TECHNOLOGY

豆腐ビールの環境保全と健康増進の可能性

2018.03.16 FRI
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豆腐ビールの環境保全と健康増進の可能性

2018.03.16 FRI
豆腐ビールの環境保全と健康増進の可能性
豆腐ビールの環境保全と健康増進の可能性

リサイクル、アップサイクルなど環境へのインパクトを軽減するためのエココンシャスな革新的アイデアが次々と登場する昨今。かつては食品を製造する過程で生まれるバイプロダクト(副産物)として廃棄されていたものを再利用するという例も増えてきている。シンガポール大学の研究チームが開発したビール製品もそのひとつ。豆腐を製造する際に出る乳清(ホエイ)を原料にする、世界で初めての試みだ。

(読了時間:約2分)

©2018 Stylus

環境保全と健康増進に“いいビール”

「Sachi」と呼ばれる新種のビールは、これまで豆腐を製造する過程で廃棄の運命にあった乳清に、砂糖、イーストなどを加えたうえで、2週間ほど発酵させてつくる。単に環境にやさしいというだけではなく、健康食品としての効用も高いのがこのビールの特徴で、イソフラボンと呼ばれる抗酸化物質や高濃度のカルシウムを含むため、骨や心臓を強くする効果があるという。まさに、一石二鳥の開発だ。アルコール含有量は8パーセントと通常のビールより高めだが、ほのかに甘みがあり、花のような香しさを備えている。

開発をリードしたシンガポール大学のシン・シャオクォン教授と学生のチャオ・ジャンヨンは、アジアで高まるベジタリアン人気とともに豆腐の消費量が増加傾向にあることから、乳清の再利用方法を模索し始めたという。

「アルコール発酵というアプローチには、食品廃棄物であった大豆ホエイを食用に変換して直接消費できるという利点があります。これにより豆腐を製造する際の廃棄物をなくし、環境への負担も大幅に減少させています」とシン教授。

世界的な人口増加、原材料の不足が危惧されるなか、ヘルスコンシャスな消費者の存在もかつてないほどに大きくなるなど「食」をめぐる大きな変化が訪れている現代。環境、健康、サステイナビリティと3大テーマに取り組む技術開発は近年のトレンドとなっており増加傾向にあるが、この“豆腐由来ビール”もその一環として注目されている。

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