Neurable社は、2017年7月30日〜8月3日にかけてロサンゼルスで開催された、コンピューターグラフィックスとインタラクティブ技術に特化したカンファレンス「Siggraph」で、ブレイン・コンピューター・インターフェース（BCI）技術を用いた「Awakening」というゲームを発表した。

このゲームは、Neurable社が開発した機械学習のプラットフォームを採用しており、脳波センサーとアイ・トラッキング（視線計測）技術を搭載して独自にカスタマイズしたVRヘッドセット「HTC Vive headset」を装着することで、ユーザーの脳内活動をリアルタイムにモニターできるというもの。これにより従来のコントローラーを用いることなく、ユーザーの周囲を取り巻くヴァーチャルワールドを自在に操作できるのだ。つまり「念じる」ことによって、目の前に見えるオブジェクトを拾ったり投げたりすることが可能になる。

モーションキャプチャ、ハプティックス技術、アイ・トラッキング、自然言語処理といった最新テクノロジーが大幅な進化を遂げたことにより、VR技術が秘める可能性は加速度的に増幅している。実際、Neurable社は、BCIに代表されるインターフェース技術の開発がさらに進むことで、物を拾ったり投げたりという単純作業よりも複雑なタスクをこなすことができるようになると考えている。

同社CEOを務めるレイムズ・アルカイド氏は、BCI開発の重要性について次のように語る。

「（コントローラーが不要な）BCIが今後広く採用されていかない限り、AR（拡張現実）やVRといった最新技術が、iPhoneやパソコンに匹敵する日常的な存在にはなり得ないと信じています」

現在はまだ開発途上だが、将来的にはAR・VR環境をユーザーの意のままにコントロールできるインターフェース技術が実現すると、同社は予測している。今回のヘッドセットは独自開発のワンオフモデルだが、今後、各メーカーが自社製品に脳波センサーを標準装備し、ユーザーの脳波を手軽にヘッドセットと同期できる環境になれば、AR・VR技術が飛躍的に拡大し、市民権を得ていくことになるだろう。