ART / DESIGN

ECブランドが“リアル店舗”の展開に
着手する理由とは?

2019.08.16 FRI
ART / DESIGN

ECブランドが“リアル店舗”の展開に
着手する理由とは?

2019.08.16 FRI
ECブランドが“リアル店舗”の展開に着手する理由とは?
ECブランドが“リアル店舗”の展開に着手する理由とは?

インターネット上のみ存在していたオンラインブランドの実店舗展開が急速に進んでいる。その背景には、高い客単価とリアルでダイレクトなフィードバックが的確な商品開発につながるという対面販売の強みがあるようだ。今後も“マルチチャネル化”が予想されるEコマース業界の最新トレンドをレポートする。

© Stylus 2019

増加が著しいリアルショップ出店

事業の立ち上げ時点で、実店舗への進出を計画しているオンラインブランドはほとんどない。しかし、アメリカだけでも、すでに600近いオンラインブランドが実店舗を展開しており、また今後5年間でさらに850店舗の増加が見込まれている。

その理由の一つは、データ解析を過度に重視するオンラインブランドの特性にある。ネットオンリーの企業は、“確実なデータ”に基づいてターゲット顧客を理解していると自負するが、実際には偏った理解をしているケースも少なくない。

実際、店頭で顧客から得るリアルでダイレクトなフィードバックの方が、効率の良い商品開発につながることが分かっている。またブランドの世界観を肌身で実感してもらうことで、既存顧客のロイヤリティを増大する効果も期待されている。
アメリカのメンズウェアブランド「Bonobos(ボノボス)」

店員を独占できるガイドショップ

2007年に創業し、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の基礎を築いたアメリカのメンズウェアブランド「Bonobos(ボノボス)」は、2012年からオンラインと実店舗のマルチチャネルに移行、“ガイドショップ”と呼ばれる店舗で商品を試着・購入すれば送料無料で自宅に配送するサービスを行っている。

ボノボスによると、店員が45分間つきっきりで対応してくれる完全予約制のガイドショップ利用者の平均購入額は、オンラインユーザーの約2倍(約360ドル=約40,000円)にのぼるという。また、顧客ロイヤルティの確保にも貢献しており、実店舗で買い物をした人は平均50日以内に再度商品を購入しているのに対し、オンラインユーザーは85日に止まっている。
Bonobos(ボノボス)は“ガイドショップ”と呼ばれる店舗で商品を試着・購入すれば送料無料で自宅に配送するサービスを展開

インテリアブランドも追従

ホームインテリアに特化したアメリカのECサイト「Wayfair(ウェイフェア)」は、2019年秋、ボストンに初となる実店舗をオープンする。1400万点にのぼる膨大なアイテムを取り揃えていることで有名だが、リアルショップでは、スタッフが家の内装や改築のアドバイスに加え、ほぼ無限にある商品ラインナップから、最適なアイテムを検索・提案してくれるという。

また、オンラインの額装サービス「Framebridge(フレームブリッジ)」は、2019年に拠点のあるワシントンに2店舗をオープン。フレームの素材や組み合わせを検討するためのショールームで、タブレット端末で額装の完成イメージを確認することもできる。もともとポップアップとしてオープンした店舗だが、オンラインストアよりも平均して40%高い売り上げを達成しただけでなく、実店舗で買い物をした人がオンラインストアで再注文するという相乗効果も生まれている。
ホームインテリアに特化したアメリカのECサイト「Wayfair(ウェイフェア)」

プロセッコ片手に服選び

2013年にオンラインサービスを開始した、ニューヨークの「MM. LaFleur(エムエム・ラフルール)」は、スタイリストによる、キャリア女性を対象としたオフィスファッションのコーディネートを提案しているが、このコンセプトを予約限定のショールームへと拡張。現在、7店舗を運営しており、洋服ラックのない快適な試着室でプロセッコを飲んでくつろいでいると、スタイリストが自分に合った素敵な洋服を運んできてくれるという仕組みだ。

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