VISIONARYMAGAZINE BY LEXUS

CULTURE

「Lifegenic Table Beyond the Box」リポート──
共創がもたらす僕らの未来 前編

2019.01.16 WED
「Lifegenic Table Beyond the Box」リポート──共創がもたらす僕らの未来 前編

レクサスの最新クロスオーバーモデル「UX」のローンチを記念して行われたスペシャルイベント「Lifegenic Table Beyond the Box Special Talk Session」。「“共創 Co-Creation”- 価値観のつながりが僕らの未来をつくる」をテーマに、ムラカミカイエ氏とミレニアル世代のクリエイターたちがトークセッションを展開。彼らの言葉から、ライフジェニックに生きるためのヒントを探る。

(読了時間:約11分)

Text by Kaie Murakami
Photographs by Jun Miyashita

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UX のローンチを記念してトップクリエイターが未来を語らう

レクサスは 2018 年 11 月 27 日、新型コンパクトクロスオーバーモデル「UX」の記者発表会を東京ミッドタウン日比谷「LEXUS MEETS...」にて開催。その壇上で開発を指揮した加古慈チーフエンジニアは、同モデルの開発コンセプトが「Creative Urban Explorer(クリエイティブ・アーバン・エクスプローラー)」だと説明した。頭文字をとると“CUE”。つまり“きっかけ”を意味する。加古チーフエンジニアは、UX が生活の変化を期待する人の背中を押し、豊かなライフスタイルを送るきっかけになってほしいとの思いを込めて、UX を開発したのだと語った。

そんな、レクサスによるまったく新しいライフスタイルカーの記者発表会の数時間後、東京ミッドタウン日比谷 1F アトリウムを舞台に、「VISIONARY」の人気連載「Beyond the Box」によるスペシャルイベント「Lifegenic Table Beyond the Box Special Talk Session」を開催。会場に設けられたカーテンの内側ではイベント参加に応募した一般のミレニアル世代が集い、同世代のトップクリエイターたちと未来の話を繰り広げた。以下に、彼らによるトークセッションをお送りする。

岡田マリア(以下、岡田) J-WAVE ナビゲーターの岡田マリアと申します。本日の司会を務めさせて頂きます。VISIONARY のコラムニストであるムラカミカイエさんを筆頭に、本日語っていただくのは、アート界から写真家でありアーティストの小林健太さん、音楽界から DJ だけでなくエディターとしても活躍するLicaxxx さん、そして食分野から目黒の人気レストラン「kabi」でそれぞれシェフとソムリエを務める安田翔平さんと江本賢太郎さんです。

今回のイベントの少し前、11 月 24 日に南青山の「INTERSECT BY LEXUS」で開催されたイベント「Lifegenic Salon – Beyond The Box」にゲストとして参加され、そこですでにさまざまな“共創”を生み出されたメンバーでいらっしゃいます。

ムラカミカイエ(以下、ムラカミ) みなさんは、以前から注目していたクリエイターたちで、小林君以外は「VISIONARY」の僕の連載にも登場してもらっています。まず、小林健太くんは日本を代表する若手の写真家であり、現代美術家の一人です。Licaxxx は DJ をしながら、自身のファッションメディアを立ち上げ、ラジオのパーソナリティも務めるなど、多岐にわたって活躍するクリエイター。安田翔平くんと江本健太郎くんの二人は、ちょうど昨日(11 月 26 日)開店 1 周年記念を迎えた東京を代表するレストランの一つ「kabi」のシェフとソムリエです。今日はお酒を片手に、トークセッションを進めていきましょう。

岡田 今回のセッションのテーマは「“共創 Co-Creation”- 価値観のつながりが僕らの未来をつくる」ですが、まず最初のお題は「“共創”社会における自分らしさ」です。では、この“共創”という考え方についてムラカミさんはどのように思われますか?

ムラカミ そもそもなぜ“共創”が必要なのかということですね。先行きが不透明で、各分野の主たるテクノロジーが出尽くしたいま、その種を花開かせるためにブレイクスルーが必要です。そのきっかけの一つとして、分断された社会や文化を横断する動きが世界中で興っています。こうした動きをあらゆる階層で推進していくことで膠着していた社会を、自由に再構築していこうとする動きの一つが“共創”といえると思います。

岡田 2019 年に向けて、“共創”の動きも進化をしているんですね。

ムラカミ SNS が典型的な例でしょう。ここに集まったメンバーも実際に会ったのはこのイベントであっても、お互いの存在は SNS を通じてなんとなく意識していた。各々の交友関係や人脈も可視化できていた。だから、つながりやすい状況設定になっていましたよね。
ムラカミカイエさんを筆頭に、5 人の若きトップクリエイターが未来を語った
ムラカミカイエさんを筆頭に、5 人の若きトップクリエイターが未来を語った
VISIONARY の連載「Beyond the Box」でおなじみのクリエイティブディレクター、ムラカミカイエさん
VISIONARY の連載「Beyond the Box」でおなじみのクリエイティブディレクター、ムラカミカイエさん

トップクリエイターたちの“共創”体験

岡田 “共創”という価値観は、いまの時代を表していると思います。それでは、みなさまのこれまでの“共創”体験についてお話をうかがいます。まずは Licaxxx さん、お願いします。

Licaxxx DJはプレイ中基本的に一人の時間を過ごしていますが、そもそもかけている曲が誰かのもので、それをお客さんと共有しているので、特に意識せずに“共創”をしていた訳です。メディアに関してですが、私は音楽を軸にしてファッションやアートなどいろんな分野においてピンポイントに興味を持ち、WEB なり雑誌なりにしたためています。DJ としては音楽、編集者のときは文字で、自分を表現しているんです。

餅は餅屋的な意識を私は大事にしているので、編集は自分でも、スタイリングや撮影、インタビューはプロにお願いしたい。好きなものはある程度まで調べますが、自分でやってしまうよりも、得意分野を掛け合わせた方がいいものができるので。

ムラカミ そもそもDJは客層や箱(会場)の特性に合わせて、表現のアプローチを変えますよね。それこそ双方向性や対話性というものをあらかじめ理解しなければいけないし。ラジオもそうかな?

Licaxxx その場のコミュニケーションがすごく大事です。既存のものを単純に再現するのではなく、リアルタイムに、場の雰囲気に合わせて表現しています。
DJ/エディターの Licaxxx さん
DJ/エディターの Licaxxx さん
ムラカミ 僕はファッションやビューティ系を中心とした広告の仕事を普段しているのですが、そうした撮影の現場では、その都度はじめて会う人と一緒に一つのものをつくり上げます。初対面の人と短時間でいかに打ち解けて、いかに違う思考を一つの目標にまとめていくのかというライブ感が、仕事を通じて鍛えられました。今日集まったメンバーも同じようなことを日常的に経験し、ライブ感が備わっていると思います。

小林健太(以下、小林) 自分は長い時間をかけて付き合ってきた仲間と仕事をすることが多いのですが、コンセプトの段階から現場で組み立てて撮影することもよくあります。そういう時は、暗黙知として共有している抽象的なイメージを共有し、形にしてく感覚があります。

ムラカミ kabi の二人はどうですか?

安田翔平(以下、安田) キッチンもホールも、基本的に働いているメンバーはいつも同じですが、食材 の生産者の方や食器のつくり手の方、音楽や内装のプロなど、他の方々とのつながりをチョイスしなければいけません。お客さまに毎日足を運んでいただいても飽きない空間を目指しています。でないと、僕らも飽きるので(笑)。

ムラカミ kabi は翔平くんがつくった料理と賢太郎くんのドリンクのセッションによってできています。ペアリングはいまや当たり前になっていますが、料理に合わせた賢太郎くんのドリンクのアイデアも面白いですよね。

江本賢太郎(以下、江本) ソムリエとしてワインを軸にこれまでやってきましたが、一緒にやっている安田がなるべく日本のものを使って、テーブルの上に新しいものを生み出そうということで、日本の独特な飲料文化にこだわるようになりました。

実は、日本はワインにおいて世界有数の独自文化があり、それに加えて古来からの日本酒文化もある。国産のウィスキーも世界的に有名です。ハイエンドなアルコールを身近に楽しめるのが日本のドリンクカルチャーなんです。カクテルは私の範疇ではありませんでしたが、友人のバーテンダーに教えを乞うなど、自分たちの持っていない力も結集して一つのものを仕上げています。
レストラン「kabi」のソムリエ、江本賢太郎さん
レストラン「kabi」のソムリエ、江本賢太郎さん
ムラカミ kabiは二人の若さが注目を集めているだけでなく、その空間やお皿、音楽に至るグローバルな土壌で培ったセンスと圧倒的なクオリティを融合させていることが評価されている点で、突出した存在だと感じます。今日集まってくれたメンバーには皆そういった印象を持っています。

安田 僕らみんな同世代ですよね。

つながりが合意を生み、ビジョンとなる

ムラカミ Licaxxx の選曲も、往年の名盤から最新のエッジーな領域までをオケージョンに合わせて出し分けられる懐の深さがありますし。4 人は経験値と教養の幅が広くて、どんなカルチャーの話でも普通にできてしまうけれども、そもそも個々にどういった情報の集め方をしてますか?

Licaxxx 私は興味の幅が広いですが、全部ピンポイントなんです。例えば、映画なら SF で押井守監督、といったように。だから、同じ興味の幅の人、そしてそれ以上の人がいたら話してみたいと思います。コミュニケーションが伴う情報収集を自然としてきましたね。

小林 僕はもともと写真について学んでおらず、現代アートについて勉強していました。だから、ありとあらゆることをどのように結びつけたらより面白くなるだろうか?といった考え方をしています。いま興味を持って学んでいるのは、身体文化と世界中の神話のつながりです。インターネットや図書館を駆使すれば、調べれば調べるほど資料が出てきますが、バラバラに見える知識の断片をいかにつなげるかに、その人のセンスが表れてくると思います。
写真家/アーティストの小林健太さん
写真家/アーティストの小林健太さん
安田 僕は音楽が好きなんですよ。ドイツ・ベルリンのムーブメントに影響を受けて、テクノやトランスが流行っていたデンマークのコペンハーゲンに住んでいて、そういった音楽の流れるお店に毎週のように通っていました。ワインもそうですが、興味を持ったことには入れ込んで、意識しないうちに自然と吸収しています。

ムラカミ 賢太郎くんは?

江本 僕も音楽やファッションが好きですし、食に直結することなら食器などにも興味を持って、本や雑誌を読み漁っています。そこでいいな、面白いなと感じた情報をインプットして追いかけ、自分の引き出しに加えるんです。

ムラカミ 以前「kabi」に行った時、デンマーク育ちの日本人兄弟のファッションブランド「THE INOUE BROTHERS…」の展示会を店内で開催していて、「kabi」っぽいなとうなずきました。日本と北欧の感性を掛け合わせ、生産地にこだわった良質素材をノルディックデザインに落とし込むブランドです。これこそ、同じヴィジョンを持った人々が有機的につながった好例ですよね。

江本 THE INOUE BROTHERS…の二人から僕らのレストランの 2 階を貸してくれと頼まれ、そこにカイエさんが来て、いろんな人たちとつながれました。

安田 レストランという場所を持ったことに、大きな意味があったように感じます。
レストラン「kabi」のシェフを務める安田翔平さん
レストラン「kabi」のシェフを務める安田翔平さん
岡田 ここにいらっしゃるみなさんは、「自分らしさ」を特に探してこなかったのかなという印象を受けました。好きという気持ちに忠実であり続けたら、いろんな人とつながったのですね。「自分らしさ」ってなんだろうと悩んでしまうことが誰しもあるかもしれませんが、こうやって野心的かつ正直に進んでいけば正解にたどり着くことができるのではないかなと思いました。

ムラカミ 最近「スラッシー」という言葉があります。例えば、Licaxxx なら「ビートメーカー/エディター/ライター/ラジオパーソナリティー」といったような。ここで誤解してほしくないのが、このスラッシュが単にいろんなことができるという意味ではないということです。好きなものを掘り下げていった結果、横に連続性を持ち始めそれらが有機的に相互作用し始めている、というのが今の時代性です。

日本人はこれまで、一つのことを掘り下げることにおいては突出していましたが、国民性からか他分野の人とつながることが苦手だった。そしていま、横につながる力を身に付けはじめています。

小林 海外のアーティストと話すと、日本の空気を読む慣習が分かりにくいと指摘されます。この空気を読む文化は、これまでネガティブに捉えられてきましたが、実は言葉にせずとも暗黙の了解で行動ができるというのは、かなり大きな強みなのではないかと考え直すようになりました。

西洋は言葉にするからこそ、細分化や専門的な状況になり過ぎたり、言葉に囚われ過ぎてしまう面があると思います。言葉にしないからこそ、専門性を横断して伝わり合い、共創できることもあると思うんです。そうしてできる作品をつくりたいです。

ムラカミ 察する力から生み出される繊細な想像力、ということかな?

岡田 一般のゲストのみなさまから、事前にこれまでの“共創”体験のエピソードをうかがっています。ここで少しご紹介させていただきます。
マツオさんからです。「作品に対しての作者の価値観を知ることで、自分自身のものづくりへの引き出しが広がりました。“共創”の空間そのものが一番魅力的だと思いました」とのことで、つくり手の目線からのメッセージですね。これは具体的にはどういった体験だったのでしょうか?

マツオさん 私は映画音楽をつくっているのですが、監督さんやカメラマンさんなどのつくり上げた映像ありきで作曲をしています。それぞれの思考のぶつかり合いが音楽に影響してくるので大変ですが、それを乗り越えてできる作品は魅力的になるんです。

ムラカミ 僕もいま映像の制作に関わっていて、日々、様々な分野のクリエイターの才能をまとめる作業をしています。スタッフに求めるのはそれぞれの専門性ですが、それ以外に普段どんなものを見て、どんなことを感じているかといった体験や思考の共有が、最終的に映画を観た人に与える感情に影響します。

僕は今日のメンバーと世代は違いますが、彼らのいう内容は一人のクリエイターとしてとても素直に理解できるんですね。こういった世代や分野を超えたコミュニティの感覚値の共有や合意から生まれるのがヴィジョンであり、みんなで何かをつくる上で最も重要なことだと感じています。

「Lifegenic Table Beyond the Box 」リポート、後編では「クリエイターと企業、そして社会の共創による可能性」についてトークを繰り広げます。


ムラカミカイエ Kaie Murakami
SIMONE INC.代表、クリエイティブディレクター。三宅デザイン事務所を経て、2003 年、ファッションとビューティ分野に特化したブランディングエージェンシー「SIMONE INC.」を設立。国内外多数の企業のデジタル施策を軸としたブランディング、コンサルティング、広告キャンペーンなどを手掛ける。
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