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オリジナルカスタマイズで、スニーカーに新しい価値を

国内外で話題のスニーカー・カスタム・ショップ「RECOUTURE」

2019.08.26 MON
オリジナルカスタマイズで、スニーカーに新しい価値を 国内外で話題のスニーカー・カスタム・ショップ「RECOUTURE」

スニーカーに革靴の要素を取り入れたユニークなカスタマイズがSNSで話題となり、国内外から注文が殺到する東京・青山のスニーカー・カスタム・ショップ「RECOUTURE(リクチュール)」。オリジナルのフォルムはそのままに、パーツの素材を変えるというカスタマイズの手法はいかにして生まれたのか。人気の理由に迫る。

Text by Sachiyo Kamata
Photographs by Sachiko Horasawa(CROSSOVER)
Edit by Hitomi Miyao

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革靴用ソールを付けて自前スニーカーを再生。SNSで一気に拡散

ストリートファッションの聖地である東京・渋谷と、ラグジュアリーブランドが軒を連ねる青山。そのちょうど中間あたり、六本木通りから一本入った静かな路地にスニーカー・カスタム・ショップ「リクチュール」はある。

築60年の建物は真っ白にペイントされ、看板もさりげない。思わず通り過ぎてしまいそうなほど簡素なたたずまいだが、連日、世界中のスニーカーフリークがこの小さな店を目指してやってくる。2Fの工房には持ち込まれたスニーカーが山積みされており、人気の高さを物語っている。

資材に囲まれた工房で黙々と作業に打ち込んでいたのは、オーナーの廣瀬 瞬氏。19歳から靴修理の職人としてフランチャイズ店でキャリアを積み、2013年に独立開業した。
店内にはソールのサンプルやカスタマイズの見本が並ぶ。仕上がりがイメージしやすいのも人気の理由だという
店内にはソールのサンプルやカスタマイズの見本が並ぶ。仕上がりがイメージしやすいのも人気の理由だという
「リペア技術には自信があったんですが、大手との競合は予想以上に厳しくて。なかなか客足が伸びずに試行錯誤していたとき、久しぶりにスニーカーを履きたくなってコンバースのチャックテイラーを引っ張り出してみたんです。

でも、仕事柄、革靴ばかり履いていたのでスニーカーの薄いソールはなんだか心許ない。じゃあ、革靴用のソールを縫い付けてみたらどうだろうと面白半分でやってみたら、すごく歩きやすくなって、見た目もかっこよくなった。

インスタに写真をアップしたら、1週間もしないうちにオーダーが入って、1000人にも満たなかったフォロワーが一気に2万人になって……。こんなことが本当に起きるんだなって信じられない気持ちでしたね」(廣瀬氏、以下同)
以前は国分寺に店を構えていたが、2019年2月に渋谷に移転オープンした
以前は国分寺に店を構えていたが、2019年2月に渋谷に移転オープンした
そこからカスタマイズのオーダーが増えていき、次第に地方や海外からもオーダーが舞い込むように。今では顧客の6割を外国人が占め、フォロワー総数も4万人を超えた。

「海外の方は旅行ついでにスニーカーを持ち込んで、出来上がったものをEMS(国際スピード郵便)で受け取るという方が多いですね。今は注文が立て込んでいて納品まで2カ月ほどかかってしまうんですが、完成を楽しみに待ってくれる人がいるのはありがたいです」

いかに元のフォルムに忠実に再構築するか。職人の技術が試される

「リクチュール」のスニーカーカスタマイズは大きく分けて、ソールカスタマイズとアッパーカスタマイズの2種類がある。顧客はSNS上のデザインサンプルを参考に、大まかな完成イメージを描いたうえで来店することが多く、店頭でソールやアッパーの素材を手に取りながら詳細を決めていくという。
靴紐をジップ仕様にする、ソールのゴム部分にレザーを施す、ソールを付け替えるなどカスタマイズ方法は多彩
靴紐をジップ仕様にする、ソールのゴム部分にレザーを施す、ソールを付け替えるなどカスタマイズ方法は多彩
「最初の頃はソールのカスタマイズがメインでしたが、最近はアッパーのカスタマイズにも力を入れています。中でも自信作がナイキ エアフォース1のアッパーをコードバンに代えたカスタマイズ。アウトソールだけを残して、アッパーを分解し、パーツを全て型取ってから縫い合わせて再構築しています。レザーはオールデンに使われているものと同じ素材なので、履き込むほどにいい艶が出てくるんですよ」
アッパーをコードバンでカスタマイズした自信作。経年変化を楽しめるレザーの持ち味をスニーカーに落とし込んだ
アッパーをコードバンでカスタマイズした自信作。経年変化を楽しめるレザーの持ち味をスニーカーに落とし込んだ
カスタマイズは全て手作業。職人は3人いるが、廣瀬氏にしかできない工程も多く、分解から型取り、ミシン縫い、仕上げまで、一瞬たりとも気を抜くことができない。

「スニーカーはアッパーの切り替えが多く、スポンジの構造が複雑なものもありますし、ソールの接着剤が剥がれにくくて苦戦することもしょっちゅうです。革靴以上に修理が難しい面もありますが、いかに元のフォルムに忠実に再構築するかという点にこだわっています。縫い代が1mmずれるだけでもフォルムや履き心地が変わってしまうので、そこは腕の見せ所ですね」

唯一無二のスタイルと“修理しながら履ける”という価値

大胆なアイデアと精巧な技術によって成り立つ廣瀬氏のスニーカーカスタマイズは、“本家”スニーカーブランドも一目置く完成度。世界的な人気を誇るスニーカーブランドの公式イベントに招かれてオリジナル商品をカスタマイズしたり、海外のデザイナーが自身のスニーカーをカスタマイズしてほしいと来店したりすることもあるという。
手廻し式ミシンなどを使い、ていねいに仕上げていく。レザーは布と違い修正がきかないため神経を使うという
手廻し式ミシンなどを使い、ていねいに仕上げていく。レザーは布と違い修正がきかないため神経を使うという
「ブランド側の反応も含め、世界的にスニーカーのカスタマイズがカルチャーとして根づきつつあると感じます。オリジナルに対するリスペクトは忘れず、自分ならではのスタイルや履き心地を追求する楽しさをもっとたくさんの人に知ってもらいたいですね。愛車をカスタマイズするのと同じような感覚でスニーカーのカスタマイズにもトライしてもらえたら嬉しいです」

ソールの付け替えは2万5000円〜、アッパーの付け替えは5万円〜と、カスタマイズ料は決して安価とは言い難い。それでも、人々がスニーカーのカスタマイズに夢中になる理由はどこにあるのか。廣瀬氏はこう分析する。

「スニーカーに革靴のディテールを取り入れることで、個性的な外観になるだけじゃなく、耐久性もアップします。ソールを修理したり、革を磨いたりしながら、お気に入りの一足をより長く履き続けることができるんです。愛着のあるものを修理しながら大切に使っていく、そういう価値観が多くの人に受け入れられているんだと思います」
店の奥と2Fが工房になった、こぢんまりした店内。ここから独創的なカスタマイズスニーカーが生まれている
店の奥と2Fが工房になった、こぢんまりした店内。ここから独創的なカスタマイズスニーカーが生まれている
今後は、靴の修理とスニーカーカスタマイズに加え、オリジナルスニーカーの製作、さらには洋服のカスタマイズまで、物づくりの幅を広げていきたいと語る廣瀬氏。今秋リニューアルオープンする渋谷パルコへの出店も控えている。

「レザーやヴィンテージのスカーフに加え、着物、剣道着、柿渋染が施された酒袋など、日本の伝統的な布地を使ったオリジナルアイテムも作りたいと考えています。身近なものに目を向けて、創作のアイデアを練る作業はすごく楽しいですね」
 
オリジナルのデザインを尊重しつつ、クチュール(仕立て)し直すことで、スニーカーに唯一無二の価値を与える「リクチュール」。見慣れた一足が鮮やかにアップデートされる喜びは、一度味わうと癖になること間違いなしだ。

RECTURE
https://recouture.thebase.in
https://www.instagram.com/recouture__/
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