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CULTURE

いま訪れるべき、ソウルの美術館5選

2018.05.28 MON
いま訪れるべき、ソウルの美術館5選

2010年以降、韓国・ソウルに次々と魅力的な美術館が生まれていることをご存じだろうか?
SNS時代を代表するものから音楽に特化したところまで、いま訪れるべきソウルの5つの美術館を紹介する。

(読了時間:約6分)

Text by Shunta Ishigami

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新たな美術館の台頭

いま、韓国が注目を浴びている。もちろんこれまでも2000年代初頭に放映されたドラマ『冬のソナタ』に端を発する「韓流」ブームや、2000年代末からのK-POPブームなど、しばしば韓国の文化が取り上げられ、日本でブームとなることはあった。ところが、近年はジャンルを超えてより同時多発的に韓国の文化が注目を浴びるようになっているのだ。

注目を浴びる分野の一つには、映画や音楽だけでなくアートシーンや美術館も含まれている。韓国の首都、ソウルにはこれまでも多くの美術館があったが、この5年で急速に魅力的な美術館が生まれていることを、あなたはご存じだろうか。ソウルを訪れたらぜひ訪れるべき5つの美術館をご紹介しよう。

韓国人作家と現代美術を代表するアーティストの作品を合わせて見られる──Leeum, Samsung Museum of Art

写真の棟はレム・コールハースが設計に携わっている
写真の棟はレム・コールハースが設計に携わっている
屋外に展示された彫刻はアニッシュ・カプーアによるもの
屋外に展示された彫刻はアニッシュ・カプーアによるもの
「Leeum, Samsung Museum of Art」は、日本でもよく知られる企業、サムスン電子によって2004年に設立された美術館だ。美術館はミュージアム1、ミュージアム2、サムスン児童教育文化センターという3つの建物から構成されており、ミュージアム1では「時代交感」、ミュージアム2では「東西交感」と名付けられた常設展示が行われている。

「時代交感」の中心となるのは、先史時代から朝鮮時代に至るまでの伝統的な美術作品だ。注目すべきは「時代交感」と名付けられている通り、展示の要所々々で古美術と調和するような現代の作品が展示されていることだろう。韓国の古美術と合わせてアルベルト・ジャコメッティの彫刻を見られる機会は珍しいはずだ。

他方の「東西交感」では、洋の東西をミックスさせた展示が行われている。 李禹煥など日本でも知られる韓国人作家の作品ばかりでなく、アンディ・ウォーホルやダミアン・ハースト、ジェフ・クーンズなど現代美術を代表する数多くの作家による作品が数多く展示されている。

ただ「鑑賞」するのではなく「体験」するような美術館──D MUSEUM

「D MUSEUM」のある漢南洞は近年注目を浴びているエリアの一つ
「D MUSEUM」のある漢南洞は近年注目を浴びているエリアの一つ
建物の前に展示された作品は、パク・ヨジュにより2018年につくられたもの
建物の前に展示された作品は、パク・ヨジュにより2018年につくられたもの
韓国の建設企業、大林グループ擁する大林文化財団が設立した「D MUSEUM」は、2015年に漢南洞でオープンした新しい美術館だ。現代写真やグラフィックデザインなど、美術になじみのない人でも気軽に楽しめる展示が数多く開かれており、若者からの支持も厚い。

「D MUSEUM」の特徴は、自由な写真撮影が許可されていることにある。インスタレーション形式の展示が多いこともあり、いわゆる「インスタ映え」する美術館としても注目を浴びているのだ。人々が館内のあちこちでセルフィーを撮影する様子は少々奇妙に見えるかもしれないが、展示された作品をただ「鑑賞」するのではなく「体験」するような美術館だということもできるかもしれない。

こうした性格をもっていることもあってか、「D MUSEUM」自体もインスタグラムなどSNSを通じて積極的な情報発信を行っている。さらには建物内にスタジオが併設されており、DJイベントやワークショップなど体験型の取り組みも数多く開催されている。

名建築と現代美術が「セッション」するような空間が生み出されている──ARARIO MUSEUM IN SPACE

旧館は蔦に覆われた怪しげな雰囲気が印象的だ
旧館は蔦に覆われた怪しげな雰囲気が印象的だ
「空間」と描かれた看板は遠くから見ても目立っている
「空間」と描かれた看板は遠くから見ても目立っている
現代美術を中心に扱う美術館「ARARIO MUSEUM IN SPACE」は、李氏朝鮮時代の宮殿「昌徳宮」からほど近いエリアに位置している。植物に覆われたレンガ造りの特徴的な建物は、韓国近代建築の巨匠と呼ばれるキム・スグンが設計したもの。かつては建築事務所として使われていたこの建物を、リノベーションするかたちでつくられたのがこの美術館だ。

2014年9月の開館から行われているコレクション展では、館長であるキム・チャンイルの3,700にも及ぶコレクションのなかから37人の作家による162点の作品が展示されている。ナム・ジュン・パイクやシンディ・シャーマン、クリスチャン・マークレー、キース・ヘリングなどジャンルを問わず数多くの作品が展示されており、そこには名和晃平や宮島達男ら日本人作家も名を連ねている。

驚くべきは、リノベーションとはいえ建築事務所時代の内装が極力残されていることだ。これらの豪華な作品群が、トイレや水道、駐車場を思い起こさせるスペースに展示されているのである。いわば名建築と現代美術が「セッション」するような空間が生み出されていることに注目してほしい。

メディアアートなど現代の美術作品を数多く扱う──国立現代美術館ソウル館(MMCA)

ソウル館はあちこちに入り口が設けられており、近隣からアクセスしやすい設計になっている
ソウル館はあちこちに入り口が設けられており、近隣からアクセスしやすい設計になっている
美術館の裏手には「宗親府」と呼ばれるかつての行政機関が復旧された建物がつくられている
美術館の裏手には「宗親府」と呼ばれるかつての行政機関が復旧された建物がつくられている
景福宮や昌徳宮など韓国の歴史的な文化資産に囲まれたエリアに立つ「国立現代美術館ソウル館(MMCA)」は、メディアアートなど現代の美術作品を数多く扱っている。国立現代美術館そのものの歴史は長く、1969年に「果川館」が開館。次いで98年に「徳寿宮館」が開館しているが、「ソウル館」は2013年に開館した新しい美術館だ。

地下1階から2階にかけて全部で8つの展示室を擁し、多くの美術館と同じくミュージアムショップやカフェを併設しているほか、パフォーマンスイベントなどを行えるプロジェクトホールや映画館、ビデオアーティストの映像アーカイブを保存するデジタル情報室を備えている。

洋の東西を問わず作品は展示されているが、2018、19年は「アジア」をキーワードにさまざまなプログラムの企画を行っている。例えば2018年7月まで開催されている「HOW LITTLE YOU KNOW ABOUT ME」展では、韓国、中国、インドネシア、日本などアジア各国の作家による作品を通じて、「アジア」のイメージを問い直し世界の新たな見方を提示している。

約10,000枚のレコードを収容し、スタジオとライブスペースが設けられている「音楽」の美術館──Hyundai Card Music Library

一面ガラス張りの建築は堂々とした雰囲気を醸し出している
一面ガラス張りの建築は堂々とした雰囲気を醸し出している
美術館のすぐ隣にあるストアも、ヒュンダイカードがつくったものだ
美術館のすぐ隣にあるストアも、ヒュンダイカードがつくったものだ
ソウル東部イテウォンにつくられた「Hyundai Music Card Library」は、韓国のクレジットカード会社、ヒュンダイカードがオープンさせた「音楽」の美術館だ。建築家チェ・ムンギュの設計によるガラス張りの建物の中には、壁一面に巨大な棚が据え付けられており、約10,000枚のレコードと約3,000冊の音楽にまつわる貴重な書籍と雑誌が収容されている。

収容されているレコードは、西洋のクラシックから韓国のヒップホップまでありとあらゆるジャンルがカバーされており、雑誌は『Rolling Stones』が1967年の創刊号から揃えられているなど充実のラインアップ。館内には6台のターンテーブルが置かれており、レコードの試聴も可能だという。

地下に降りると「UNDERSTAGE」と名付けられたスタジオとライブスペースが設けられており、アーティストはこのスタジオを使って作品制作を行えるほか、ライブスペースでは国内外からアーティストを招聘し公演を行っている。さらにこの美術館の隣には「Vinyl and Plastic」というレコードやDJ機器などを販売する店舗も併設されている。音楽好きにはぜひ一度訪れてみてもらいたい美術館だ。
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