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ビームスが新提案する、
アップサイクルのおしゃれなカタチ

2018.05.07 MON
ビームスが新提案する、アップサイクルのおしゃれなカタチ

ライフスタイルをデザインしてきた、セレクトショップの草分け「ビームス」が社会構造をデザインしようとしている。同社が新たに立ち上げたブランド「ビームス クチュール」がもたらすかもしれない、持続可能社会のかたちとは?

(読了時間:約4分)

Photographs by Yusuke Hayashi
Text by Ryo Inao
Edit by Keisuke Tajiri

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リサイクルの新しい概念

ここ最近トレンドとなりつつある言葉、「アップサイクル」をご存じだろうか。「3R」として知られている「リデュース」、「リユース」、「リサイクル」は廃棄されるものを減らしたり、再利用したり、原料に戻したりと、元となるものの価値を下げることで不用品などを消費の循環に戻す、いわば「ダウンサイクル」であった。それとはまた違った角度から、サステイナブルな社会をつくる新しい方法論の一つとして注目を集めているのが、元のものに手を加えることで価値を上げる「アップサイクル」の概念だ。
デッドストック品を一点一点、すべて手仕事で価値を作り変えていく
デッドストック品を一点一点、すべて手仕事で価値を作り変えていく
急速に移り変わる流行に合わせて、非常に短いスパンで大量生産を行う近代のファッション産業。生産ラインを稼働させるためのエネルギー消費を経て店舗に並べられた服も、最終的に売れ残ってしまえば、商品価値を担保するためにリサイクルされることもされずに焼却される運命にある。こうした状況に一石を投じるべく、注目を集めているのが先述のアップサイクルなのだ。

日本を代表するセレクトショップであるビームスが、新規ブランドを立ち上げることでアップサイクルに取り組んでいる。その名も「ビームス クチュール」。同社が倉庫に抱えていたデッドストック品を、ユニークな発想と丁寧な手仕事で「一点モノ」としてよみがえらせるブランドだ。

デザイナーから生まれた新ブランド

プロジェクトの発起人にしてデザイナーを務めるのは、同社のレディースレーベル「レイ ビームス」のデザインを手がける水上路美氏。さまざまな新規プロジェクトで世間にインパクトを与えてきたビームスだが、ビームス クチュールは消費者に近い、現場で活動をしてきたデザイナー主導で始まった点が興味深い。

「レイ ビームス」では最新トレンドを取り入れたスタンダードな服のデザインを手がけてきた水上氏だが、「ビームス クチュール」ではこれまでとは対照的に、彼女の個性が存分に活かされたデザインとなっている。
メンズシャツの後ろ身をカットし、レースとリボンを施して大胆に仕上げた一着
メンズシャツの後ろ身をカットし、レースとリボンを施して大胆に仕上げた一着
「ビームス クチュール」が目指すのは、「たくさんの人々の力が集まってできるブランド」となること。「ケイスケカンダ」のデザイナー、神田恵介氏をクリエイティブディレクターに迎えて、2017年10月にスタートしたこのブランドは、サンリオのデザイナー、山口裕子氏やランジェリーコンセプトショップ「イルフェリーノ」とのコラボレーションなど、さまざまなクリエイターやブランドと共同してデッドストックを蘇らせてきた。また、ビームスのオリジナル製品をつくる取引先や、この事業に賛同した他ブランドからも生産過程で出てしまう端切れや不良在庫を買い付け、人の手作業によってアップサイクルさせている。

「ファッションが均質化している最近の情勢に対する、アンチテーゼでもあります。私もファストファッションを利用しますが、服づくりの原点であるオートクチュールや一点モノの服には独特の魅力があると思います。私が大事にしたいのは、お客様が服と出会ったときの純粋な感動です」と語る水上氏は、これまで一つのデザインが大量の服に変わる量産品に携わってきた。服づくりの原点に立ち返った手仕事によって、労力や時間、コストが掛かろうとも、服を選ぶ際の一人ひとりの気持ちを大切にしたいと、ビームス クチュールを立ち上げたのだ。
「ビームス クチュール」の発起人でありデザイナーでもある水上路美氏
「ビームス クチュール」の発起人でありデザイナーでもある水上路美氏

持続可能な社会を企業の領域を超えて実現していく

手仕事ならではの味わいがもたらす、丁寧さと不完全さを活かしたディテールは、2017年シーズン以来多くの主要ファッションブランドからも発表されており、「ハンドメイド」や「クラフト感」は今やおしゃれのキーワード。均質化された大量生産品に疲れを見せる消費者の動向と、手仕事にこだわる「ビームス クチュール」の試みは見事に合致していると言える。

「ビームスが考えるCSV(共通価値の創造)の一つのかたちと位置付けています。今後はファッション以外の不良在庫にも、「ビームス クチュール」の輪を広げていくことを検討中です」と、ビームス宣伝広報統括本部の山村香代子氏は話す。
他のブランド・クリエイターも巻き込んでいくことで、アップサイクルのムーブメントが広がっていく
他のブランド・クリエイターも巻き込んでいくことで、アップサイクルのムーブメントが広がっていく“インスタグラム@beams_coutureより引用”
顕在化したファッション産業の無駄と持続可能な社会実現への要請。こうした社会課題と流行、そしてデザイナーのクリエイションが溶け合うことで生まれた「ビームス クチュール」は、多くのクリエイターや他ブランドからの賛同を得ており、今までビームスの顧客層となり得なかったようなファッション感度を持つ層の興味をもひきつけている。そうした意味で同ブランドは、人々が心をときめかせて自発的にエコな選択を行うような、持続可能な社会構造そのものをもデザインしていると言えるのではないだろうか。
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