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「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」がつくる
「出会いの場」は何を生むのか?

2018.01.15 MON
「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」がつくる「出会いの場」は何を生むのか?

レクサスが若き匠のモノづくりをサポートすべく始めた「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」は、単なる地方創生を超え、豊かな「出会いの場」をつくり出している。プロジェクトのスーパーバイザーを務める小山薫堂氏が語る「出会い」の価値とは。

(読了時間:約5分)

Text by Shunta Ishigami
Photographs by Kotaro Washizaki

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伝統工芸を通じたレクサスの「恩返し」

「LEXUS NEW TAKUMI PROJECTは、『出会いの場』だと思います。それぞれの道を極めてきた“匠”たちが集まり、知らないことに出会って自分の好奇心を刺激する。その刺激が化学反応を起こすことでクリエイティビティが生まれるんです」

そう語るのは、LEXUS NEW TAKUMI PROJECTのスーパーバイザーを務める小山薫堂氏。2016年にレクサスがスタートした、全国の新しいモノづくりに取り組む若き職人・工芸家・デザイナー=「匠」をサポートするプロジェクト「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」が2年目を迎え、今年も全国47都道府県から総勢51名の匠がプロジェクトに参加している。
LEXUS NEW TAKUMI PROJECTのスーパーバイザーを務める小山薫堂氏
LEXUS NEW TAKUMI PROJECTのスーパーバイザーを務める小山薫堂氏
デザインや食、映画など、これまでも「自動車」とは関係のなさそうな分野へ積極的に進出してきたレクサスは、なぜ日本の「伝統工芸」の分野に取り組もうとしているのか。実は、このプロジェクトは「恩返し」の精神から始まったものなのだという。

2002年に誕生したレクサスは、12年かけて日本発のラグジュアリーブランドという地位を築き上げてきた。こうしたブランドイメージはレクサスだけの力ではなく、販売店やオーナーなど全国の人々がブランドを「育てた」からこそつくり上げられたものだ。だからこそ、全国の人々に「恩返し」をしたい。レクサスはそう考えた。
11月30日には匠が一堂に会し、一人ずつ小山氏とメンターらへ試作品のプレゼンテーションを行った
11月30日には匠が一堂に会し、一人ずつ小山氏とメンターらへ試作品のプレゼンテーションを行った
そこで、レクサスは全国各地で伝統的な技術や風土など地域の特色を生かしながら、常識にとらわれない新しい発想でモノづくりに取り組んでいる若き「匠」たちに光を当て、日本のものづくりや技術を守り、作り手の才能を育て、その活動をサポートするべくLEXUS NEW TAKUMI PROJECTを始動した。前出の小山氏だけではなく、建築家の隈研吾氏ら3名のサポーターと、クリエイティブプロデューサーの川又俊明氏ら4名のメンターが参加し、これまで光の当たってこなかった日本の伝統工芸をフックアップすべく活動を進めている。小山氏によれば、このプロジェクトは日本の“宝”を守るようなものだという。

「全国に散らばっている本当に価値あるものに光を当て、そこにヒントを与えることで可能性を広げていく。未来への道筋をつくっていくような作業で、個人的にもやりがいのあるプロジェクトだと感じています」

柔軟に変わろうとしてゆく「匠」たち

プロジェクトは、匠とメンターと相談をしながらどんなプロダクトをつくるか考えるところから始まり、試作→プレゼンテーション→講評を繰り返すことでプロダクトの完成度を高めていく。匠一人ひとりと真剣に向き合っているからこそ、メンターのアドバイスはときに手厳しい。「それ誰が欲しがるの?」、「ちょっと高すぎるのでは?」、「これじゃあ売れないんじゃない?」。より多くの人に届けるには、つくることだけで満足していてはダメなのだ。
試作品を手にとって質感を確かめるなど、一つひとつ念入りに試作品をチェックする小山氏
試作品を手にとって質感を確かめるなど、一つひとつ念入りに試作品をチェックする小山氏
「しばしば職人さんって、自分がつくろうとしていたものができあがったら売れると思っていることがある。でも、現実は違いますよね。ニーズや価格のバランスが合わなかったらモノがよくても売れない。だから、僕たちはそのズレを補正する役割なのかなと思っています。ただ、プロジェクトに参加している匠の方々は現状に満足していないのが印象的ですね。今まで教わったことを守るだけでなく、変えていくことで革新を起こそうとしている方が多いなと思います」

それぞれが携わってきた伝統工芸に革新を起こそうとする若き匠たちは、メンターたちの辛辣なアドバイスに真剣に耳を傾けている。これまでの伝統を守りながらも「変わること」を恐れない匠の人々にとって、メンターのアドバイスは格好の刺激となるのだろう。小山氏は「自分へのアドバイスだけじゃなくて、他の匠へのアドバイスから刺激を受けた人も多いんじゃないかと思います」と語る。
メンターを務めるクリエイティブプロデューサーの川又俊明氏
メンターを務めるクリエイティブプロデューサーの川又俊明氏

豊かな「出会い」のプラットフォーム

「匠の方々には、ここで何かヒントを見つけてもらえたらいいなと思うんです。例えば、曲げわっぱをつくっている人が、別の匠がつくっている組み紐を持ち手に使おうかなと考えるとか。職人同士が必要な技術を補い合えば、より完成度の高いものができますよね。このプロジェクトはコラボレーションが起きる場でもあると思います」
伝統工芸に造詣の深い小山氏にとって、個人的にもこのプロジェクトは出会いに溢れた楽しいものだという
伝統工芸に造詣の深い小山氏にとって、個人的にもこのプロジェクトは出会いに溢れた楽しいものだという
そう小山氏が語るように、このプロジェクトは匠と匠の「出会いの場」としても機能している。これはレクサスにとって嬉しい誤算だったというが、日頃ほかの伝統工芸に携わる人と出会う機会の少ない匠たちにとって、このプロジェクトは日本中の伝統工芸を横断的につなぐ「コミュニティ」にもなったのだ。とあるメンターはそのコミュニティを「学校」になぞらえた。学校、それは学びの場であると同時に、異なった出自をもつ人々が一堂に会する「出会いの場」でもある。

プロジェクトの成果として完成したプロダクトは展示の場を設けられるほか、なかには海外に向けて発信されるものもある。事実、昨年つくられたプロダクトの一部はドバイの「INTERSECT BY LEXUS」で展開されたという。プロジェクト最終段階では各社バイヤーへのプレゼンテーションも行われるため、このなかから商品化されるプロダクトも出てくるだろう。

LEXUS NEW TAKUMI PROJECTは、さまざまなやり方で無数の「出会い」を重ねていく。匠と匠の出会い。匠と私たちの出会い。私たちと地方の出会い。日本と世界の出会い。それは単なる「地方創生」に留まらない、創発を生む新たなプラットフォームなのだ。LEXUS NEW TAKUMI PROJECTの未来には、一体どんな「出会い」が待ち受けているのだろうか。
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