VISIONARYMAGAZINE BY LEXUS

EXPERIENCE

コンセプトは、サステイナブル。
社会とつながる“きっかけ”をプロデュースする
ホテル「KIKKA」

2019.01.21 MON
コンセプトは、サステイナブル。社会とつながる“きっかけ”をプロデュースするホテル「KIKKA」

訪日外国人観光客の増加や、2020年の東京オリンピックに向けた需要も相まって、ここ数年開業ラッシュのホテル。そのなかでも2018年夏にオープンした「KIKKA」は、サステイナブルをコンセプトにした宿泊施設として、他のホテルとは異なる特色で話題を集めている。その根底にある想いや運営理念について聞いた。

(読了時間:約6分)

Photographs by Sachiko Horasawa(CROSSOVER)
Text &Edit by Hitomi Miyao

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COLLABORATED WITH

利用するだけで世の中に貢献できる、新しいホテルの形

昔ながらの問屋街あり、下町らしい風情を残す一帯ありと、さまざまな表情を楽しむことができる東京・東神田。最近では東京駅や空港からのアクセスのよさも手伝って、海外からの観光客の滞在場所としても人気のエリアとなっている。そんな街にオープンしたホテル「KIKKA」は、ホテルや併設のカフェを利用することが社会貢献につながり、自然なかたちでサステイナブル(持続可能な仕組み)な活動に参加できるのが特徴だ。

「ホテルの利用が社会的アクションにつながるこの仕組みは、KIKKAをどういうホテルにしていくか考えたときに生まれたものでした。新しい価値を提案できるホテルにしたいという漠然としたコンセプトがあったなか、弊社のスタッフの知人、紹介を受けた方など、世の中をよりよくするための活動を繰り広げる団体の存在を知る機会がありました。彼らとコラボレートできないかと模索した結果、自然にサステイナブルというコンセプトが生まれました」と話すのは、KIKKAを運営する株式会社7garden事業部長の須賀裕子氏。
「KIKKAのコンセプトは、いろいろな出会いやきっかけが重なって生まれました」と須賀氏
「KIKKAのコンセプトは、いろいろな出会いやきっかけが重なって生まれました」と須賀氏
KIKKAとコラボレートする団体のなかでも、大きな役割を果たしているのがNPO法人「TABLE FOR TWO」。先進国の肥満・生活習慣病と途上国の飢餓の問題を同時に改善する目的で、提携する飲食施設などの食事代金の一部を開発途上国の子どもたちに学校給食として届ける活動を展開する団体だ。

「宿泊時のアメニティ不使用、リネン類の交換をせずにご利用いただく、併設のカフェで特定のメニューをご注文いただく、イベントスペースとしてご利用いただくなどのアクションで、1回20円が自動的に寄付される仕組みになっています。この20円という数字は、途上国の学校給食一食分をまかなうことができる金額です。ホテルのシステムや食事代にあらかじめ寄付を組み込むことで、利用者の方々が自然に社会貢献できるような仕組みにこだわりました。これまでTABLE FOR TWOでは食を通じた寄付が中心で、宿泊施設との提携も、食以外のものから寄付できるシステムも初となる試みです」

環境保護やリサイクルの観点から、アメニティの利用やリネン類の交換を撤廃したり、申告制にしているホテルは珍しくないが、そのコストや手間を削減した先につながるものが見えづらい側面がある。KIKKAでは、NPO団体とコラボレートすることで、寄付先だけでなく寄付金額や用途などの透明性を確保しつつ、寄付に対するハードルを大きく下げているのが特徴だ。

「寄付の対象になっている定食メニューは朝食が520円、昼食が1,020円です。やや切りが悪い数字ですが、寄付される額が明確に伝わるようにしたいという想いから、この金額に設定しました。その結果、自然なかたちで社会貢献を意識していただくきっかけになっているのではないかと考えています」
1,020円のKIKKA定食。宿泊客だけでなく、近隣のビジネスマンにも人気
1,020円のKIKKA定食。宿泊客だけでなく、近隣のビジネスマンにも人気
地下のバーは、昼はイベントスペースとして活用。貸切利用の場合、料金の一部が寄付される
地下のバーは、昼はイベントスペースとして活用。貸切利用の場合、料金の一部が寄付される

寄付以外にも広がる、さまざまなサステイナブルな仕組み

ホテルを利用することが自然なかたちの社会貢献につながるKIKKAの仕組みは、寄付だけに留まらず多岐に渡る。ホテルの建物や部屋など、ホテルを開業するにあたって使用した内装資材や備品もその一つだ。

「ホテルの建物は、以前はメーカーのオフィス兼倉庫だったビルをまるごとリノベーションしています。元の外装タイルを剥がした駆体のニュアンスをそのまま活かして、新たな装飾を施さないエコな設計を心がけました。また、カフェレストランで使用しているトレーには廃材を、ドミトリーのベッドや館内の案内表示板には古材を使用しています。リユースしてゴミを削減するだけでなく、一つひとつ違ったニュアンスを楽しめるのが魅力です」
古材を利用したドミトリーは、プライベート空間を確保できる設計が好評
古材を利用したドミトリーは、プライベート空間を確保できる設計が好評
個室は全室バルコニー付き。「TABLE FOR TWO」のパネルを展示した部屋も
個室は全室バルコニー付き。「TABLE FOR TWO」のパネルを展示した部屋も
また1階のカフェレストラン、地下のバーなどで提供されるフード類も、社会貢献につながるKIKKAならではの想いやこだわりがあふれたセレクトが光る。

「カフェで人気のおむすび『にっぽん縁むすび』は、地域活性化を促す目的で日本各地の特産品を使った具材が好評です。コーヒーは、フェアトレードに取り組む『lohasbeanscoffee』とコラボレートしたKIKKAオリジナルのスペシャリティコーヒーを使用しています。そしてカフェとバーで提供するクラフトビール『KAMIKATZ』は、ごみゼロの取り組みで知られる徳島県上勝町のメーカーです。リサイクルボトルを採用するほか、廃棄対象になる上勝町の特産ゆずを使ったビールを生産するなど、ゴミを極力出さない仕組みで造られています」
「lohasbeanscoffee」のコーヒーは、豆の販売も行なっている
「lohasbeanscoffee」のコーヒーは、豆の販売も行なっている
「KAMIKATZ」のクラフトビールは、瓶ビールだけでなく生ビールも常備
「KAMIKATZ」のクラフトビールは、瓶ビールだけでなく生ビールも常備
そして、ホテルのフロント横で販売されているバッグやハンカチなどは、“作り手に会いに行く旅をしよう”をコンセプトに、エシカルなライフスタイルアイテムを展開する『SALASUSU』というブランドのもの。

「SALASUSUはカンボジアの農村の女性の就労支援や教育プログラム推進を目的に、すべて現地の女性たちによって作られています。商品を購入することで工房を訪ねることができる旅の権利を提供しているのも特色で、社会貢献だけでなく新しい旅にもつながる、KIKKAと共通項が多いブランドです。現在、KIKKAとのコラボレート商品も開発中です」
旅や宿泊の記念に、と買い求めていく客も多いという「SALASUSU」
旅や宿泊の記念に、と買い求めていく客も多いという「SALASUSU」
「KIKKAで時間を過ごすことで新しい出合いにつながったり、社会的なアクションへのきっかけが生まれたり……。利用客の方だけでなく、コラボレートしている団体の方、途上国をはじめとする支援先の方など、関わる人たちみんなが笑顔になることが理想です」と話す須賀氏。

社会をよりよくするための小さな取り組みが、多くの人が行き交うホテルという場所を媒介にして世界中に広がっていく。KIKKAを中心にしたサステイナブルの循環は、ホテルの名前のごとく、いろんな人にとって新しい“きっかけ”を生み出し続けていきそうだ。


KIKKA
https://seven-garden.com/ja/hotel/KIKKA
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