TECHNOLOGY

小売業界における、
スマートフォン活用の最前線

2018.01.17 WED
TECHNOLOGY

小売業界における、
スマートフォン活用の最前線

2018.01.17 WED
小売業界における、スマートフォン活用の最前線
小売業界における、スマートフォン活用の最前線

スマートフォンが一般化し、コミュニケーションや情報収集はじめ、さまざまな役割を果たすようになった昨今。本記事では特に小売業界に注目し、商品検索や店内ナビゲーションなど、スマートフォンを用いたイノベーティブなサービス事例を紹介する。

(読了時間:約6分)

Translation by Asuka Kawanabe
©2017 Stylus

商品検索と店内ナビゲーションの分野における最良のイノベーション

今やスマートフォンは、消費者にとって主要な情報源だ。オンラインリテールのプラットフォームを手がける「Tulip Retail」が、2017年に行った調査によると、彼らの83%は、スマートフォンのおかげで自分が店員よりも知識が豊富になった、と考えているという。

そんななか、買い物客のスマートフォンを店内におけるインターフェイスとして活用し、顧客にとって便利なサービスを提供するブランドやショップが現れはじめている。ここでは、商品検索と店内ナビゲーションの分野における、2017年に登場した最良のイノベーションをみていきたい。
・「Lowe's」の店内ナビゲーションツール

アメリカのホームセンターチェーン「Lowe's」は、自社の買い物アプリに備わる店内用ナビゲーションツールをアップグレードさせるために、グーグルのARテクノロジー「Tango」と提携した。このツールでは、カメラ付きデバイスが映す現実空間に、仮想オブジェクトがリアルタイムに投影される。
「Lowe's」のアプリに備わる店内ナビゲーション ©Lowe's X Google Tango
「Lowe's」のアプリに備わる店内ナビゲーション ©Lowe's X Google Tango
例えば、ユーザーがアプリ内の検索ボックスに商品名を入力する。すると、カメラのビュー越しに見える風景に案内記号が重ねて表示され、ユーザーを商品の売り場まで案内してくれるのだ。

「Lowe's Vision」と呼ばれるこの機能には、店内での商品検索を簡単にするために、3つの技術が使われている。モーショントラッキング技術、空間のキービジュアルを“認識”し“記憶”するエリアラーニング技術、そして深度認識技術だ。現在このツールは、カリフォルニア州サニーベールとワシントン州リンウッドの2つの店舗で試験運用中である。


・テキスト・画像・音声検索

アメリカのDIYショップ「The Home Depot」は、実店舗とオンライン店舗の在庫を同時に検索でき、さらに店内ではその商品の売り場まで案内してくれるアプリをローンチした。実店舗での在庫が切れている場合、その場で商品をオンラインで購入できるのだ。
実店舗とオンライン店舗の在庫を同時に検索できる「The Home Depot」 のアプリ
実店舗とオンライン店舗の在庫を同時に検索できる「The Home Depot」 のアプリ
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検索はテキストと画像のいずれでも行える。画像検索の場合は、アプリ内のカメラ機能を使うか、ユーザーのフォトアルバムからアップロードする。もし外見がぴったり一致する商品がない場合、最も近いアイテムが表示される。

音声での検索も可能だ。ユーザーは、商品名を呼びかけることで検索ができるほか、驚いたことに、その道具が立てる音を真似た声でも検索が可能だという。


・ Bluetoothを活用した自動店内ナビ

ドイツの家電量販店「Saturn」も、公式アプリに売り場での商品検索機能を追加した。このツールは、Bluetoothを利用してユーザーの現在地を店内図にリアルタイムで表示し、希望の商品を選択すると、品物が置いてある棚までのルートを示してくれる。この新機能は、現在ドイツ・インゴルシュタット市にある旗艦店で試験運用されている。
ドイツの家電量販店「Saturn」の、Bluetoothを利用した商品検索機能を持つアプリ
ドイツの家電量販店「Saturn」の、Bluetoothを利用した商品検索機能を持つアプリ
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ロンドンの高級デパート「Harrods」も、ビーコンを使った店内ナビゲーションツールを、2016年に公式アプリに追加した。ビーコンはBluetoothを通してスマートフォンやタブレットに接続され、アプリ内のインタラクティブマップにユーザーの現在地が表示される。買い物客がブランド名を検索すると、ソフトウェアが売り場までのルートを示してくれるという仕組みだ。開発元は、イギリスのテック企業「Pointr Labs」だ。

ロンドン・ガトウィック空港でも、スマートフォンを活用したルート案内ツールを導入

・ テキストベースの売り場案内ツール

フランスのホームセンター「Leroy Merlin」が2016年にローンチした「MAIA」は、テキストメッセージでコミュニケーションがとれるチャットボットだ。店内のスタッフが捕まらないときなどに、売り場についての質問に答えてくれる。チャットボットへのアクセス情報は、ブランドのウェブサイトや店内の案内板、スタッフのジャケットに書かれている。開発元は、フランスのデジタルエージェンシー「Phoceis」。
フランスのホームセンター「Leroy Merlin」がローンチしたチャットボット「MAIA」
フランスのホームセンター「Leroy Merlin」がローンチしたチャットボット「MAIA」
・ 空港の小売店のための”ARコンパス”

ロンドンのガトウィック空港は、ターミナル内を移動する旅行客のためのAR道案内ツールを導入した。ガトウィック空港の公式アプリに搭載されているこのナビゲーション機能は、スマートフォンのカメラ画像に方向案内を重ねて表示することで、チェックインカウンターや出発ゲート、荷物の受け取り場所などへのルートを案内するというもの。2018年には、航空会社のアプリにこの技術を応用することが予定されている。

ビーコンを利用したこのツールは、空港内に店を構える小売店にマーケティングのチャンスをもたらす。ユーザーの位置情報が分かれば、旅行客が店舗に近づいた際に、オプトイン広告やリアルタイムのお得情報を送れるからだ。もちろん空港のみならず、ショッピングモールなどでも活用できる。

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