VISIONARYMAGAZINE BY LEXUS

EXPERIENCE

100年の自動車史が凝縮された
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードを体感せよ

2018.10.12 FRI
100年の自動車史が凝縮されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードを体感せよ

英国の夏の風物詩、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード。広大で緑美しい公爵領地で開催される“スピードの祭典”には、世界中からチャンピオンカーやミュージアム級の名車が集結。エンターテインメントと自動車への愛が注がれる4日間のフェスティバルの真髄を目撃した。

(読了時間:約6分)

Text by Shogo Hagiwara
Photographs by Glenn Dunbar

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自動車文化に対する懐の深さ

自動車黎明期のビンテージカーに始まり、ラリー、GTレース、F1などの歴代レースカーや、世界各国の自動車メーカーが満を持してロールアウトする最新モデル、さらには電気自動車やAIロボットが操縦する無人マシンなどの未来派まで。そんな自動車の百科事典に等しいラインナップが、エンジンの音、熱、匂いをまとい眼前を疾走するという、にわかには想像すらしがたい内容と規模を誇る自動車フェスティバルが、英国・グッドウッドの地で開催されるフェスティバル・オブ・スピード(FoS)だ。

グッドウッドは、首都ロンドンから南西に向かってドライブすること2時間半ほどで到着する風光明媚なエリアにあり、英国特有のうねるような丘が続く丘陵地に広がるグッドウッド・エステート内で開催される。この地で、100年を超える自動車史をくまなく網羅するレースカーの数々がヒルクライムを舞台に繰り広げる白熱のアクションを観客は間近に目撃するのだ。
官能的なエンジン音とオイルの匂い、クルマのエネルギーを肌で感じる
官能的なエンジン音とオイルの匂い、クルマのエネルギーを肌で感じる
1993年の初開催から数えて記念すべき25周年を迎えた2018年は7月12〜15日の4日間で行われ、例年同様20万人を超える来場者数を記録した。前述の通り自動車史を彩るクルマが一堂に会する点がFoS最大の特徴。今年も400超の歴代チャンピオンカーや特別にチューンナップを施したレースカー、スーパーカーがエントリーし、すべてのクルマの馬力を合算するとなんと12万馬力を超えるという驚きの規模を誇る。
大観衆の前を駆け抜けていくLEXUS RC F Cup Car
大観衆の前を駆け抜けていくLEXUS RC F Cup Car
LFAとLCも欧州勢のパフォーマンスモデルやプレミアムスポーツと同じ走行枠で走行し会場を盛り上げた
LFAとLCも欧州勢のパフォーマンスモデルやプレミアムスポーツと同じ走行枠で走行し会場を盛り上げた
タイヤを空転させ大迫力のスタートをきるRC F 10th Anniversary
タイヤを空転させ大迫力のスタートをきるRC F 10th Anniversary
FoSを主催するのはこのグッドウッド・エステートを所有する第11代リッチモンド公爵。リッチモンド家は17世紀に英国王室より爵位を叙されてから脈々と続く由緒正しい家系だ。自身もレーサーとして鳴らした祖父のクルマ好きDNAを「隔世遺伝したんだ」と愉快そうに話す現公爵が満を持して立ち上げたのがFoS。一番大きな特徴は、自動車を単なる工業製品ではなく、アートや音楽と変わらない“カルチャー”のひとつとして捉え、そこに関連するヒストリー、発明、技術、デザイン、エンジニア、レーサー、そして一般のクルマ愛好家へも含めて惜しまない賛美を送る場に徹している点だ。実際、東京ドーム1,000個がすっぽり収まってしまうという広大な会場内を見回してみても、カップルや家族連れの来場者が多いことに少なからず驚くだろう。年齢層もさまざまで、親子2代、3代と続けて訪れるという例も少なくない。英国に根付く自動車文化の懐の深さを実感させる風景だ。
ヒルクライムを疾走する車に老若男女が熱い視線と喝采をおくる
ヒルクライムを疾走する車に老若男女が熱い視線と喝采をおくる
また現公爵が「階級や社会的地位に関係なくすべての来場者を“VIP”として歓待する」と語るFoSの精神もいたる所に垣間見える。その最たる例が、ヒルクライムレースに備えてピットで控える歴代のチャンピオンカーから、会場各所に展示された数億〜数十億円の値段が付く名車までのすべてが、観客をさえぎるパーティションやフェンスなど一切なく目と鼻の先の距離で鑑賞できる点だ。この距離感はグッドウッドFoS特有だが、そこには公爵が特別なゲストに対して施す“パーソナルタッチ”としての粋が象徴されている。FoSにとって自動車だけでなく、観客もまたこの一大パーティーの重要キャストなのである。
グッドウッド・ハウスを中心に広がる東京ドーム1,000個分の自然豊かなグッドウッド・エステート
グッドウッド・ハウスを中心に広がる東京ドーム1,000個分の自然豊かなグッドウッド・エステート

FoSの魅力

4日間に渡るFoS期間中は、各自動車メーカーのパビリオンでレーシングタクシーなどの体験コンテンツや、自動車に関連した未来技術の展示などさまざま開催されるが、やはり目玉は会場を横断するように走る全長1.16マイル(約1.9キロメートル)のヒルクライムコースを舞台としたタイムトライアルだろう。“タイタンズ”とニックネームされた戦前のビンテージカーから始まり、F1カー、プロトタイプ、スーパーカー、GTカー、ドリフトなど出走車は各カテゴリー別に分けられた“バッチ”ごとにアタックを行う。ただし、アタックと言っても現役時のレースさながらに攻めるのではなく、フルスロットルで走るいっぽうでドライバーは観衆の目の前で、タイヤを空転させ白煙をあげるバーンアウトや360度回転し続けるドーナツターンなどの技の数々を惜しげもなく披露する。そのクルマの功績とクルマが放つエンジン音、熱、匂いに、観衆たちは惜しみない喝采をおくる。1台1台のヒルクライム走行が、自動車文化を継承していくためのいわばセレモニーなのだ。
自動車メーカーの巨大パビリオンでは、ワールドプレミアやドリフト体験など豊富なコンテンツが用意される
自動車メーカーの巨大パビリオンでは、ワールドプレミアやドリフト体験など豊富なコンテンツが用意される
今年は、F1ワールドチャンピオンの経歴をもつジェンソン・バトン氏やミカ・ハッキネン氏、現役F1ドライバーのバルテリ・ボッタス氏、ストフェル・バンドーン氏から、WRCで活躍するエルフィン・エバンス氏など錚々たる顔ぶれが参加し観客を魅了した。ちなみにこれまでの最高記録は1993年にニック・ハイドフェルド氏がマクラーレンMP4-13で叩き出した41.6秒(ただし、現在は安全面を考慮してF1カーのタイム計測は行われていない)。またヒルクライムコースに沿って丘の頂上へ延びる歩道を進んだ先には、WRCさながらの森を駆け抜けるラリー専用の「Rally Stage」も設けられており、往年のトヨタ・セリカやインプレッサ、ランチア・デルタなど歴史を刻んだ名車がタイムアタックに挑む姿を観戦できる。
現役F1ドライバーであるバルテリ・ボッタス氏もドーナツターンで観衆を魅了した
現役F1ドライバーであるバルテリ・ボッタス氏もドーナツターンで観衆を魅了した
またグッドウッド・エステートの中でもひと際存在感のある“お屋敷”、グッドウッド・ハウスの脇に広がる芝生の一画で行われるのが「Cartier Style et Luxe」。かの有名なアメリカ西海岸で開催される「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」のグッドウッドバージョンで、世界中からミュージアム級のビンテージカーが集結し、その美を競う。
1台あたり数千万、数億円を下らないクルマが並ぶ「Cartier Style et Luxe」。観客と車両を隔てるロープは一切ない
1台あたり数千万、数億円を下らないクルマが並ぶ「Cartier Style et Luxe」。観客と車両を隔てるロープは一切ない
フォード モデルT(1919年製)、ポルシェ 550スパイダー(1955年製)、ピニンファリーナによるジャガー XK120(1954年製)などがずらりと並ぶ姿は圧巻で、今年の審査員チームには、アップルの最高デザイン責任者を務めるジョナサン・アイブ氏やデザイナーのマーク・ニューソン氏と並んでLexus International President澤良宏も名を連ねた。

そのほかにもイギリス空軍に所属するレッドアローが真紅の戦闘機編隊で空中曲芸を披露したり、夜がふけると今度は豪華絢爛な花火が漆黒の夜空を灯すなど、エンターテインメントと自動車の愛に溢れた夏恒例の4日間はあっという間に過ぎていくのだった。
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