのヒント

日本を代表するセレクトショップ「BEAMS」において長年バイイングに携わり、現在はドレス部門の統括ディレクターとして活躍する吉田周平氏。本物を知り尽くした氏の愛用品とは、どのようなアイテムなのだろうか? その理由から、モノ選びのヒントをひも解く。

Text by Kaori Kawake(lefthands)
Photographs by Yoko Ohata
Edit by Shigekazu Ohno(lefthands)

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時代性を見据え、新たなスタンダードを構築する

移り変わりの激しいファッション業界において、時代を超えて愛される数多くの名品をセレクトし、世の中に提案し続けている吉田氏ならではのスタンダード論を尋ねた。
一人でも多くのお客様に喜んでもらうことが仕事のモチベーションだと語る吉田氏
一人でも多くのお客様に喜んでもらうことが仕事のモチベーションだと語る吉田氏
ファッションは一定のサイクルで時代を巡ると言われるが、一周して戻ってきたトレンドは、同じ場所にあるように見えて実はそうではないと吉田氏は語る。

「確かに、何年かおきに(同様の)トレンドが巡ってきます。しかしそれは螺旋の法則で、上から見ると一緒の場所でも、横から見るとひとつレベルが上がっているんですね。例えば、クラシックやプレッピーも形を進化させて戻ってきています。だからこそ我々は、昔と同じではなく、一段上がった場所を見据え、新たな時代を待ち構える必要があると思っています」

クラフトマンシップへのこだわり

そんな吉田氏が価値を見出すのは、クラフトマンシップの感じられる普遍的なアイテムだ。

例えば、イタリアの老舗ブランド「Enzo Bonafe(エンツォ ボナフェ)」の靴。創業から50年以上経った今日もなお、職人の手仕事によって一つひとつ時間をかけて丁寧に作り出されるその靴からは、時代を超越したスタンダードたるべく普遍的な魅力が感じられるという。
ラスト(木型)の形状や履き口の高さを微調整し、現代的にモディファイされたサイドエラスティックブーツ
ラスト(木型)の形状や履き口の高さを微調整し、現代的にモディファイされたサイドエラスティックブーツ
「ボナフェの靴のデザインは完成されていて、極端に手を加える必要がない。その普遍性こそが長く履くことができる所以です。この『ケーリー・グラント』というモデルは、我々も時代とともに若干の修正を繰り返しながら10年以上取り扱っています。クラシックでありながらモダンな雰囲気のたたずまいは、さすがですよね。デニムはもちろん、コットン地のスーツにもなじみます。英国のテイストを持つバランスの取れたデザインが、時を経ても色褪せない理由です」
グッドイヤー・ア・マーノ(ハンドソーンウェルト製法)で作られた靴は、履くほどに足になじんでくる
グッドイヤー・ア・マーノ(ハンドソーンウェルト製法)で作られた靴は、履くほどに足になじんでくる
そう話す氏の足元もまたボナフェの靴だった。足入れしたときの「シュッ!」と空気の抜ける音がなんとも心地良いのだと言って微笑む。行き過ぎないバランスの取れたデザインと、職人の確かな手仕事がもたらすフィット感に、履くたびに感動を覚えるという。値段だけを見ると高く感じられても、実際に手に取り、ものづくりの背景を知れば、相応の価値を感じ取ることができるというのが氏の持論だ。

ものづくりのストーリーを楽しむ

もうひとつ吉田氏が紹介してくれたのは、パープルの色選びに大人の遊び心を感じる「FABER- CASTELL(ファーバーカステル)」の万年筆「ギロシェ」。ドイツで250年にもおよぶ伝統を誇る、筆記具業界のリーディングブランドだ。普段は「MONTBLANC(モンブラン)」のボールペンを愛用しているとのことだが、より歴史あるものも使ってみようと手を伸ばしたという。
職人の手によって一つひとつ丁寧に磨き上げられた独特の質感が、唯一無二の存在感を醸し出す
職人の手によって一つひとつ丁寧に磨き上げられた独特の質感が、唯一無二の存在感を醸し出す
「決め手となったのは色とデザイン。自分がメモを取る際など、カジュアルなシーンで使用することが多いため、色があるものを直感で選びました。ボールペンでは得られない、書く際のシャッという音やカリカリカリッという書き味が心地良いですね。万年筆に関してはまだ入口に立ったばかりですが、奥が深いアイテムですよね。自分でブランドの背景などを調べて、魅力を探っていく楽しみもあります」

服を選ぶのとはまた違う感覚だというが、手仕事を肌で感じ取れるモノ選びという点では共通している。「自己満足の世界ですよね。何を選ぶかはその人次第です。しかし、きちんと理由を持って選ぶということに意味があると思います」と吉田氏。

こだわりのスタイルを堪能できるオーダーメイド

さらに、服選びで辿り着いたのはオーダーメイドセクション「Custom Tailor BEAMS」だ。吉田氏もこだわりの一着をオーダーする機会が最近増えてきたという。その魅力は、季節や気分に合わせて豊富な生地やスタイルから自分好みを選べることにある。
「BEAMS F」のオリジナル製品をベースに、生地やボタン、仕様などを選び、仕立てることができる
「BEAMS F」のオリジナル製品をベースに、生地やボタン、仕様などを選び、仕立てることができる
「先ほどクラフトマンシップの話をしましたが、この値段でこの作りはすごいと言わしめるものづくりの領域に入っています。既製品を選ぶ行為の一歩先をゆくオーダーメイドには、着心地はもちろんのこと、色やデザインをあれこれ考えるといったまた違う楽しみがあります」

イージーオーダーからフルオーダー、そしてイタリアブランドのオーダーを試すうちに、既製品のスーツでは得られない、自分らしさを表現できる面白さに魅了されていったのだ。
吉田氏の愛用しているスーツも「Custom Tailor BEAMS」のオーダーメイドで仕立てたもの
吉田氏の愛用しているスーツも「Custom Tailor BEAMS」のオーダーメイドで仕立てたもの
「どの世界も、知識を深めていくことで、より一層楽しめるようになっていきますよね。服に限らず食や旅行、そして車や時計でも同じことが言えると思います。気に入ったものを身につけることで、自信や落ち着きが備わってくるのではないでしょうか」

そう語る吉田氏が選ぶアイテムからは、どれも不思議と彼らしさが感じられた。自分にはまだ敷居が高いと思ったものでも、身につけるうちに自然と自分のものになっていくという。

またモノが溢れる今の時代においては、昔とは異なる概念も生まれてきているという。

「お客様の感度が高まりライフスタイルが多様化する近年においては、より良いもので、なおかつ使うシーンが想像できるようなものでないと選ばれなくなってきています」

モノを通して得られた体験が、満足感へと繋がる

吉田氏は、自身も最近ではシーンを想定した着こなしを大切にしているという。

「まず、時間と場所にフィットするのか。さらには、その装いが周りと調和するかどうかを考えています。例えば、食事に行く際は座る時間が長いので、少しゆったりした着心地の服を選びます。しかし、着こなしが場において浮いてしまっていたら台無しですよね。満足感というものは、決まってその場に溶け込み、時間を楽しめたときにこそ得られるのです」
シーンに合わせて、出張や旅行の際には、1日に何度か着替えることもあるという吉田氏
シーンに合わせて、出張や旅行の際には、1日に何度か着替えることもあるという吉田氏
自己表現の道具とも言えるファッションだが、決して自分を特別に飾り立てることはしない。自分らしくあるため、さらには相手との時間を楽しむためにこそ活用しているのだ。それは、服に留まらず車選びにも共通しているという。モノを通じて得られる体験が、人生を豊かにしてくれるという信念がそこにはある。

では、どうやったら自分らしいモノ選びができるのかを尋ねると、こう答えてくれた。

「選んだ理由があれば、どんなものを選んでもいいと思います。モノの価値は、値段や機能だけで測れるものではありません。その世界観が自分にフィットするかどうかを見極めることが大切です。まずは、いろいろなことに興味を持ち、視野を広げてみるといいのではないでしょうか。きっかけは、周りからのアドバイスでもいいと思います。その中から、自分の意思で選ぶことに意味があるのです。周りにも目を向けて、それを選ぶ人たちはどんな価値観の人なのかを客観視してみると、自分のなりたい姿が見えてくるはずです」

吉田周平 Shuhei Yoshida
BEAMSドレスディレクター
長年、「BEAMS F」レーベルのバイイングやオリジナル製作に携わり、現在はメンズ・ウィメンズのドレス部門を統括する。

株式会社ビームス
https://www.beams.co.jp
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